教育年報1963年(S38)-170/180page
表5 館外貸出の利用冊数の構成
利用冊数 利用人員 構成比率 1〜30冊 1,576人 94% 31〜60 89 5.3〃 61〜90 8 91〜120 2 計 1,675
5 レファレンス・サービス
参考事務とか調査相談とかいわれて,利用者が図書館
の利用に馴れ,問題に関する資料を検索する場合の相談
を受けたり,利用者に代って問題を調査したりするのが
この業務で,特に図書館利用に馴れていない成人に対し
ては,次のような助言を与えるように努力した。
1) 資料を探す出発点は,なんといっても図書のカード
目録である。このカードは,分類目録,著者名目録,
書名目録の三種が用意されていて,同一の図書が,こ
れらの三つの観点から引き出せるようになっていること。
2) 参考図書というのは,reference books の訳語で図
書館用語であるが,具体的にいえば,辞書,事典,年
鑑便覧,図鑑,人名録,書誌(月録,解題),索引,
年表,統計資料等のことで,たとえば,高山植物の名
がわからないときは,図鑑と照合すればその名を知る
ことができる。
このようなことを毎日入替る利用者に周知せしめた結
果,いわゆる読書人でないと見られる利用者も,二度三
度と自由に資料を利用している傾向が見られるようにな
って来た。ただ学生,生徒のリポート作製の場合は,職
員が十分に手がまわりかねて,資料の検索が十分でな
く,一冊か二冊の図書に頼ってまとめ上げている姿も見
受けられるので,これは自分で自分の主体性を放棄する
ことであり,できるだけ手広く資料を集め,それらを比
較検討して,自分自身の結論を下し得るように,学校教
育においても指導されるようにお願いをしたい。
本年度の処理状況は表6の通りである。件数から見る
と,昨年より100件ほど多く615件,うち文書によるもの
が,33件,582件が口頭,電話となっている。また文書
中県内7,県外25というように県外はすべて郷土資料に
関するものである。
件数から見るとさして多くは感じられないが,単なる
図書についての相談,生徒の学習相談とかいったものは
数字としては載ってこないが,実際には2〜3名の担当
職員は,一日中席暖る暇はない状況である。また当館に
利用者の目ざす資料がない場合には,例えば大学の図書
館に連絡をとりその便宣をはかるとか,他県の図書館か
ら相互貸借によって,利用者に提供するとか,利用者に
対して「ありません」「わかりません」の失望を与えな
いよう,館所蔵の全資料,全職員を動員しで,これに当っ
ているが,今後特許,雑誌,初歩の技術書(実用書)等
は最も有用な資料となるであろうと考えられるので,そ
の収集については特に研究努力しなければならない。
表6 処理された質問の内容構成
総件数\ 内容別
郷土資料 社会科学 特許資料 自然科学 文学 歴史地誌 その他 615 % 34 % 19.4 % 17.5 % 3.9 % 7.7 % 6.8 % 10.7 前年513 27.3 25.5 14.0 9.7 8.9 8.6 6
第4節 館外奉仕
1 読書普及活動
昨年3月の民間テレビの発足によるテレビの普及は,
読書普及活動の面で,かなりの障害になるものと予想さ
れた。しかし,結果的にはそうした心配が杞憂であった
ことは大きな喜びであった。
読書グループについては別表のとおり,37年度におい
ては,442グループであったのが,38年度は782グループ
となり,前年度の1.7倍と大いに躍進を見せた。けれど
も反面,激増する読書グループに対して,限られた図書
資料を,どのようにして供給するか,大きな問題であった。
37年度においては,ともかく1グループに対して5.14
冊づつの新本を配本することができたけれども,38年度
においては,2.47冊となり,新本に関する限り,1グル
ープ当りの配本冊数がいちじるしく減少した。また,38
年度の純増加340グループに対する図書資料は,1グル
ープ平均20冊とみても,6,800冊の図書資料の確保が必
要であった。しかし,読書グループに対して貸出すべき図
書の年間購入冊数は1,800冊程度であるから,到底間に
合わない。そとで,止むを得ず足らないところは,破損
して補修したものや,汚損の比較的良好なもりまで組入
れて貸出しを行なった。図書資料に関する限り,たいへ
ん苦しい年であったといえる。
(1)移動図書館
読書グループの増加は,主として移動図書館によるも
のが多い。38年度においては,特に安達,耶麻郡を重点
巡回地域として,読書グループの育成を企図し,出張所
地教委などの協力もあって,かなり大巾な増加をみた。
したがって,利用人員及び利用冊数も前年度をはるかに
上廻った。
利用人員では従来男性が女性を上廻っていた。前年度
も男53%,女48%と,男性がわずかであるが上廻ってい