教育年報1963年(S38)-155/180page
2) 事前の実施準備
検査問題の作成(前項)と平行して,実施の趣旨,
方法,処理,解釈などで,効果的な活用ができるよう
な方策を講じた。方法としては,「学力検査の手引」
をテキストにし,出張所管内ごとに活用のしかたの説
明会を実施した。
3) 実施,実施後の処理
問題の構成は,診断的な性格を帯びたものであるた
め分量が多く,2日間にわけて実施した。
昭和39年2月25日(火)
社会1(50分) 理科1(50分)
昭和39年2月26日(水)
社会2(50分) 理科2(50分)
実施後は各学校で採点処理をすることにし,標本校
に対しては集計表と泣案の提出を求めた。
結果は採算Tスコーア,小間正答率を3月末まで各
校に配布し,後日答案分析後に学習指導の資料を報告
書で流すことにする。
7 全国教育研究所連盟共同研究
全国教育研究連盟では,昭和36年より3か年の計画で
「学習指導法改善のための実証的総合研究」の主題のも
とに,国語,算数・数学,社会,理科の4部分を設けて
共同で研究にあたっている。本県では国語部会に参加し
ているので,その経過を述べることにする。
(1)研究題目
国語科学習における読解力の形成とその指導に関する
研究
(2)研究目的
読みの機能に即した児童生徒の読解の様相を明らかに
して,そこに読解力形成の契機をとらえて,読解力を高
めるための効率的な指導法を研究する。
(3)研究の計画
第1年次 読解過程の分析
子どもの読解の様相を明らかにして,望ましい指導法
の仮説を設定する。このための読解の様相を明らかにす
るのが第1年次のねらいであった。
第2年次 読解指導法の仮説の設定と検証
読みの様相や読解の契機をとらえて,指導法の仮説を
設定し,検証をするのが第2年次の研究内容である。
この結果については,全国教育研究所連盟編「国語科
と読解力の形成,その指導1」として出版し,東洋館出
版社より刊行された。
第3年次 読解指導理論の構成
(4)研究の経過
本年度は第3学年次の研究にあたっているので,前期
においては仮説の設定とし後期に検証および修正とし
て,指導理論の構成は年度を越して継続研究を行なうこ
とにした。なお,共同研究としての実施計画日程は次の
とおりである。
1) 全国共同研究集会
4・24〜26 熱海市
6・19〜21 福島県飯坂温泉
2) 実施の具体案と仮説の設定 6月11月
3) 仮説の検証 11月〜12月
全国の計画案の枠内において,東北独自の研究もすす
めてきた。とくに,研究の中心である仮説の設定と仮説
の具体化(指導案)は本県が当って,東北地区としては
共通の課題意識のもとに実施してきた。
(5)結果と反省
研究の資料は実験学校の油井小学校の授業を記録(テ
ープーアナライサー)し,他に面接,作文,ノート等を
対象にして結果の分析に当った。この結果は現在検討中
であるが,学習の目的意識の持続とか,学級成員の相互
の刺激等の児童の社会性も含めた学習指導法の理論のた
めの貴重な資料になっている。
第4節 付属図書館
教育調査研究所の付属施設としての図書室は内容の充
実と簡単な貸出し方法により,その利用を深めている。
本年度は新たに262冊の教育図書が加えられ,9,147冊
の蔵書となり,外に各県研究紀要,各学校実践記録,研
究物,各教科資料と併せて研修に役立つ図書室となって
いる。
昭和38年度購入図書一らん
書 名 著 書 名 発行所
和辻哲郎全集 和辻哲郎 岩波書店
日本教科書大系 海俊宗臣 講談社
世界思想教養全集 桑原武夫他 河出書房
日本の百年 鶴見俊輔 筑摩書房
日本古典文学大系 山岸徳平 岩波書店
推計学による新教育統計法
岩原信九郎 日本文化科学社
診断と指導のための統計法
田中寛一 〃
国語の学習指導法 松本小学校 明治図書
読解の学習形態 小竹省三 〃
文章論的読解指導 倉沢栄吉 〃
読解の練習学習 平井昌夫 〃
国語科と読解力の形成 関口隆克 東洋館
数学教育事典 石谷茂 明治図書
斎藤喜博著作集 麦書房
新初等数学講座 清水達雄 ダイヤモンド社