教育年報1964年(S39)-109/232page
(3) 研究主題
「へき地校における国語指導についての問題点とその
対策(読解力をたしかめるにはどうすればよいか)」に
学校長を中心として研究が進められている。
一般に農村の子どもは,都会の子どもに比して読解力
が劣るといわれている。読解力が劣っていると,それが
単に国語という1教科にとどまらず,あらゆる教科に影
響して,子どもたちの労力向上,ひいてはまた人間形成
の上に大きな障害になってくる。このような覧点にたっ
て主題が設定された。
本年度研究の結果から,指導法についての問題点を概
略あげてみる。
〇 児童の個人差を考慮した授業の尊態のくふうがなされ
ている。
〇 教師中心の授業形態から,これをどのようにして自発
的,自主的な学習にするか研究が進められている。
〇 教師自身が実力をもたなければならない。特に国語の
文法の知識を身につける。たとえば助詞の使い方と意
味,文論では主述の承応や語の承応など,文章論では
文章の構造を分析する方法などはじゅうぶん研究する
必要があると述べられている。
本校の特色は,各種調査により問題点を解析し,それ
に基づくところの実践研究がなされ参加者一同に深い感
銘を与えた。
4 複式学級指導計画例(図画・工作)説明会
文部省主催で,東日本地区「複式学級図工学習指導計
画例」説明会の資料を中心とする伝達説明会である。
(1) 期日,会場
6月10日(水)中通り会場 田村郡三春小学校
6月12日(金)両沼会場 河沼郡坂下小学校
(2) 講 師
福島県教育委員会事務局信夫出張所
指導主事 古山直一
福島島教育委員会事務局北会津出張所
指導主事 鈴木栄
午前中は,文部省編の指導計画例作成の趣旨とその取
り扱いについて説明がなされた。
午後は教材研究をかねて実技研究を実施し,低学年は
えのぐを使用した実技,中,高学年は中厚紙を使用した
ところの実技研修を行なったが参加者は非常に熱心に意
見の交換がなされ,実技においても童心にかえり,りっ
ぱな作品ができたことである。
へき地教育の問題点については,学習指導の面におい
ては,基礎教育の徹底,1対1の考え方にたつ指導の実
践,あるいは教具教材の現代化といった,いくたの問題
が内在しているが,この説明会をとおして問題点を少し
でも解決の方向に努力さられたことは,今後の発展に大
きな期待がかけられるものである。
第9節 特殊教育
1 盲 聾 学 校
目が見えない,耳が聞えない,このような障害のある
児童,生徒で普通の学校教育でほとんど効果を上げるこ
とができないので,特殊学校で特殊教育をほどこしてい
る。
(1) 特殊教育学校の現状 (昭和39年5月1日)
種別/学部 県立 学 部 計 小学部 中学部 高等部 専攻部 別科 盲学校 福島 4 2 3 2 2 13 郡山 4 4 - - - 8 平 3 3 - - - 6 会津 3 2 - - - 5 聾学校 福島 7 4 6 - - 17 郡山 11 5 - - - 16 平 10 3 - - - 13 会津 8 3 - - - 11
(2) 東地地区聾学校研究会
1) 期日 10月8日(木)
2) 会場 県立聾学校
3) 研究主題
「学習効果を高めるために学習指導をどのように
したらよいか」小学部
「高等部国語科における個人差をどのように取り
上げ授業を進めたらよいか」高等部
4) 研究討議
ア 授業の面での資料の作り方と取扱い方について
〇 絵の書き方と取り扱いについて (社会科)
授業の中に時間をとって書くか,教師が準備すべ
きか,は,子どもの能力,生活経験の上に立ってや
ることが望ましい。方法としては,絵カードなどを
使ってもよいが,聾生の特性を考慮して,紙芝居に
して言葉として覚えさせた方がより効果的でもあ
る。
イ 単元と時間について (社会科)
絵合学習としての考え方を,はっきりさせる。
1,2年においては総合的に取り扱い,3年からは
分科指導になる。総合学習については指導計画の立
て方をくふうし,総合学習としての目標か,各教科
としての目標かをはっきり区別する授業の運用は総
合的であっても社会科としての目標をしっかり押え
ておくことがたいせつである。