教育年報1961年(S36)-055/193page
要はないが,38,39両年度は新旧両課程が入り乱れる
ので科日別時間数が大きく変動するのである。これに
伴なって科目担当教員の必要数が増減し,しかも完成
後の必要数のバランスと逆の現象を呈するという困っ
た過渡期があることである。例えば,地理や生物は,
普通科においては1年に履修学年が指定されたた
め,従来2年や3年で実施していた学校では,38・39
年度では1年と2年または3年の両方で実施すること
になり,担当時数は平常の2倍となる。問題はその年
度の教員の必要数にのみ気をとられて,完成年度以後
のバランスを考えずに急増の上げ潮に乗って教員を採
用すると,40年度以後において教員の専門別バランス
が全くでたらめになってしまうことである。この点が
移行期間における大問題である。次には新科目担当教
員の現職教育の問題がある。倫理社会や地学などは今
後現職教育の必要がある。
第3の問題としては,従来普通科にあったコース設
定の問題が考えられる。その学校に設定すべきコース
は生徒の実態に応じなければたらないにもかかわら
ず,例えば進学者が少数なのに5教科重点の単位計画
を立てたり,教員組織のためにその教科の時間数を増
加したりするようなことがないようにじゅうぶんな検
討が必要である。
以上の問題点は高校長会その他の機会に資料を提供
し,検討を加えてきているので円滑な実施が期待でぎ
よう。
7 校長指導主事講座
文部省は校長,指導主事等に対し,学校管理,所属
職員の指導監督,各教科指導上の諸問題などについて
6月から12月まで7か月にわたり,各2週間の会期を
もって,東京学芸大学大泉中学校に研修講座を開設
した。本県からは下記のとおりこれに派遣し,多大の
成果をおさめた。
1) 小学校長講座
安積二小校長 菊地孝 第1回 松山小校長 遠藤仲男 第2回 八総鉱山小校長 芳賀真太郎 第3回 中谷一小校長 熊谷忠 第4回 要田小校長 加藤武 第5回 飯樋小校長 鈴木美夫 第6回 赤井小校長 風間覚雄 第7回 2) 中学校長講座
月舘中校長 遠藤順一 第1回 若松一中教領 鈴木貞雄 第2回 久ノ浜中教頭 吉田基 第3回 福大付中教頭 松井孟始 第3回 佐倉中校長 小林武俊 第6回 須賀川三中校長 半谷一三 第7回 3) 高等学校長講座
浪江高教頭 田中泰雄 第2回 湯本高教頭 八代俊一郎 第4回 4) 指導主事講座
行健小教諭 宗形虎雄 国語 高野小教頭 藤田茂 道徳 若宮中教頭 阿部浩 数学 三神小教頭 水戸亥三郎 社会 小高中教頭 志賀浩作 理科 本庁指導主事 横内直典 技家 油井小教頭 菅家勝豊 特活 8 学校長等海外教育事情視察
女部省の補助による海外視察は,昭和34年度に小学
校長代表を,35年度に中学校長代表を派遣したので,
36年度は高等学校長代表として,会津高等学校長
田中平作氏を推薦した。氏は,ヨーロッパを中心として約
2ヵ月にわたり,イギリス,フランス,西ドイツ,イタリア,
アメリカを巡歴し,多大の収穫を得て帰国した。
9 教職員研究奨励
教育公務員は,たえずみずから研修に努めなければ
ならないのであるが,特に教育に関する事項や自然,
人文,社会各科学の専門分野について研究を続けてい
る幼稚園,小,中,高,および特殊教育学校の教師に
対し,補助金を交付してその研究を助成することは教
育振興上重要な施策である。この教職員研究奨励金制度
は,本県においても昭和25年度から29年度まで施行
されたのであるが県が,財政再建団体に指定されて以
来姿を消していたものである。
復活第1年次として,36年5月上旬募集公示・5月
末日締切ったが,総数,65点の応募があり,先生方の
研究意欲の旺盛なことに驚きかつ喜んだ次第である。
分野別応募者数は次のとおりである。
教育部門 23件,技術部門6件,
自然科学部門21件,
社会科学部門14件,
人文科学部門1件
審査は以上の各部門別に内容を精査し,各部門の応
募件数に比例して交付者数を配当した。また小,中,
高校の提出数についても考慮すること・研究実績のあ
るものを優先すること,研究内容が新しく研究開拓者
であって実現可能性のあること,研究成果が本県文
化,教育の向上に役立つと思われるものであること等
の選考基準により選考を行なった。各専門部門の推薦
者数は全体会で再調整し,7月10日第2次審査会にお
いて総数10名を最終決定した。これら10名の人々に対
しては,8月中に奨励金を交付した。なお,交付者は
年度終了後1ヵ月以内に研究成果を報告しなければな
らないことになっている。