教育年報1960年(S35)-101/135page
(2)学校平均点の分布
種別\平均点 15〜 20〜 25〜 30〜 35〜 40〜 45〜 50〜 55〜 60〜 65〜 70〜 75〜 計 小学校 社会 1 5 6 5 3 2 4 2 ― ― 1 1 ― 30校 理科 ― ― ― ― 6 10 6 2 2 2 一 2 ― 30校 中学校 社会 ― 1 7 5 3 2 ― ― ― ― ― ― ― 18校 理科 ― ― ― 1 5 3 3 1 ― ― ― ― ― 18校 (3)県平均点
項目\学校区分 小学校 中学校 社会 理科 社会 理科 県平均点 40.3 50.1 34.6 43.4 学校単位 最高 71.5 79.3 43.2 51.9 平均点 最低 19.1 35.3 22.8 30.5 c,調査結果の全国的な位置づけ
(1)昭和32年,35年度の社会・理科の成績
学力の測定には長さの測定における物指,重さの測定
における秤りのような測定具がない。したがって一般に
は学力を測定しようとすれば,その測定しようとする対
象の学力を予測し,平均点を中心にして平均以上,平均
以下が共に長く裾をひいた形の数値で表われるように学
力検査問題を作成するのである。
このことから文部省の全国学力調査問題の作成にあた
っての態度を,今回の中間報告を通して見ると次のよう
である。
1表 昭和32年度と昭和35年度との出題方針の比較
教科\年度 昭和32年度 昭和35年度 小学校 社会 全国平均50点を期待して出題 解答の許容範囲をせばめて,正確さをより強く要求した問題を作成し,採点方法においても,そのような方針をとり.32年度よりやや低い平均点を期待して出題 理科 32年度の結果と比較することができるように考慮すると共に,現在の児童の知識,理解の深さや能力,態度も推測できるように構成した。 中学校 社会 全国平均50点を期待して出題 若干むずかしくなり,全国平均50点を下廻ることを予期した。 理科 全国平均50点となるよう期待した。 以上のねらいをもって作成された全国学力調査問題に
表われた,全国および本県の標本の成績は2表のようで
ある。
2表 答案に直接表われた成績
学校 小学校 中学校 教科 社会 理科 社会 理科 年度 全国 県 全国 県 全国 県 全国 県 32 55.7 48.6 51.3 45.4 55.7 49.6 49.5 44.1 35 45.5 40.3 51.7 50.1 41.2 34.6 47.7 43.4 この表から年度相互,教科相互,小学校と中学校相互
の学力の差異について,何がいい得られるであろうか。
2表にあらわれた数値を長さに例をとって極論すれば,
幾つかの長さを比較しようとして,ある物はメートル尺
で,あるものはヤード尺で,また他のあるものはそれぞ
れ曲尺で,鯨尺などで測った数値を持ちよったようなも
のである。従って2表にある数値の大小を論することは
意味のないことである。
前述せるように学力の絶対量を示す測定具が存在しな
いので,学力の評価の場合には相対的な測定値を用いる
以外に方法はない。そこで今回は全国の平均と標準偏差
とを基準にして全国平均を50点に,50点から左右への1
点のへだたりの大きさを標準偏差の10分の1とした尺度
を用いることにする。―学力偏差値―
このような尺度による年度別・教科別の数値は3表の
ようである。
3表 全国を基準とした学力偏差値
学校 教科
年度
小学校 中学校 社会 理科 社会 理科 32 46.8 46.6 47.4 46.4 35 48.1 47.5 46.6 47.2 ―全国平均=50,標準偏差=10
とした場合の本県の成績―
3表に示した数値のもとでは,年度,学年,教科相互
の比較が可能となるので,これらの点について考察を試