教育年報1962年(S37)-087/169page

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2 教科書研究事業

 本年度は中学校の国語(書写を含む)音楽,英語の教

科書について行なった。

(1) 研究目的

 現場における教育に関連づけながら教科書の内容とそ

の効果的な使用方法について研究し,もって教科書研究

の意欲の向上をはかり,学習指導の改善に資することを

目的とする。

(2) 研 究 員

 各教科別に中学校教員の中から12人に委嘱した。

(3) 研究経過

 研究員が各自教科書の研究をなし,研究結果は「教科

書研究資料」として文部省に提出した。

3 教科用図書無償給与

 昭和38年度小学校第1学年生に対して無償給与される

政令により,3月12日から15日までの間,県下6カ所に

おいて,出張所,市町村教育委員会,国,私立小学校,

盲ろう,養護学校教科書事務担当者の事務打合わせ会を

実施し,無償給与事務が円滑に行なわれるようにした。

第16節 農業高等学校の体質改善

1 概  要

 昭和37年度は,前年度に引きつづき第2年次計画とし

て予算36,115千円で実施した。

 本年度は,文部省が農業近代化促進費を計上して,各

県にパイロットスクールの性格をもたせることなり,3カ年

継続事業として補助対象校を設置して,強力に推進

したことで,本県では,2校が指定され,約10,000千円

でそれぞれ充実されることになった。このことは,国の

農基法に基く農業構造改善事業の実施と時期を同じくし

ており,農業高校の地域農業に果す役割が明確化されて

きたといえる。

 新教育課程に基く,農業教育は基礎学習はもとより,

高度な農業企業経営についての学習がとりいれられ機械

化された省力的飼育栽培方式の研究と同時に地域に立脚

した経営能力を実習体験させなければならない。これが

ため各学校においては,広範囲な内容のとりあげかたで

なく,重点的かつ一貫性をもたせた施設設備の整備充実

につとめる必要性が痛感されてきた。

 近代化された施設に省力化される設備が充実されて生

産される過程において1カ所でも中断されるようなゆき

かたは避けなければならない。これら施設,設備の活用

を多くの角度から研究するところに経営能力が培われ,

企業農業としての総合能力を養なうことができる。

 整備集中された施設設備を活用する指導法の研究確立

することが今日の大きな課題であり,農場を実験実習の

場として活用し,企業農業の教育の場として運営しよう

とするとぎ,栽培,飼育技術ならびに経営技術教育等の

面から新しく研究される問題点が包蔵されている。この

ことは,学校は農家の経営ににマッチさせて教えるとこ

ろではなく,技術革新と産業構造改革に対処して基礎的

科学的技術,経営教育の場であり,同時に教師が施設設

備のため,機械のために動かされて教育本来の姿に徹し

きれないとの声を聞くが,限られた単位の中で実践し,

体験,理解させ,農業教育を能率的に体系づけ,指導方

法の改善を図ってゆくことこそ農業教育者に課せられた

大きな研究課題であり,農業高校体質改善施策の大きな

流れとなり,強化を図った。

2 実施状況

(1) 文部省 農業近代化促進費補助対象校

  福島農蚕高等学校 300万円

   園芸科(パイロットスクール)果樹園芸を主とし

   て近郊都市野菜,温室園芸を充実強化する。

  相馬農業高等学校 359万円

   畜産科(パイロットスクール)大,中,小家畜を

   年度毎の計画にしたがって実施,本年度豚舎40坪

   豚19頭を購入,特に新導入品種ランドレース(5

   頭)と他品種との比較試験を行なって地域への普

   及徹底を期している。

(2) 県単独事業

 ア 農業科を園芸科に転科した学校

  岩瀬農業高等学校400万円

   5町歩を擁する鏡石集団農場を中心として,果樹

   園芸を中心として充実強化した。

 イ 農業科を畜産科に転科した学校

  小高農工高等学校400万円

   豚舎,鶏舎の施設充実,導入新品種により近代化

   した。

  磐城農業高等学校400万円

   都市近郊畜産経営のための施設設備の充実強化

 ウ 農業科を充実した学校

  田島高等学校農業科(畜産充実)400万円

   高冷地農業のなかで酪農経営を振興きせるため牛

   舎ならびに牛乳処理機械を充実強化

  喜多多方高等学校農業科(畜産充実)400万円

   食肉加工を中心とした施設,設備の充実強化


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