教育年報1960年(S35)-047/135page
討議されている。詳細な内容については,昭和35年度の
福島県山村教育研究集録,第2集に集録されている。
B 小規模学校研究協議会について
この協議会は今年度からはじめられたもので,小規模
の学校経営について指導と管理上の問題点について研究
と協議を行ない,管理者としての資質を高め,この方面
の教育の改善をはかることを目的としている。この会の
運営については県山村教育研究会と共催で,
福島市大笹生小学校公民館で行なった。
講師として文部省,へき地担当係官,追田哲郎先生を招き,
小規模学校における諸問題について講話をおききした。
これは,この教育に関係するものの誰もが知っておくべき
貴重なご講話であった。
へき地教育については,教育条件が恵まれていない中
で,学習指導法の研究・地域の文化センターとしての分
校教育等が行なわれている。これらの中で,漸次高めて
いくという努力と情熱がたいせつである。しかも,この
教育は,単にへき地のひとびと,教師だけでなく,みん
ながへき地の教育に関心と理解をもち,除々に改善して
いくことが根本であろう。そしてこそ本県の学力は全体
として高まっていくものである。
8 学校植林と環境緑化
本県の学校における緑化運動は昭和35年度に文部,
農林の各大臣から表彰をうけて全国的にみても上位の成績
をおさめている。学校林をもつ学校では138校でその総
面積は1,100haである。その立木評価額は最低に見積っ
ても1億円に達している。これがあと18年くらいで20億
円ほどの学校基本財産林になるのである。本年は100ha
の造林がおこなわれたが,この2,3年急激に造林面積
が増加してきたことは喜ばしいことである。
学校林の4割は国有林の貸与をうけているもので,部
分林と称し,伐採のときは20%が国に8%が学校にそ
の伐採量が分けられることになっている。学校林の他の
6割は市町村林または学校自体の山に造林がなされてい
る。
A 学校植林推進委員会
この事業を推進している母体に県学校植林推進委員会
がある。5月28日,郡山女子高校で本年度の総会が開催
され,県側から林務監,学校教育課長の他に4名,各支
部長(高校長3,中学校長12,小学校長1)22名が出席
し,学校林の普及についての建設的意見がかわされ,配
分率は支部の学校林面積,参加校数,当該年度の造林面
積等を勘案して行なうことを決議した。
B 県外植林優良校視察
10名の支部長が,8月10日,山形市第8小学校を視察
した。この学校は市の東北に位し,最上川支流の氾濫原
に新設された学校で校地の整地作業跡に掘り出された自
然石を巧に利用して庭園が作られ,各種の樹木が配され
ている。庭園の中に学校ありといった感じのする学校で
ある。やり場に困る石を巧に利用して日本風の庭園にし
たものである。そこから車を市の西北に位する寒河江に
走らせ県林業試験場を訪れ,白旗松の育苗について専門
師の説明をきき,松の苗圃管理に得るところが大きかっ
た。
天童に泊り翌11日新庄の北方10粁ほどにある金山林業地
を見る。「世界一の杉林」とされている。1haの杉が時
価にして1億円とされている。樹令は130〜140年のも
のであるが,直径150cm,高さ50mに達し亭々として中
空に伸びている林相は他に見られない壮観である。この
ような杉が残っていることは管理者の努力によるもので
あるが土壌や温度湿度等が杉に適している自然的な条件
にもある。秋田,山形の県境に近く秋田の杉の美林の南
限に位いするものである。午後は陸羽東線で宮城県の北
部山地の学校林を見る。江合川流域の一帯は杉によって
おおわれ広葉樹林はほとんど見られない。戦後宮城県の
山林行政に努力したあとが歴然と林相にあらわれている
川渡に泊り,第3日は宮城県教育委員会を訪ね学校林の
現況について専門の指導主事の説明をきき仙台で解散を
した。
C 第11同県学校植林・環境緑化コンクール
参加校54校について治山課長技師と学校教育指導主事
によって10日間にわたり実地調査がなされ,8月10日林
務監室でその調査に基づき審査された結果,次の学校を
入賞校とし,学校植林並びに環境緑化の第1位の学校を
全国コンクールに推せんすることに決めた。
学校植林 環境緑化 第1位 知事賞 田村郡滝根町立滝根中学校 勿来市立山田中学校 双葉郡浪江町立浪江中学校 田村郡船引町立美山小学校 県立相馬農業高等学校 第2位 県教育委員会賞 県立東白川農商高等学校 安達郡大玉村立玉井中学校 喜多方市立慶徳中学校 双葉郡川内村立川内第1小学校 石川郡石川町立野木沢小学校 第3位 国土緑化推進委員会賞 県立猪苗代高等学校 安達郡安達町渋川小学校 南会津郡田島町立田島中学校