教育年報1963年(S38)-094/180page
林両省の後援によって推進してきた事業で教育的,社会
的に環境を整美することは大きな意義をもつものであ
る。ことに交通の発達,工業の近代化に伴なって学校,
都市の環境を美化することが強く叫ばれている。
県教委,県学校植林推進委員会は,県下各学校にこの
事業の推進について徹底を期し,情緒豊かな人間形成へ
情操教育の一端として学校環境づくりに努力した。
全国環境緑化コンクールにおいては,須賀川市立第三
小学校,白河市立中央中学校が参加して優秀な成績を収
めたが,新設学校を短期間に児童,父兄,教師が一体と
なってそれぞれの分野から計画を推進し,生活指導の中
心として学習効果をあげ教育的価値と意識を見いだして
いる。
各支部推進委員会においては独自に管内環境整美事業
を計画して新しいセンスの学校環境づくりと新教育課程
に合致させた構想に夢をいだきながら落ちつきのある情
操教育,学校生活をさせるよう強い意欲に燃えている。
県は,この事業をいっそう推進するために昭和37年度
にひきつづき県立学校環境緑化実施要項をつくり実施校
を指定した。
(1)目 的
教職員生徒による緑化運動によって学校環境を整備
し,学習指導並びに情操教育の向上に資する。
(2)実施内容
1) 校地の緑化と整備
2) 緑化運動と蘭係教科ならびに特別教育活動の連け
い。
3) 教材園,植物園等の設定
4) この運動を推進するための委員会または,クラブ
を組織して目的の達成にあたる。
(3)研究実施期間
昭和38年4月から1か年間
(4)経 費
1) 事業費の県予算は1校10,000円程度である。
2) 事業目的の達成については,学校の実情により創
意くふうし,地域の協力あるいは,緑の羽根運動の
参加等により,努力することがのぞましい。
(5)表 彰
学校環境緑化コンクールをおこない優良学校に対し
ては森林文化祭において表彰する。
(6)報告書の提出
実施実績は,文書(全けい紙4枚程度)に写真を添
えて年度末まで教育長あて報告する。
(7)実施校
福島西女子高等学校 郡山女子高等学校 福島県立
養護学校 田村高等学校 白河女子高等学校 会津盲
ろう学校 喜多方工業高等学校 勿来工業高等学校
2 学校植林
学校林の造成については,文部省通牒によって奨励さ
れてきたところであるが,なかでも戦後の荒廃した山林
に対する治山治水の事業は国の大きな施策としてとりあ
げられ,学校においては,愛林思想の涵養による森林資
源の確保や,学校基本財産の育成をはかりつつ,地域社
会の啓蒙も兼ねて大いに貢献してきている。また愛鳥精
神を養うために巣箱つくり,配置を行なって樹木の保
護,小鳥の習性なども観察せしめ指導にあたってきてい
る。学校林育成の過程において教育的価値の高いことは
多くの事例が示しているところである。
(1)伊達郡霊山町石田小学校においては児童441名,
職員14名であるが,挙村一致の体制で,子どもと父兄,
教職員,村の共同作業によって植樹作業が実施され各学
年生徒の安全教育に主眼をおいて作業分担が決定され,
学校行事の中によく活かして生活指導の徹底を期してい
る。
(2)伊達郡川俣町小島小中学校においては,村の旧習
を打破するために雑木林から松林へと植林作業を計画
し,地域への啓蒙をはかるとともに,特産アベマキの研
究をつづけている。生活指導をとおしての道徳教育が身
近かに,かつ簡単な作業の中から,理論や形式にとらわ
れずに実践され,生物を愛する人間形成に果す役割の大
きいことが実証されている。
3 学校植林推進委員会
(1)学校植林・環境緑化研究校
昭和38年度研究校として次の10校を指定し,各校に対
して5,000円の研究補助金を交付した。
〇学校植林
(信夫)川俣町立小島小中学校
(岩瀬)岩瀬村立岩瀬中学校
(田村)中田村立御館中学校
(耶麻)北塩原村立裏磐梯小中学校
(石城)三和村立永井小中学校
〇環境緑化
(信夫)信夫村立鳥川小学校
(東白川)棚倉町立桂川小学校
(北会津)猪苗代町立月輪小学校
(石城)勿来市立錦中学校
(双葉)浪江町立苅野中学校
(2)学校植林,環境緑化コンクール
本年度参加校は,学校植林7校,環境緑化18校におい
て実施し,その結果次のとおりで,11月9〜10日東白川郡棚倉町
を中心として開催された県森林文化祭において
それぞれ表彰された。