教育年報1961年(S36)-140/193page

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した。小学校・中学校とも標本数1000名,標本校中学

校25校,小学校45校を目標とし学校規模による層別を

行ない,無作為抽出によって標本校を決定した。なお

各出張所管内に標本校が選定されるような考慮を払っ

た。

 学力検査は3月13日(中学校)14日(小学校)に各

出張所の指導担当者および研究所員がテスターとして

全般の管理運営にあたり,各学校のテスト補助員によ

って直接テストを実施した。

 テスト結果にあらわれた各小問の正答率と標準化し

た換算Kスコアは「学力検査の手引」で示したとおり

である。

 なお,この学力検査問題を学年末または学期初めに

用いて,学習指導の反省や計画の資料にしている学校

が年々増加し,利用している学校は県内の半数以上に

なっている。

2 望ましい学習指導法の実証的研究

  ―35年度研究計画および結果の概要―

 研究所は昭和32年以来3ケ年計画で,小学校・中学

校における国語,算数,数学の2教科の診断的性格を

帯びた福島県で標準化した学力検査問題の作成にあた

った。この間,標準化のために実施した学力検査の結

果を分併し,診断,治療の関係をより明確にすること

に努めてきた。この研究を進めている過程において,

自ずから望ましい指導体系が描きだされてきたので,

これを実施する研究を35年度から2ケ年の計画で着手

した。

 望ましい指導法とはどのようなものであるかは,紀

要37「望ましい学習指導法の実証的研究の報告書」お

よび年報に示しておいた。

 35年度の研究結果は,統計的な処理のため会計年度

との間にずれを生じたために,前記の報告書および年

報にこれを掲載することができなかった。そこで1カ

年の時間的なずれはあるが,35年の結果の概要を示し

て記録に止めることにする。

(1) 研究の目的

 過去3カ年にわたって診断的性格を帯びた福島県で

標準化した学力検査問題の作成を進めてきた,標準化

にあたっての標本調査結果誤答分折を通して,うちた

てられた「望ましい学習指導法」の実施的な研究を行

う。

(2) 研究教科・対象学年

 診断的性格を帯びた福島県で標準化した学力検査問

題を国語・算数。数学の2教科について作成してきた。

従って, 「望ましい学習指導法」も国語,算数。数学

のそれぞれについて考えられるが,昭和35年度は一応

国語について,実証的な研究の方法を研究する。

 研究のための学年として小学校第5学年を用いる。

(3) 実験群と統制群

 「望ましい学習指導」を実施する学級の集団一実験

群一と,この学級集団の学習効果を比較するための学

級集団―統制群―とを設定する。

 A 実験群と統制群の教師

 児童の学力形成の大きな要因は教師である。そこで

両群の教師集団の学歴,経験年数,所属教科研究部な

どを考慮してその同質化に努めた。

   1表 実験群と統制群の教師の学歴
郡\学歴 師範 青師 短大 新大
実群験   10.0 70.0 20.0 100.0
統制群 11.1 11.0 55.6 22.2 100.0

   2表 実験群と統制群の教師の経験年数
郡\経験年数 2 3 4 5 6 7
実験群 10.0 20.0 20.0 10.0 10.0 10.0 20.0 100.0
統制群 11.1 11.0 22.2 11.1 11.1   33.4 100.0

   3表 実験群と統制群の教師の所属教科研究部
  国語 社会 算数 理科 国語と他

の一教科

その他
実験群   10.0 20.0 20.0 20.0 30.0 100.0
統制群 22.2 22.2 22.2 11.1 11.1 11.2 100.0

 B 実験群と統制群の児童

 実験群と統制群に属する児童との等質を保証するた

めに次のような処理を行なった。

 1) 東大A-S知能検査および研究所が作成した国

語・算数の学力検査を実施して

 2) 国語の知能に対する回帰直線:y=1・36x+

5・13,算数の知能に対する回帰直線:y=1・52x

+8・6,9を求め,y=1・36x+5・13±1・5

×7・41およびy=1・52x+8・69±1・5×8・

50のそれぞれが決定する2直線内に位置する実験群の

児童のみについて。

 3) 実験群に属する児童の国語・知能・算数の得点

にある一定の範囲をもたせ,統制群のうちからこれに

対応する児童を選び,実験群の児童と統制群の児童と

の間に一対一の対応をさせ,これをもって実験群,統

制群とした。

   4表 実験群と統制群の知能等の分布
   知能 6.25未満 6.25〜 12.81〜 19.39〜 25.97〜
実験群 12 59 82 82 23 258
統制群 12 59 82 82 23 258

 4) 以上のようにして編成された実験群と統制群の

知能および国語,算数の成績は次のようである。


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