教育年報1961年(S36)-171/193page
連絡提携 イ 福島県公共図書館協会との協力 ロ 福島県読書推進運動協議会への支援 福島県学校図書館協議会との連携 ハ その他行政機関への呼びかけ 1) 昭和36年6月27日に行なわれた監査概評に
ついて触れておきたい。
「管理運営の面においては適切であると認められる
が,前年度より利用者数及び貸出図書冊数が減少して
いるのは,利用統計方法の変更とブックモビールの運
行コースの変更等によるためであることを了承する。
なお,利用者の大部分は学生及びいわゆる白線浪人
であるから,一般社会人に対する読書普および図書館
施設利用の方法について,一段の努力を願いたい。
係員…特に奉仕係は文字どおり奉仕者であるから,
気分の上でも環境の上でも今後一層のサービスを要望
したい。
経理関係もおおむね良好と認められるが,細かいこ
とについて二,三注意を要する点について,事務局長
から申しのべるこことにする。以下略」
この概評は大きく別けると,管理運営の面と経理執
行の面の二つになり,管理運営の面では更に三つに細
分される。
イ 利用者数と利用図書数が減った。
しかしこれは利用統計のやり方及びブックモ
ビールの運行計画が変更されたからで,この点
はわかった。
ロ それにしても本館の利用者は大部分が学生と白
線浪人であるから,もっとサービスの方向を一
般社会人に向けてほしい。
ハ 係員は文字どおり奉仕者であるから,精神的な
面でも環境の盛りあげを願いたい。
たしかに,昭和35年度は昭和34年度よりも,利
用者及び利用冊数が減った。その最大の理由は,静か
な環境をつくるために,「定員制」を設けて,定員に
到達すると入館を断わったからである。この方式は利
用者の新陳代謝をさまたげ,一度入館したらその席を
新しい利用者に譲ろうとしなかった。
だが,利用者数とか利用図書数の増減にかかわりな
く,一般社会人の利用が非常に少ない。これに対して
はどういう対策をとっているのか。
もう一つ,サービス精神という面で反省の余地はな
かろうか。
2) 昭和36年度の予算の一部を昭和35年度に繰
上げて,約50人分の閲覧用の机と椅子を造っていた
だいた。
その結果は,昭和36年4月から11月までの一日
平均384人となり,昭和35年度の一日平均335
人に比して49人の増となっている。これは丁度増加
した椅子の数に匹敵している。
そこで昭和36年12月から古い机や椅子をもち出
して,一つは展示室をにわか閲覧室となし,もう一つ
は特別参考室を一般社会人に開放した。殊に特別参考
室の机は,教育調査研究所等からの借物である。これ
は12月から3月までの受験生のために臨機応変の措
置をとったわけであるが,昭和37年3月11日現在
で12月から今までの一日平均631人となり,昨年
度の335人に比較すると,296人の増である。
工夫はすべきものではあるが,同時に混雑をまねい
たことは申しのべるまでもない。
3) 昭和36年8月28日次のような諮問を行たっ
たところ,図書館協議会から昭和36年10月13日
付で別表のよな答申案を得た。
(諮問事項)
学生層の館内利用の増加に伴なう設備の充実とその
限界について
(答申案)
福島県立図書館は,創設以来福島市立図書館的な性
格を内包しているために,戦後(昭和25年)図書館
法の制定を見,多くの市立図書館が極めて活発な活動
を展開している今日においても,依然として「県立に
して市立」図書館的な二重性格を払拭できないでいる
ように見受けられる。
でき得るならば,郡山市や会津若松市のように,
福島市にも市立図書館が設置されることが,たいへん望
ましいことであるが,もしそれが早急に実現不可能で
あるとすれば,県立図書館の開館時間を延長して,主
に福島市に住む一般社会人及び学生諸君を対象として
落着いて勉強できる環境をととのえ,昼間における利
用者の緩和をはかることも大切なことと思われる。
ただし,開館時間の延長に伴なう費用,並びに若干
の資料費等については,福島市に負担していただくよ
う希望したい。
なお,直接学生諸君のためには,学校図書館を整備
し,特に学校図書館で働らく司書及び司書補の身分を
確立して,放課後も学生諸君が充分に利用できるよう
県立図書館においても側面から協力し,併せて学校図