教育年報1964年(S39)-081/232page

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学校教育

 第1節 概  要

1 指導行政の基本方針

 児童生徒の学力を充実し,徳性を高めて望ましい人間

形成をはかることは学校教育における基本目標である

が,特に本県教育が当面する課題も,この基本目標にた

ちかえって,これをいっそう確かなものとするところに

ある。すなわち,本年度福島県教育委員会の努力目標の

第2項に児童生徒の学力向上について,第3項に道徳教

育,生活指導の徹底について掲げているところである。

 指導室はこの目標達成のため,新教育課程の完全実施

をはかるとともに,教職員の現職教育を強化して資質の

向上をはかり,学習指導を改善充実して学力の向上に努

め,さらに,人間尊重の精神を基調とする道徳教育の徹

底,生徒指導の強化拡充に努めてきた。

 すなわち,学力向上推進のため教育課程研究集会の運

営の強化をはかり,もっぱら中堅教師を対象に実践にも

とづいた新教育課程の研究を深めて,その指導力を高め

るとともに,他方,学習指導法講習会を各出張所管内ご

とに開催し,比較的経験の浅い教師の指導力の強化をは

かった。また,高等学校急増期の影響から中学校におけ

る数学科教員の不足をきたしたが,この指導力を強化す

るため新規事業として中学校数学教員講習会を実施し

た。さらに,農山村における学力向上の推進策として,

前年度に引続いて学力向上推進校を指定し,第2年次の

課題解決をはかるとともに,その資料や成果が広く他の

学校にも普及し活用されるよう図った。

 なお,教師の指導力の充実をはかるとき,その中核を

占めるものは意欲の問題である。そこで教職員の研究意

欲の高揚をはかるため,学術的にあるいは教壇実践上の

研究に奨励金を交付し,一方自主的教育研究団体の育成

強化をはかるため,320万円におよぶ助成策をとり,前

年度統合して発足した研究団体の組織確立と研究の促進

に指導助言してきた。

 また,教科書は教科課程の効果的実施のうえに大きく

かかわりをもつものであるので,その採択は慎重に行な

われなければならないが,本年度より実施された「教科

用図書の無償措置に関する法律」にもとづいて指導,助

言および援助をおこない,円滑な採択がなされるよう努

力した。

 学力向上め問題はその根底において道徳の指導および

生活の訓練にささえられているものであるので,この面

の指導に力をつくし,品性のとうやと学力の向上を密着

させ,人間形成にひずみをもたらすことのないよう配慮

した。このため,道徳教育の全体計画について再検討す

るとともに,指導資料の活用を中心に道徳の時間の指導

の改善に努めた。また,生徒指導推進校を指定して生徒

指導の機能,指導技術について一般に普及徹底するよう

に努めた。

 さらに,これら指導管理のかなめをなすものは校長,

教頭であるので,その指導性を高めて学力問題の解決に

迫るとともに,地域社会および家庭の理解と協力の紐帯

を強くして総合的に児童生徒の指導が徹底するよう施策

してきた。

 努力目標の第4項は科学技術教育,産業教育の振興で

あるが,時代の要請にとたえてその刷新強化をはかるこ

ととし,設備の近代化につとめるとともに,教職員を内

地留学生として流遣するなどその資質の向上につとめ

た。特に,本年中に多年の宿願であった理科教育センタ

ーの建設が実現することとなった。

 以上の施策にあわせて,さらに,盲・ろう学校,養護

学校,特殊学級の教育,へき地教育についても,これを

もっぱら担当する指導主事をおいて,従来よりいっそう

強化された指導体制をつくり,教育の機会均等の精神の

実現に努めてきた。

2 指導組織および運営

 本年度は指導主事の定数が2名増員され,指導室長以

下16名と著しく強化されたので,係を小・中学校教育(幼

稚園を含む),高等学校教育,産業教育の三つの領域に

わけて指導事務を担当することとした。また,生徒指

導,特殊教育に関する専任の指導主事をおくこともでき

たので均衡のとれた指導体制がしかれ,いっそう強化さ

れた。運営面でも共同訪問に加えて教科別訪問もおこな

い,指導がより惨透するよう図かった。

 出張所にはそれぞれ3〜5名ずつ計53名の指導主事を

配し,各管内小・中学校の指導に従事するとともに,な

お各管内5名,計80名の指導委員を委嘱して指導体制の

いっそうの強化をはかった。指導委員の科目別人員は次

のようになっている。

 数学1,理科5,音楽13,図工・美術11,家庭15

 技術家庭13,英語16,道徳1,生徒指導5,計80名。

 また,県下を5地区に分けて1名ずつの生徒指導主事

をおき,特に中学校,高等学校の生徒指導の中核となっ

て指導にあたった。

 さらに,全く自由な立場で本県の教育の実態について

親察し,忌たんない感想や意見を聴くために福島大学教

授5名を視学委員に委嘱して指導行政の適正を期した。

 以上の指導組織の緊密な連けいと活発な指導活動に加

えて,学校現場に有効な指導資料を提供するため,「学


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