教育年報1961年(S36)-158/193page

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(5) 読むこと

書くこと

文章の構成

○文と文との続きをとらえる力  53.2  
○文章を組み立てる力
(○会話の場面をとらえる力)
読むこと

書くこと

文章の読解と構成

○作者の考えを文脈の中で読みとる力    36.4
○文章を組立てる力
(○話し方に関する理解)
 全 49.6 53.1

 2年は各領域の正答率が平均していて46.1%〜53.9

%の間にあるのに対して,3年では36.4%〜67.3%と

その開きが大きいのが目立っている。(1)の文字と語句

では3年の正答率がわずかに高く,(2)と(3)の科学的文

章の読解では2年3年がほとんど同じである。ところ

が(4)と(5)は2年と3年が反対の傾向を示している。す

なわち,(4)の物語,小説類の文章では,2年が53.9%

たのに対して3年は67.3%という正答率を示してい

る。そして(5)の領域では2年が53.2%で3年は36・4%

という正答率になっている。以下,各問題領域ごとに

2年,3年ともに問題となるおもな点をあげることに

する。

2) 「領域ごとの問題点」

(1) 文字乏語句

 ・漢字の弁別力

 これはひじょうに低く,合計4つの小問の平均正答

率は37.6%である。小問は全部,同音異義語または同

音異字に関するものであったが,これは漢字全体の能

力にきわめて深い関連をもつものである。したがって

これらの問題がよくないことは漢字の総合的な能力が

低いことである。一方語い力が乏しいことが原因で

漢字の正しい弁別ができないことも見逃せない。

漢字については,語いの学習とあわせて,文字機能の

面から指導することが必要である。

 ・語句の意味や用法の理解

 理解できる語いと,理解できない語いとの差がはっ

きりしていて,理解できる語いは比較的かぎられてい

る。理解語いを基礎にした,語い拡充の方法にくふう

をはらうべきものと思われる。とくに用法は強く取り

上げるべき指導上の問題である。

 慣用的な語句とともに,漢語に対する和語の理解が

とくに劣っている。文字低抗のないことばはおろそか

になりがちであるから指導上留意することが肝要であ

る。

(2) 記録,報告類の文章読解

 ・要旨のはあく

 段落の要旨はよみとれても,全体の要旨をとらえる

ことに多くの難点がみられる。段落ごとのまとめまで

はよく指導されるが,文章全体の幸場から,段落相互

の関連をとらえる指導がなされないという一般の傾向

を裏書きしているようそもある。段落ごとのまとめを

基礎にして,全体を考えさせる指導を計画的に取り上

げることによって,要旨はあくの指導敷果は期待でき

る。

 ・文脈の中での語句の意味や用法の理解

 文章の細部にわたって注意深く読む態度ができてい

ないための欠陥が目立っている。かんたんなことばで

も,文中で重要な意味をもっている場合など,そのこ

とに気づかないでいる。またことばによってはそれ自

体の意味と用法をおさえておくべきものがあることの

意識も足りない。

 語いの指導では,基本的にしっかりその意味をとら

えさせる面と,文脈によって限定される意味との両面

からおさえることが大切である。

 ・ことばのきまりの理解

 文の成文の照応についての問題は1問だけで,正答

率は70.9%である。これはこれからのことばのきまり

の指導事項として注目すべきことである。

 指示する語句についての問題は43.3%,64.3%とい

う正答率である。文と文の関係の上からその内容を正

しくとられることに指導が加えられるべきである。

(3) 説明,論説類の文章読解

 ・要旨や構成のはあく

 前問の要旨はあくとほとんど同じ傾向を示してい

て,合計4問の平均正答率は44.1%でかなり低い。文

章の部分や素材に気をとられて,筆者の考えを読みと

る段階までいかたいのが目立つ,これは文章の主要な

部分と付加的な部分とを読みわけることと,段落の区

切りを手がかりとして筆者の考えを読みとることの技

術が不足しているからである。この二点はこれからの

指導において重視されなければならないことである。

 ・文脈の中での語句の意味や用法の理解

 語句と文との関連をとらえることが不十分で,自分

勝手な解釈をする傾向が強い。とくに要旨に即した語

句を適用する問題はよくない。語句の指導においては

用法を重視していくことが大切なことである。

 ・ことばのきまり

 文の中の意味の切れ目を問う問題が1問ずつあっ


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