教育年報1961年(S36)-063/193page
学校長の現職教育としては,文部省主催の研修講座
や全国校長会に派遣したほか,文部省と県教委共催に
よる小中学校長研修会を会津若松市に開催した。この
校長研修会は3カ年計画の第2年次に当る。また教頭
研修会も福島及び原町において実施し,それぞれ管理
職として必要な事項について研修を行なった。
学校長の海外教育事情視察については第3年次に当
り,高校長代表として会津高校長田中平作氏を派遣
し,英国を主とする欧米の教育事情を視察させてい
る。
優秀教員の確保,特に工業教員の確保のためには本
年度新規事業として中学校教員中有資格者を国内工業
系大学に6ヵ月の長期研修生として派遣した。
また学力の実態をはあくするために,文部省の全国
学力調査の完全実施に努め,教育調査研究所を中心と
して出張所,本庁,一致協力し,目的を達成すること
ができた。しかし学力の実態は全国に比しきわめて低
位にあり,2月県議会で本県の学力低下について論議
されたことは遺憾にたえない。抜本的な対策が望まれ
る次第である。
第5節 道徳教育生活指導
1 道徳教育
小中学校に道徳の時間が設置されてから,ことしは
第4年めである。研究の面においても,指導の実際の
面においても,それにふさわしい進歩を示しているも
のと認められる。
県教委主催の研究会は,「道徳の時間指導法の実際
的研究」を主題として,県内3ヵ所(10月・柳津町,
11月・伊達町,2月・相馬市)で開催され,また各郡
市道徳教育研究会主催の研究会も各地において開催さ
れた(研究団体の活動が活発化したことも,本年度の
成果の一つである)。これらの研究会について共通し
ている特色は,次のようたことである。
○ 授業が,学習指導要領・指導書・「道徳の時間の
指導」(県教委学校教育課編)等の解説をよく消化し
たかたちで実践され,明るく楽しいふいんきであっ
た。
○ 会場校の研究物や参加者の発表は,実践記録等の
具体的資料について検討を加え,多くの創意くふうを
生み出していた。
○ 「子どもは理解している,しかし,実践がともな
わない。」という悩みが,多くの教師から述べられて
いた。
県教委の研究指定校であった富久山行健中学校は,
「道徳の時間の指導と評価」を主題とし,2月3日に
研究発表会を行なった。当日の授業(特に劇化)なら
びに研究集録(特に指導と評価の実践記録)は,実に
すぐれたものであった。
以上は,研究会や研究指定校から得た感想である
が,一般の学校におけるふだんの指導はどうであろう
か。多くの先生がたの意見を総合してみると,「いち
おうのかたちは整っているが,子どもの心に強くうっ
たえるものがたりない。」ようである。こうした点を
改善するために,今後特に指導過程を検討し,合理化
をはかることが,大きな課題であると考えられる。
※ 小学校教育課程研究協議会の道徳部会における研
究協議の重点
○ 道徳教育の諸問題
・ 道徳性の内面化
・ 道徳の理解と実践
・ 道徳の時間と学級会活動
○ 指導計画および指導法の改善
・ 指導計画の改善―その着眼点と手続き
・ 指導方法の改善―その着眼点と手続き
○ 道徳性の評価
・ 道徳性評価の観点
・ 道徳性評価の方法
※ 中学校教育課程研究協議会の道徳部会における研
究協議の重点
○ 道徳の時間の指導の問題点
・ 内面化について
・ 道徳的理解と実践について
・ 道徳の時間の指導と学級活動の指導との関連
○ 道徳の時間の指導の改善
・ 指導計画
・ 指導法
2 生活指導
昭和36年度県教育委員会努力目標の3「道徳教育及
び生活指導の徹底に期する。」に基づき,具体的な項
目をあげて,その成果をあげることを期した。
特に,○生活指導組織の強化と運営の改善,○個人指
導の強化と指導技術の向上の二面に重点をおき,指導
組織の整備・強化をはかるとともに,生活指導の方法,
技術に関する研修の機会を多くすることに努めた。
また,道徳教育との密接な関連をはかり,校外生活
指導については,保護(補導)委員会等の組織の育成
に力を注ぎ,その活動と協力とよって指導の徹底を期
してきた。
(1)生活指導関係通達
生活指導関係の教育長通達のおもなものは,次のと
おりである。
◎児童生徒の交通事故防止について(36・6・30)
◎春季全国交通安全運動の実施について(36・4・25)
◎夏期休業中における児童生徒の指導および学校の管
理について(36・4・20)
◎道路をまもる月間について(36・7・18)