教育年報1964年(S39)-064/232page
昭和34年7月29日県立会津工業高等学校において県
教育委員会主催の中学校の技術家庭研究協議会が開催
された際,当時県教組両沼支部書記長白岩正吉外約
30名が会場に侵入しこれを妨害した………(イ)
昭和34年8月13日から8月15日までの3日間,前記
白岩正吉外7名が8月14日から16日まで開催される県
教育委員会主催の昭和34年度小学校教育課程研究協議
会について話し合いを求め,そのまま数度にわたる退
去要請にもかかわらず県教委両沼出張所会議室に座り
こみ,両沼出張所の正常な運営を阻害しこれを妨害し
た………(ロ)
昭和34年10月6日から9日までの間,飯坂町で開催
された昭和34年度東北・北海道地区中学校教育課程研
究協議会に反対しその開催を阻止するため,県教組の
指令のもとに県下教職員(他労組,他県教組のものを
含む。)約300余名が動員され上述の教育課程研究協
議会を妨害し,一部の教職員はその間上司の許可なく
無断で職場を離脱した………(ハ)
昭和34年9月8日,同年11月27日,同年12月10日の
3回にわたり勤務評定反対措置要求と称し,県下にお
いて多数の教職員が上司の許可なく職場を放棄し,そ
のため多くの学校において正常な運営が阻害され非常
な混乱が生じた。………(ニ)
上述(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の四つの行為は全体の奉仕者 たる教育
公務員としての服務に違反するものであるとして昭和
34年12月末当時県教組両沼支部書記長白岩正吉外52名
に対し懲戒処分を行なったが,白岩正吉外52名はこれ
を不服として昭和36年12月25日福島地方裁判所に懲戒
処分取消の訴の提起をなしたものである。
3) 懲戒処分無効確認事件 (福島地裁昭37行第6号)
昭和36年10月26日全国中学校一斉学力調査に際して
大沼郡会津高田町立高田中学校において一部白紙答案
提出という不祥事が発生し,学力調査に強力に反対し
白紙答案提出に影響を与えたと考えられる当時の高田
中学校教諭小川昭二外7名に対し教育公務員としての
服務に違反するものとして懲戒処分を行なったが,小
川昭二外7名はこれを不服として昭和37年7月19日福
島地方裁判所に懲戒処分無効確認の訴の提起をなした
ものである。
4) 旅費支払請求事件 (福島地裁昭37行第7号)
昭和37年7月31日,もと安達高等学校教諭加藤林外
151名から,福島県は昭和32年2月1日以降同35年9
月30日までの間の各人の県費による正当旅費の支払い
を怠っておるので請求金額計680余万円を支払えとの
訴を福島地方裁判所に提起したものである。
この事件は安達高,福高,福商,福工,福女,福農
福島第二,川俣,飯坂,福島盲・ろうの教職員から提
起されたもので後記の旅費支払請求事件との関連から
県北関係の旅費支払請求事件と称している。
5) 退職処分無効確認事件 (福島地裁昭37行第8号)
もと福島農蚕高等学校講師羽根石ハナ外2名に対し
県教育委員会は相当年令に達したとの退職勧奨基準に
合致するものとし退職勧奨を行ない,本人もこれを了
として一たん退職したが,しかし生活が容易でないと
の要望もあり,当教育委員会は,新たに期限付の講師
として採用した。しかし期間満了とともに当教育委員
会は期間満了は当然教員としての身分を失うものであ
り,相当年令にも達しておるので今後採用する予定は
ないと通知したところ,羽根石ハナ外2名はこれを不
服として昭和35年5月24日県事人委員会に不利益処分
審査の請求をなし,審査請求の結果,県人事委員会は
昭和37年6月6日請求棄却の判定を下した。しかし羽
根石ハナ外2名はこの判定を不服として昭和37年8月
21日福島地方裁判所に退職処分の無効確認の訴の提起
をなしたものである。
6) 旅費支払請求事件 (福島地裁昭38行第1号)
昭和38年1月21日,もと会津第二高等学校教諭小林
栄三外96名から,福島県は昭和32年7月20日以降同
35年9月30日までの間の各人の県費による正当旅費の
支払いを怠っておるので請求金額計460余万円を支払
えとの訴を福島地方裁判所に提起したものである。
この事件は,会津第二,会女,若商,喜多方,喜多
方女子,耶麻,川口,それに県北の梁川,の各高等学
校の教職員から提起されたもので,前記県北関係の旅
費支払請求事件との関連から会津関係の旅費支払請求
事件と称している。
7) 給与支払請求事件 (仙台高裁昭38年ネ第174号)
昭和33年9月15日を中心とする勤務評定実施反対の
ための一斉休暇斗争(1)福島地裁昭34行第2号参照)
に際し,当教育委員会は上司の承認なく勤務時間中に
職場を放棄した教職員に対し,その放棄時間数に応じ
て給与をカットしたが,もと小名浜高等学校教諭山口
忠重外238名から減額事由の発生した月以外の以降の
月の給与から減額することは違法であるとして(実際
は翌年の2月分から減額)福島県を被告として昭和34
年4月15日福島地方裁判所に給与減額分の支払を求め
て提訴,福島地裁は昭和38年3月25日両当事者とも一
部勝訴,一部敗訴の判決を下したため,両当事者は,
何れも敗訴の部分を不服として昭和38年4月22日仙台
高等裁判所に控訴したものである。
8) 分限免職処分無効確認事件 (仙台高裁昭38年ネ第
377号)
もと南会津高等学校教諭酒井軍次に対し,当教育委
員会は昭和37年3月31日,教員としての適格性を欠く
として地方公務員法第28条に基く分限免職処分を行な
つたが,酒井軍次はこれを不服として昭和37年6月5
日福島地方裁判所に無効確認を求める訴を提起した。
昭和38年9月30日,福島地裁は原告酒井の請求を棄却
するとの判決を下したため,酒井はこれを不服として
同年10月2日仙台高等裁判所に控訴したものである。