教育年報1961年(S36)-163/193page

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ものの間にはかなりの開きがみられる。これは,問題

による難易の条件を考えても大きいように思う。

第2学年では最高94.5%,最低は23.9%となってお

り,第3学年においても最高77.8%最低はわづか19.0

%とたっている。

 更に,正答率の低かった部に属する問については,

テストの形式からくる偶然正答者を考えた場合にはま

ことに問題である。

 第2学年について正答率35%以下の問は7問である

が,中物理的内容の問が3,化学的内容の問が3,地

学的内容が1,となっている。

 第3学年についてみると8問中,化学的内容が2,

生物的内容が1,地学的内容5,となっている。

 このように各分野に正答率の低い問題がみられる。

このことを明確にするため各分野の平均正答率をみる

とつぎのとおりである

  ・ 分野別平均正答率
学年  第2学年 第3学年
性別
分野
物理的内容 49.0 37.3 43.2 62.7 53.7 58.6
化学的内容 43.0 35.0 39.0 48.6 39.5 44.3
生物的内容 64.6 60.4 62.5 52.8 47.3 50.2
地学的内容 49.2 38.1 43.9 44.2 39.9 42.2
実験器具 88.2 86.4 87.5      

 上記正答率の低かった問と,この表を比較して考え

ると両学年共通に低かったのは化学の分野であること

がわかる。

 ついで第2学年の場合は,物理と地学が低い結果を

示している。第3学年では地学の分野が低くなって

いる。

 両学年をとおして考えると,化学的内容,について

弱いことになる。しかし,問題別に考察すると,すべ

ての分野に問題点がみられる。紙面の関係もあるの

で,詳細は後日に予定されている誤答分析の報告書に

ゆずるが,化学,を中心に問題の二三について例をあ

げることにする。

学年 問題番号 問題の内容 正答率
2 問,小問 炭素の燃焼で,発生する 56.1
10 1 気体を指摘する。
10 2 亜鉛に希硫酸を注いで発生する気体。  33.1
10 3 二酸化炭素の性質と捕集法の関係考察。  23.9
10 4 電気分解で+極の試験管に集まる気体(図示)  37.2
 3  5 3    空気の成分,混合物についての知識  19.0
5 4 炭水化物の成分,基礎知識 38.2
5 5 たんぱく質の成分についての基礎知識     19.2

 この表からもわかるように,常識的な二酸化炭素の

発生についても50%程度の正答率であり,第3学年の

ように物の成分についての問では,更に低い結果を示

している。また第2学年の場合は,物質の性質と実験

の方法を考察する問が最低となっている。このこと

から,つぎのようなことが考えられるのではなかろ

うか。

 1) 物質について特性がよくとらえられていないの

   ではなかろうか。

 2) 常識的と思われる燃焼による二酸化炭素の発生

   についてもわりに高結果になっていない。化学

   変化についてよく理解されていないためではな

   かろうか。

 3) 混合物,化合物などについて明確に理解されて

   いないのではないか。

 4) 水素の実験のように興味がもたれ印象的な場合

   も,化学変化をとらえさせたり,基礎となる知

   識を定着させることには,くふうが必要であ

   る。

 5) 実験の装置や方法についての吟味や,関係考察

   力についての指導に改善が必要である。

 6) 空気,水,炭水化物,水素,酸素など,より基

   礎的で生活に関係深いと思われるものについて

   の理解が不じゅうぶんである。

つぎに,第3学年でもっとも低い結果を示した地学

的内容についてみてみようと思う。

学年 問題番号 問題の内容 正答率
 3 問,小問 天気図の風向記号から風向を判断する。 34.8
6 1
6 2 寒冷前線についての知識 71.0
6 3 温暖前線の記号から実際の様子を判断する。  33.9

紙面の関係上第3学年だけにするが,この表からつぎ

のことが指摘されると思う。

 更に,このようなことについては,単に3年だけで

なく2年の場合にもみられることであり,他の分野の

場合にもみられる。

 すなわち,風向についての正当率が案外低く,前線

の記号については高い正答率を示していながら,実際

のようすについてはきわめて低い。まとめると

 1) より基礎的なことがおろそかにされていないか


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