教育年報1961年(S36)-190/193page

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的にみて,市には多く農村には少ない。もっとも市と

農村では各種条件が異たるので当然のことかも知れな

いせめてブックモビールの巡回地域だけでも,もう少

し読書会の育成を押し進める必要がある。そこで,今

年度は極力ブックモビールの駐車場管内にある公民館

や利用団体に働きかけた結果,信夫,伊達コースで8

安達コース1,岩瀬コース2の読書会が結成された。

この読書会の運営は,主体となる青年層が最近現金収

入の道を求めて,農閑期を利用し都会や近接地区の

町工場,会社に出稼ぎにいく傾向がでてきている。その

ため,活動期とみられる時期に却って活動が低下し,

現に今まであった読書グループでも解散寸前にあると

いうものも若干でてくるようになった。

 このような状態の中では,読書会の調査も的確にそ

の数を把握することは容易でない。しかし図書館とし

てもこの実態を掌握して,すべての運営の基礎資料に

資する必要があるので,明年度は特にこの点について

強力なそ置を講じたい。その対策として考えられるこ

とは,県教委出張所と地教委の協力をお願いして,常

に管内の読書会の動静(結成,解散)の実態を把握し

て戴く一方,育成については積極的な働きかけと指導

助言を依頼するようにしたい。

 このようにして,各地域における読書グループ育成

の基盤を作るとともに,県立図書館としても読書会の

リーダーとなる人々の養成については,講師を派遣す

るとか,講習会を開催するとかしてその育成をはかっ

ていきたい。

 今年度もこの趣旨にそって3月20日には福島市公民館

と共催のもとに市公民館で,今年度の読書会リー

ダー講習会を開催したが,講師には作家の畔柳二美氏

を招いて「これからの生活と読書」の講演を実施し,

リーダーの養成に努力している。

 別表5 県下の読書会結成状況

  (昭和35年9月現在)
市郡別 読書会数 会員数
福島市 62 575
会津若松市 20 322
郡山市 51 2,042
平市 4 51
白河市 28 605
原町市 2 131
須賀川市 4 69
喜多方市 4 53
常磐市 15 91
相馬市 15 250
内郷市 9 89
勿来市 5 70
信夫郡 22 431
伊達郡 60 1,199
安達郡 3 53
安積郡 3 55
岩瀬郡 14 254
南会津郡 7 114
北会津郡 2 30
耶麻郡 4 122
河沼郡 1 23
大沼郡 1 36
西白河郡 4 96
石川郡 2 55
田村郡 20 338
双葉郡 7 85
相馬郡 4 132
合計 373 7,371

  5 読書感想発表会の実施状況

 従来の読書は,一般的にいって個人読書が慣習とた

っていた。しかし最近では前記にもあるように集団読

書という形態で読み仲間をつくり,お互いに読後感を

述べ合い,ものの見方,考え方についてそれぞれの角

度から探し求める方法が最も理想的な方法といわれて

いる。

 この読書の在り方を普及する意味から考えて,図書

館では毎年この読書感想発表会を実施しているが,今

年度で10回目を数えるに至った。県下の8地区

(福島,郡山,若松,白河,磐城,相馬,須賀川,田島)

で県大会に出場する代表者を選び,2月18日にこの

読書感想発表県大会を本館において開催したが,盛会

裡に終了した。このことは所期の目的を達成したもの

として今後この事業を継続実施すれば,その成果も年

々向上するものと思われる。

 6 館報「あづま」による図書館活動

    のPRと文化事業

 およそ何事によらず事業を経営するに当って最も必

要なことは,その事業の内容,あるいは活動状況を一

般大衆に徹底することが先決条件で,いわゆるPRの

如何がその事業の成果に大きく影響するものである。

ましてや図書館活動は比較的地味な存在で,一般大衆

は関心を示さない傾向が強いようにみうけられる。

 この傾向に対し,機会あるごとに移動図書館

「あづま号」を利用し啓蒙を行ない,あるいは館報「あづま」

を毎月発行し,また文化事業として,「著者と読書の

集い」を開催する一方,新聞,ラジオ等のマスコミ機

関にも働きかけてPRの展開に努めている。

(1) 館報「あづま」編集発行状況

館報「あづま」の編集に当っては,まず,読まれる

館報,読書グループの育成を主眼として,全国図書

館の動き,本館が主体となって行なう事業等を特集


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