教育年報1960年(S35)-113/135page
自己統制
X>メデアン X<メデアン 上位群 45 5 下位群 4 46 X2=66.59
その他
X>メデアン X<メデアン 上位群 45 5 下位群 5 45 X2=63.36
(3),検定に不合格の問いを含めた場合の非行の予測
環境では5つの問いに内的整合性が認められなかった
が,下位検査としての環境はこれが認められたので,以
下,40問から得られる合計失点の,非行を予測する程度
について検討をしてみることにする。
1),非行群と正常群の合計失点の分布
非行群と正常群の合計失点を,級間0.80の階級に分け
た相対度数分布表をグラフにしたものについてみると,
2つのグラフの最頻数に対応する合計失点の間に,相当
の間隔のあることが判る。
グラフの交点に対応する合計失点―19.70によって両
群を分けると,非行群では19.70以上のものが85.5%,
正常群では19.70未満のものが83.8%となる。今試み
に非行への境界点とみなすとき,非行群に属する生徒の
85.5%を,正常群に属する生徒の85.8%を正しく指摘し
得たことになる。
5表 非行群と正常群の合計失点の相対度数
合計失点 14.50 15.30 16.10 16.90 17.70 18.50 19.30 20.10 20.90 21.70 22.50 23.30 24.10 24.90 項目 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 非行群 1.5 5.6 6.1 10.1 13.1 14.6 15.2 13.6 6.6 7.1 3.5 正常群 0.5 9.0 15.5 17.5 21.0 15.0 10.5 4.0 5.0 0.5 1.0 0.5 置賜 1.0 2.0 5.0 9.9 6.9 21.8 10.9 14.8 14.8 7.9 1..0 合計失点 25.70 26.50 27.30 28.10 計 項目 〜 〜 〜 〜 非行群 1.5 1.0 0.5 100.0 正常群 100.0 置賜 2.0 2.0 100.0 2),非行への確率
性格検査の結果から,合計失点が求められた場合,こ
れをどのように解釈し,また対処すべきか。そこで合計
失点から非行への可能性を予測するための目安を,次の
ようにして定める。
非行群と正常群の度数分布表で,それぞれの階級ごと
に,非行群に属する生徒の非行および正常の両群に属す
る生徒の和に対する割合を求め,これをその階級の非行
への確率を示すものとする。たとえば合計失点が2,260
である生徒は,0.93%の確率をもって非行化するものと解
釈する。
6表 合計失点に基づく非行への予測表
合計失点\項目 非行群 非行する確率 正常群 非行しない確率 未満 〜16.10 0 0 19 100.0 16.10〜17.70 3 4.3 66 95.7 17.70〜19.30 23 24.2 72 75.8 19.30〜20.90 46 61.3 29 38.7 20.90〜22.50 59 84.3 11 15.7 22.50〜24.10 40 93.0 3 7.0 24.10〜25.70 21 100.0 0 0 25.70〜 6 100.0 0 0
3),置賜学院の生徒による検証
研究所の性格検査の合計失点による非行への予測性の
高いことは,“非行群と正常群の合計失点の分布”にみ
られるごとくである。しかし,これは研究に用いた非行
群,正常群に対するものであるため, このことによっ
て,ただちに検査の妥当性が保証されたとはいい得られ
ない。そこで置賜学院の生徒について検査の実際的妥当
性を調べてみることにした。
置賜学院の生徒101名の合計失点の相対度数分布は,
5表のごとくである。また先のグラフの交点に対応する
合計失点19.70未満の生徒は13.8%にあたる数であっ
た。
(4),内的整合性のない5問を除去した場合
1) 非行群と正常群の合計失点の分布
下位検査環境で内的整合性の認められない5間を除外
した35問による合計失点による,非行群および正常群の
相対度数分布は,7表のごとくであり,非行群と正常群
の分布の範囲は,それぞれ9.80,7.75であり,分布の範
囲を,問いの数に比例するものとして,先の40の問い
の分布の範囲から推定すると,それぞれ9.17,6.66とな
り,これは先の数値より共に小さい。すなわち,5問を
除外することによって,合計失点は小さくなるが,散ば
りの程度はその割に減少していない。