教育年報1961年(S36)-162/193page
表2 (百分率)
学年\領域 数 式 数量関係 計量 図形 平均 2年 62.5 60.5 47.2 48.9 55.9 55.0 3年 46.5 44.9 38.9 47.2 48.9 45.3 2年において,平均55.0%より低い領域は,数量関
係,計量であり
3年において,平均45.3%より低い領域は,数量関
係,式となっている。
2,3年とも領域「数量関係」が他の領域よりも低
い率で表われていることは十分検討する必要があると
思われる。
また2年の計量,3年の式についても同様である。
勿論この正答率の低い方が,高い方の領域より学力
が劣っているとは,即断出来ないが,一応の目安とし
て考えることは出来る。提出されてある問題より,特
に3つの領域を取り出して考察を加えてみる。
ア 領域「数量関係」
この領域の指導の困難性は,いつも問題になる点で
ある。
比例教材は小学校から,高等学校まで各々指導内容
を持っている。しかも,他の指導内容のように明確に
区分されることが困難である。指導者として小,中,
高の流れのなかで,現在何を指導するのかを十分吟味
してかかる必要がある。
正比例,反比例,一次関数,二次関数と関数の指導
は相当の飛躍がなされる。どうしても指導効果をあげ
るための研究を,他の領域よりも重視する心がまえで
進めなくてはならない。
イ 領域「式」
この領域で問題になるのは,指導の初期では文字の
問の関係を量と切り離さないで,指導することである
量の関係の抽象として,立式させることを重視しな
いため,式の計算,立式,方程式の解法と進むにつれ
て,文字の対応関係がつかめなくなると思われる。
量の関係から文字を数と見ての関係えと順を追って指
導されることが望まれる。
文字計算は代数の基本である。「1年では文字を用
いて数量およびその問の関係を式に表わし,また式か
ら量の関係をわかるということ」「2年では文字式の
意味の理解を深め,文字式の計算に習熟させ,また方
程式を立てたり,解いたりすることができるというこ
と」を指導の骨組とすべきでなかろうか。」
ウ 領域「計算」
この領域では大きくわけて,図形(平面・立体)の
面積,体積,縮図による測定,速さであり,これが3
年になって三角比を用いての測定と発展するものであ
る。
縮図教材の指導は,直観的,具体的に合同,相似の
概念につながる一つの過程となるのであるから,十分
吟味しなければならない。
また面積,体積は一応完成の位置にあるはずで,面
積,体積を求める公式の理解と公式の記憶は復習を通
して確実化させる必要があると思われる。
3) 学年としての考察
テスト結果から眺めて,問題点として考えられる点
につき,学年毎に項目的にあげてみると
ア 第2学年
・正の数,負の数の概念の理解
・立式
・比例と反比例の概念の理解
イ 第3学年
・立式,式の計算
・合同,相似の理解
・図形の求積
となっており,これが理解を深めるための,指導の
あり方について,われわれは具体的な研究を進め,学
力向上に役立つ一つの方法としたいものである。
理科
理科においても,他教科同様今回の中学校の全国一
せい学力調査に基づき,その誤答分析を行なった。理
科については,男女差を考慮し,それぞれほぼ同数の
生徒を抽出し,その差の考察についても試みた。
平均正答率はつぎのとおりである。
第2学年 第3学年 男 女 計 男 女 計 56.1 48.6 52.4 50.7 43.6 47.1 これを前年度の全国平均47.7%と比較すると,第2
学年は高く第3学年もこれに近い結果であった。しか
し前回とくらべれば大部分問題が異っており,このこ
とだけからよい結果であったと考えることはできな
い。問題の内容から考えれば,悪い結果ではなかろう
かと思われる。更に正当率を問題別にみると,問題点
がはっきりしてくる。
・正答率の状況
級間 該当する問題数 級間 該当する問題数 (5%) 第2学年 第3学年 (5%) 第2学年 第3学年 91以上 1 0 51〜55 6 5 86〜90 2 0 46〜50 5 8 81〜85 3 0 41〜45 6 4 76〜80 1 2 36〜40 4 3 71〜75 1 3 31〜35 5 4 66〜70 2 2 26〜30 1 2 61〜65 0 2 21〜25 1 0 56〜60 2 3 20以下 0 2 この表からわかるように,正答率の高いものと低い