教育年報1960年(S35)-104/135page

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ことから,本県の最高より高い階級に属する学校が社会

では15.8%,理科では20.2%で小学校のように上位への

進出が見られない。

 ここでも先の個人単位の成績の場合と同様に小学校は

全国のトップクラスに近づいているが,中学校はこれが

ない。そこで小学校には低い階級に位置している学校

を,より高い階級に逐次上げていくことが望まれ,中学

校に対してはこの小さな学校差を維持しつつ,全体の成

績を高めるようにすことが望まれる。

 なお本県標本についての調査結果は報告書として配布

してあるので,問題のねらい,小問正答率等参照された

い。

D 高等学校入学志願者選抜学力検査結果

a,調査の目的

 高等学校入学志願者選抜学力検査結果の調査目的は,

選抜学力検査をより妥当な,より信頼のおけるものに導

くためのものである。これに付帯した目的として,その

折々の課題を取り上げてその解答を求めてきた。

 本年度は高等学校入学志願者選抜学力検査が,昭和35

年度以前の卒業で受験した者―浪人組―にどのように働

きかけたか。すなわち,本年度の学力検査問題は浪人に

対して,有利な問題であったか,又浪人組はどのような

学力の分野が現役に比し,より高まっていたかを見極め

ることを副次の目的とした。

b,進学状況

 過去5個年間の通常課程への進学状況を学校基本調査

についてみることにする。

 基本調査での各高等学校への志願者の中学校の卒業者

に対する百分比-志願率-は1表のごとくであるが,こ

れはその年度の卒業者の何%か,高等学校を志願したか

という,正しい意味での志願率を表わすものではない。

1表 基本調査に表われた志願率

年度 31 32 33 34 35
進学率 40.8 42.1 47.3 47.7 49.5

 すなわち各高等学校の志願者を集計した者のうちに

は,浪人,他県よりの志願,重複出願などが含まれてい

るがためである。

 そこでより実状に即した志願率を“卒業後の状況調

査”についてみると2表のごとく年々その志願率が上昇

している。

年度 31 32 33 34
志願率 37.9 38.9 42.5 44.3

  2表 卒業後の状況調査に表われた志願卒

 志願率は前述せるごとく高まりつつあるが,進学の困

難度を示す入学率は,全体的に一定の傾向はみられない

が,31年度以来低下しつつあったものが,34年度で梢上

向きを示し,35年度で急激な上昇を示していることが3

表によってうかがわれる。

  3表 公立,私立への進学率

年度 31 32 33 34 35
公立 74.1 73.3 72.1 72.9 77.6
私立 54.8 46.8 45.4 43.1 46.5

c,昭和35年度の進学状況

 35年度高等学校入学志願者選抜学力検査結果の調査で

は,県立高等学校の通常課程に志願し,選抜学力検査

を受けたものは35年3月の卒業者―いわゆる現役―で

19,040人,浪人の1,095人で計20,135人である。

 浪人の全受験者に対する百分比は5.4%であるが,こ

れを個々の学校についてみると4表のごとく18%以上の

学校もみられる。

4表 学校・部別の浪人の受験者中に占める百分比

百分比 0 0〜 2〜 4〜 6〜 8〜 10〜 12〜 14〜 16〜 18〜
学校数 3 9 17 15 14 3 3 2 1 0 1 68

 合格者は,現役組が16,168人,浪人組が772人の計

16,940人で浪人組が合格者に占める比率は4.6%となる

これは先の浪人が志願者中に占める比率より低い。これ

を各学校について現役で合格した者の現役全体に対する

百分比と浪人のそれとを示せば5表のごとくである。

5表 現役,浪人ごとの学校・部別合格率

項目\合格率 〜52 53〜 55〜 60〜 65〜 70〜 75〜 80〜 85〜 90〜 95〜 100
現 役 0 1 1 0 2 4 5 11 8 10 16 10 68
浪 人 10 1 1 3 4 6 8 8 1 3 20 65

d,35年度の卒業者とそれ以前の卒業者との成績の比較

 選抜のための学力検査は中学校の正常な学習を歪めな

いように,むしろ学習指導のあり方を示唆するようなも

のであるべきだ。特別な準備教育を必要としないような

学力検査問題でなければならない。と言われるが又実際

にもそのような努力が払われつつある。


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