教育年報1964年(S39)-074/232page
要する経費を加える。
上記補助要項に基づき実施された昭和39年度事業実績
は,下記表1,表2に示されたとおりである。
まず,表1でいえることは,昨年度の実績よりも,39
年度における事業実績が,教科書費を除く全費目につい
て上昇しているということである。したがってここで問
題になるのは,教科書費についてであるが,小学校分
は,昭和38年度においては1学年のみが無償取扱いであ
ったものが,昭和39年度には2学年までとなり,当該法
の適用者がへったために生じた事業費の減である。ま
た,中学校分については,両年度における全生徒数の変
動状態をみればわかるように,38年度において172,840人
であった生徒数が39年度には166,922人と,約4%へり
その上,教科書の単価に動きがなかったため,生徒数の
減率がそのまま事業費の上に,4%の減として現れたも
ので,実質においては後退を意味するものではない。
なお,同じ中学校分であっても,教科書費以外の学用
品費,修学旅行費において39年度事業実績が上昇してい
るのは,それぞれ,39年度に大巾な単価の引上げが行な
われたことによるものである。
表1
費目 区分 昭和38度
補助事業費昭和39年度
補助事業費円 円 教科書費 小学校 10,788,734 7,206,461 中学校 11,314,415 10,900,125 学用品費 小学校 22,087,025 25,743,520 中学校 34,724,719 36,535,809 修学旅行費 小学校 3,649,696 4,010,618 中学校 11,878,025 16,799,945 通学費 2,171,960 3,803,983 寄宿舎唐住費 458,345 6,012,243
次に,表2であるが,前年度との比較の上では増加を
みせていた事業額も,39年度単独で取り上げた場合に
は,種々の問題があることがわかる。すなわち,昭和39
年度分として,年度当初,国から配分された人員および
補助限度額と,事業実績との間に約1割近い差があると
いうことである。わずかに,修学旅行費の中学校分だけ
が給与人員および補助金の額ともに100%の実績を示し
てはいるが,これは,対象人員が比較的少く,かつ,全
学年を通じて1回しか行なわれない修学旅行の特殊性に
よるものと思われる。
表2
費目 区分 国よりの配分 昭和39年度事業実業実績 人員
(a)補助限度額
(b)給与人員
(c)c/a 補助金の額
(d)d/b 人 円 人 % 円 % 教科書費 小学校 9,722 3,781,858 9,334 96 3,603,197 95 中学校 11,137 6,058,528 10,399 93 5,450,035 90 計 20,859 9,840,386 19,733 95 9,053,232 92 学用品費 小学校 18,409 14,466,690 15,997 87 12,871,760 89 中学校 11,137 19,818,490 10,257 92 18,267,904 92 計 29,546 34,285,180 26,254 89 31,139,664 91 修学旅行費 小学校 4,664 2,565,200 5,417 116 2,005,279 78 中学校 5,667 7,877,130 5,600 99 8,399,665 107 計 10,331 10,442,330 11,017 106 10,404,944 100 通学費 1,808,223 寄宿舎居住費 299,894 合計 52,705,957
また,もっとも多くの給与人員率を示しながら,補助
金の額が最下位の率にとどまる修学旅行費の小学校分
は,本県における小学校の修学旅行に要する経費が,ご
く一部の地域を除いては,国平均の1人当り修学旅行費
よりも低額で賄えることによるものであって,給与人員
が配分人員をはるかに上まわっておりながら,このよう
な低率を示すのは止むを得ないものである。
次に給与人員率がもっとも低く,かつ,補助金の額
も比較的低率にある学用品費の小学校分についてである
が,同じ小学校分でも,教科書費の実績は割合高率を示
しているのに対し,なぜこのような結果が生じたか,こ
れだけの資料から判断することはむずかしい。ただ,中
学生ほどには高額な学用品を必要とせず,その上,1人
当り給与単価がやや高額でもあることから,市町村の財
政措置の段階において削減の対象となりやすいのではな
いかとも推測される。