教育年報1964年(S39)-071/232page
議し,これを実践にうつして防火対策の強化を促進し
ようとするものである。
ロ 昭和39年12月,相馬管内に,はじめて結成された。
構成員は管内市町村長,市町村教育委員会教育長,県
立高等学校長,小中校長代表(各市町村代表小1,中
1)消防署長,日本消防協会支部長等である。
ハ これが下部組織として市町村単位に防火協議会を結
成して防火活動を活発にしていも
ニ 各管内にこの体制を組織しその実効をあげるのは次
年度の課題ということになる。
(5) 防火管理者の有資格者の増強
消防法に基く防火管理有資格者を計画的に増強して,
学校防火を強化しようとするものである。
従来各校1名いるかいないかであった防火管理者の有
資格者を2倍〜3倍にしようというのが今年のねらいで
あった。
消防防災課と協力して講習会を開き成果をあげた。
(6) 学校防火に関する広報活動の強化
予算3万円をもって防火ポスターを無料配布し,防火
思想の強化をはかった。
4 今後の課題
(1) 教職員の防火思想,勤務意識の高揚をはかること
が必要である。
学校管理の立場にある校長はじめ教職員が日宿直勤務
等を厳正にして火災発生の絶無を期することである。こ
のため宿日直勤務規程を吟味検討して問題点をあきらか
にしたり,基準を示したりまたは引継ぎを厳正にさせる
等のことが望まれる。
(2) 防火体制の確立と防火診断の実施
学校当局,教育委員会,県または市町村および関係機
関等が一体となった防火体制を確立することが肝要であ
る。これがため県または管内,あるいは各教委単位の防
火対策組織を確立するとともに学校毎の防火診断を実施
しこれが活用をはかる必要がある。
こうした間にも約一千人に近い本県小中高校のうちい
くつかの学校が,火の魔手にねらわれていることを思う
とき,いい知れぬ不安と焦燥を覚えるものであるが,こ
の不安と焦燥は,本県小,中,高校に木造建築がなくな
らない限り続くかも知れない。
それにしても一校を焼いて2,000万円から3,000万円の
損失,しかも児童生徒の教育や,市町村教育行政におよ
ぼす著しいマイナスを想うとき万難を排してこれが絶滅
を期さなければならない。
第7節 へき地教育
1 へき地学校の状況 (分布)
本県へき地学校の概要
小中別 小学校 中学校 合計 本校分校 級別 本校 分校 計 本校 分校 計 本校 分校 計 5級地 - 2 2 - 2 2 - 4 4 4級地 1 9 10 1 2 3 2 11 13 3級地 2 22 24 2 4 6 4 26 30 2級地 5 33 38 2 1 3 7 34 41 1級地 53 77 130 30 3 33 83 80 163 (小計) 61 143 204 35 12 47 96 155 251 上記以外の
振興会指定64 62 126 33 - 33 97 62 159 合計 125 205 330 68 12 80 193 217 410 (%) 21.9 79.8 39.8 20.7 92.3 23.5 21.4 80.4 35.0
(注) パーセントは県全体の学校数に対するへき地
校の割合である。
本県のへき地学校は本校数において県全体の21.4%分
校数においては,実に80.4%に達している。本校分校を
合わせると県全体の35%がへき地校となっている。
本県のへき地校の分布はとくに会津地方に多く,つい
で奥羽山系,阿武隈山系がこれに次いでいる。このよう
にへき地校を多くもつ本県は,小規模学校が多く,教育
上幾多のあいろが潜在し,教職員の人事行政の面でもか
なりの困難性をともなっている。
2 へき地教育振興策
へき地教育の振興策の一つは,へき地性の解消であ
り,もう一つはへき地性解消の可否にかかわらず,その
時その場において最善の教育を営み得る条件をつくりだ
すことである。
折笠教育長は就任にあたってこのことにより「へき地
教育振興の重要な課題は,交通条件,経済的文化的諸条
件にめぐまれるあてのない,いわゆる高度経済成長の谷
間にある地域についても教育だけは同じものを与えたい
という悲願をどのように解決できるかというところにあ
るのではないかと思うものであります。これらの問題が
一歩一歩解消されるならば,その結果として学力向上も
期してまつべきもののあることも,また明らかでありま
して,この方法はたとえ迂遠であったとしても,堅実に
して効果のあがる方法であると思う」とのべて,へき地
教育の格差解消をとりあげられた。
これがためには,へき地の教職員構成上の格差を解消
することが極めて大事なことで,へき地に優秀な教職員