教育年報1963年(S38)-098/180page

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 第16節 農業高等学校の体質改善

1 概  要

 昭和38年度は,前年度に引きつづき県単3年次本校5

枝分校7校を指定し,文部省農業教育近代化促進補助に

よる3か年継続事業2年次2校,1年次3校計5校が指

定され充実されることになった。このことは,国の農業

基本法に基づく農業構造改善事業を推進する自営者の養

成を目指し,農業高校の地域農業に果たす役割が明確化

され,近代化された施設設備の充実と相まって学習内容

も農業経営技術が主眼となってきた。

 農業教育が時代の進展に即応するため教育課程が改訂

され実施に移されたが,基礎学習はもとより,高度な企

業経営についての学習がとりいれられ機械化された省力

的飼育栽培方式の研究,ならびに地域に立脚した経営能

力を実習体験させなければならない。これがため各学校

においては,広範囲な内容のとりあげかたでなく,重点

的かつ一貫性をもたせ施設設備の整備充実につとめる必

要がある。

 近代化された施設のもとに,省力化される設備が充実

され生産される過程において1か所でも不備な点が生ず

ることのないような工程としなければならない。これら

の施設,設備の活用を多くの角度から研究するところに

経営能力がつちかわれ,企業農業としての生産に対する

総合能力を養うことができる。

 整備充実された施設,設備を活用した新しい指導法の

研究が今日の大きな課題であり,精選された指導項目の

選択が各学校の課題であり,農場に対する実験実習に対

する考え方,運営方法についても問題点は包蔵されてい

る。

 学校教育が個々の農家,経営の指標となるよう指導す

ることは容易なものではなく,技術革新ならびに産業構

造とりわけ農業構造改善事業に対処して,基礎的科学技

術,経営技術教育の場であり,応用能力を養成する場で

なければならない。同時に教育に携わる関係者として,

単に施設,設備のため,機械のために動かされて教育本

来の姿に徹しきれないとの声を聞くが,限られた単位の

なかで実践し,体験,理解させ,能率的に体系づけ,指

導方法の研究改善をはかってゆくことこそ農業教育者に

課せられた課題であり,農業高校体質改善施策の本流と

して,その充実強化をはかった。

2 実施状況

 (1)文部省 高等学校農業教育近代化促進費補助

  対象校

 ア 福島農蚕高等学校(2年次)

  2,643千円 園芸科,果樹園芸を主として近郊都市野

  菜,温室園芸を充実強化した。一温室30坪,スピー

  ドスプレヤーなど。

 イ 相馬農業高等学校(2年次)

  5,274千円 畜産科,豚舎を中心として,牛,鶏舎

  計53坪,大型ホイルトラクター(ポルシエ)付属機

  械などを導入,企業化体系への基礎を確立した。

 ウ 岩瀬農業高等学校(1年次)

  3,643千円 畜産科,大,中,小家畜を年度毎の計

  画にしたがって実施する。本年度牛舎,飼料貯蔵庫

  計40坪,乳牛を購入,近代施設による地域への普及

  をも合せて教育する。

 エ 会津農林高等学校,磐城農業高校(1年次)

  各2,196千円 高冷地ならびに都市近郊園芸として

  温室(各30坪)を設置して,礫耕栽培を実施し,高

  度温室園芸の研究に資する。

 (2)県単独事業

 ア 全日制高等学校

1) 農業科畜産を充実した学校

  白河農業高等学校 2,450千円 鶏,豚の多頭数羽

  飼育を中心として充実強化した。

  耶麻高等学校 2,500千円 畜産加工を中心として

  施設,設備の充実強化をはかった。

2) 畜産科を充実した学校

  福島農蚕高等学校 1,050千円 1,000羽養鶏のため

  ケージ鶏舎の施設を強化した。

  大沼高等学校 1,000千円 多頭数羽飼育のための

  養鶏施設を充実強化した。

3) 林業科を充実した学校

  田島高等学校 1,000千円 林業科,育林技術の高

  度化をはかるための管理施設,育林設備を充実強化

  した。

 イ 定時制高等学校

  自営者のなかでも,働きながら学ぶ生徒を対象とし

  たので,重点的に畜産教育を充実強化するための施

  設,設備を整備した。

  充実学校名(各校1,000千円宛)

   安達高等学校  大平分校

     〃      針道〃

   本宮 〃     白沢〃

   小野 〃     平田〃

   小高農工高校  津葛〃

   相馬農業〃    飯館〃

   南会津 〃    つつじ丘〃(850千円)

3 主な施設,設備の概況

 (1)工事請負費 15,976千円

  文部省 7,200千円(内国庫2,400千円)

  県単独 8,776千円

  牛舎,豚舎,鶏舎,果樹選果場,飼料財蔵庫,生産


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