教育年報1961年(S36)-173/193page

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   図書館資料を借り受け,それをもって図書館の

   外に出て勉勉する者

 この二種類は,ともに図書館の内部に一度は入ると

いう意味で,「館内奉仕」というのであろうが, 厳密

には「個人貸出」のことである。個人貸出の中で,館

内利用者と館外利用者の二つがある,と理解していた

だければよい。

     個人貸出冊数
  昭和34年 昭和35年 昭和36年
館内利用 73,738冊 51,274冊 未整理
館外利用 9,141冊 7,697冊 未整理

     その利用者数
  昭和34年 昭和35年 昭和36年
一般社会人 13,727人 12,533人 未整理
無職及び主婦 12,656人 12,469人 注 非常に増えることは予想できる。

既に一日平均200人近く増えているのであるから。

学生 85,917人 70,763人
児童 6,591人 4,680人
118,891人 100,445人

 このような個人貸出のほかに,団体貸出がある。団

体貸出は,

 ブックモビールによるもの

 青少年巡回文庫によるもの

 分館(6分館)及び本館によるものである。

 1) 分館活動について先に触れておきたい。ここで

問題になるのは,分館の所在する市には恩恵があるけ

れども,その市の周辺にある町村はさっぱり恩恵を蒙

らないということである。下表をごらんになれば分る

とおり,福島が2対5という比率を示しているだけで,

その他は逆である。

  分館所在の市とその周辺町村との利用比率

1 本館(福島) 2:5
2 郡山 31:1
3 若松 14:1
4 平  4:1
5 白河 4:1
6 相馬 4:1
7 田島 0:38

 ここで4対1というのが3分館あるけれども,その

数字の内容はそれぞれ違っている。

 石域地区は,平市のほかに4市があって,この4市

は殆ど全く分館を利用していない。だから,この4対

1は若松とか郡山のような状態に近づくことがわかる

 相馬地区は,相馬市のほかに原町市があり,これも

石城地区の4市と同じように殆ど全く分館を利用して

いない。だから石城地区ほどではないにしても,この

4対1は若松のような数字にかわる。

 白河地区は,白河市一つであるから,文字どおり4

対1と見ていい。

 田島地区は市がないので,これは論外である。しか

し,これも,田島町と田島町以外の町村とに分けて,

利用状況を調査したら,おそらく若松とか郡山と同じ

比率を示すのではなかろうか。それほど分館活動とい

うのは,分館所在地以外にはサービスがゆき届かない

のである。

 2) 青少年巡回文庫は昭和30年度から文部省の発

案をもとにして実施してきたものであるが,昭和35

年度から運営方法を一部変更し,分館所在地を除く最

避遠の地の青少年を対象にして巡回してきた。

 昭和35年度は利用状態を掌握できたかったので,

昭和36年度は両沼地方をモデルケースとして,青少

年巡回文庫の利用状態をできるだけ掌握して見たいと

思った。

 青少年巡回文庫の最大の悩みは,利用しても利用カ

ードに書き込まぬこと,及び文庫の回転率がわるいこ

とである。そこで両沼地方では,利用カードを厚い表

紙でおさえ,紛失しないようにはかるとともに,記入

の方法を簡単にして見た。この方法は他の方部にも普

及したいものである。

 3) ブックモビールも昭和35年度から運行計画の

一部を変更したが,その結果は

コース 利用人員 利用冊数
信夫・伊達コース 1,887人 3,822冊
安達・田村コース 660人 1,328冊
岩瀬コース 512人 992冊
耶麻コース 375人  669冊
3,434人 6,811冊

 となり,ブックモビールは一人あたり2冊の割で利

用している。高い経費をかけているのであるから,こ

れは当然といえば当然であるが,分館においては利用

人員が約1万3千人,利用冊数が約2万3千冊,一人

あたり1.8冊となり,図書の回転率は余り変らない

 4) そこで,団体貸出の効果ある運営はどうずれば

よいか,ということであるが,それには二つの方法し

か残されていないように思われる。その一つは,長野県

のように,配本所を県内に沢山設けて,そこまで本

をもってゆき,県内の隅々からそこまで本を取りに来

てもらう方式である。もう一つは,千葉県のように,

余り大きくないブックモビールを沢山購入して,その

ブックモビールで県内の隅々にサービスする方式であ

る。本県の「分館」「ブックモビール」「青少年巡回

文庫」だけでは,血のかよったサービスはかなり無理


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