教育年報1964年(S39)-075/232page
以上により示された昭和39年度の実態は,修学旅行費
を除いて,準要保護7%の援助率に充たない結果をみせ
ているが,はたして本県の生活水準がそのように高いも
のであるか。次に,昭和38年度末現在で,各市町村に対
して調査を行なった「補助の有無にかかわらず保護を必
要とする状態にある者」との比較を行なってみる。但し
本表に掲げる「国の配分児童生徒数」および「給与児童
生徒数」は,学用品費の児童生徒数のみを取りあげたも
のであって,修学旅行費の要保護者および,費目ごとに
異なった準要保護者の認定を行なっている場合の,他費
目のみの準要保護者数は含まれていないため,正確な要
保護,準要保護者の実数とはいい得ない。しかし原則と
して,準要保護者に認定された者には全費目を支給する
という観点にたった場合には,下表のパーセントは大き
な意味をもつものと思う。
表3
区 分 小学校 中学校 児童数 全児童数に
対する比率生徒数 全生徒数に
対する比率全児童生徒教(39.5.1) 人 266,632 % 人 166,942 % 教育扶助を受けている児童生徒数 (39.7.1) 7,229 3 4,838 3 国の配分児童生徒数(39年度学用品費分) 18,409 7 11,137 7 給与児童生徒数(39年度学用品費分) 15,997 6 10,257 6 要保護・準要保護者の実数(補助の有無にかか
わらず保護を必要とする者38年度末).24,768 (38 . 5 . 1に
対する比率)
8.813,728 (38 . 5 . 1に
対する比率)
7.9
すなわち,昭和38年度より,国の配分は仮配分とみな
され,市町村が当該配分にこだわることなく実施計画を
たてた事業の金額について,その2分の1が補助される
こととなっており,8%前後の実数がある場合には当然
その数まで補助が認められるわけである。しかし,ここ
2,3年,横ばい状態に表3のような給与実態が続き,
一応これが本県の限度であるようにみうけられるのは,
どのようなことが原因となっているのであろうか。2分
の1市町村負担に伴う財政上の問題。要保護・準要保護
者の認定の範囲の問題。および事務処理方式の複雑さの
問題等いくつかの問題が考えられるが,今後,当該実態
について十分検討を加え,現に保護を必要とする者すべ
てが,受けられるべき費目の全部を補助されるよう何ら
かの方法を講じてゆかなければならない段階にきてい
る。
なお,前記の事務処理方式の改善,および要保護・準
要保護者の認定については,昭和39年2月,文部省にお
いて下記の要領を示し,原則として昭和39年度および昭
和40年度の2年間に,当該事務処理方式に切替えるよう
各市町村に指示したところであるが,全市町村が早急に
切替えを終了し,この事務処理方式が軌道にのらなけれ
ば,その成果を期待することはできない。
「要保護および準要保護児童生徒に対する就学
援助費に係る事務処理要領」(要旨)
1 要保護・準要保護児童生徒に係る世帯票の作成
学校長または民生委員等が就学援助を必要とすると
認める者について,教育的立場からの学校長の意見に
基づき世帯票を作成し,市町村教育委員会はそれに基
づいて3月末日までに,要保護・準要保護者の認定を
終了すること。
2 就学援助費支給計画通知書の作成
市町村教育委員会は認定事務終了後,個人ごとの支
給額を決定し,4月末日までに当該通知書を学校長に
送付し,学校長は保護者にすみやかに連絡すること。
3 委任状の作成
学校長が保護者の代理者として給与費を請求,受領
する場合は,必ず委任状を作成すること。
4 給与費の支給
図の補助は原則として交付申請額(補助事業費の2
分の1の額)どおり決定されるものであるから,認定
を早急に終了し,必要性のもっとも多い4月当初に給
与が開始できるようにすること。支給方法はやむをえ
ない費目を除いては,なるべく現物で行なうこと。
5 就学援護助費支給台帳の作成
市町村教育委員会が直接給与事務を行なう場合は教
育委員会が,学校長が教育委員会の補助機関として給
与費を取り扱う場合は当該学校長が,それぞれ「就学
援助費個人支給明細書」を作成すること。但し,従来
現物給与の際に必要とされていた受領書等の整備は要
しないこと。
6 配分人員と給与人員との関係
県教育委員会が市町村に配分する児童生徒数は,ま
ず就学困難な児童および生徒に係る就学奨励について
の国の援助に関する法律施行規則第3条,学校給食法
施行規則第5条および学校保健法施行規則第27条の別
表に基づく算定方式による数を基準として仮配分を行
なうが,その後において各市町村の補助事業の計画に
応じて調整される。したがって市町村は当初の仮配分