教育年報1964年(S39)-203/232page

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  の意欲や手だては,なおいっそう深められるものと

  考えられる。そこで,発見的学習をめやすにしなが

  ら,学習課題を解決する手がかりを,予習的課題に

  おき,これにとりくませることが有効のようであ

  る。

   この予習的課題も一方的に教師から与えるより

  も,児童生徒みずから,本時の学習内容から必然的

  につくりだしたようにしむけるのがよく,また,ひ

  とりひとりがじゅうぶんとりくめるように,学習方

  法を分析的におさえることもたいせつである。

 イ 個人思考と集団思考の組織化では,

   児童生徒ひとりひとりの認識や思考の過程に即し

  ながら,それらを,じゅうぶん洗練することは,効

  率的な学習をすすめるうえで,たいせつなことであ

  る。そのためには,個人思考にささえられて,集団

  思考の成果がおさめられ,集団思考にささえられ

  て,より充実した個人思考がなされるように組織化

  されなければならない。このことは,児童生徒ひと

  りひとりに,じゅうぶん学習が成立するようにしむ

  けることにつながるものである。

   そのためには,「いつ,どこで,どのように」や

  ることが,より効果的なのかを,よく,みきわめる

  ことがたいせつである。「個別化」をはかるには,

  発表させたり,ノートさせたりするなど,作業を与

  え,作業に結びつけて思考するようにしむけるのが

  よい。

 ウ たしかめの機能の組織化では,

   たしかめの機能には,「評価」につらなる「学習

  の結果を確実にする」ものと,「動機づけ」につら

  なる「あいまいなところを,はっきりさせる」もの

  とが考えられる。「たしかめ」の機会は,いろいろ

  あろうが,学習のプロセスにおけるひとこまごとに

  行なったり,学習のひとくぎりがついたときや学習

  の終末の段階にきたときに行なったりするほかに,

  つまずきなど問題に直面したときに行なうのが,効

  果的である。また,たしかめのひとつのよりどころ

  として,「ノートづくり」に配慮することも,有効

  のようである。

3) 今後のみとおし

  実践研おにおける変容の状態についての統計的な検

 証も,まだ,じゅうぶんすまされてはいないけれど

 も,観察の結果からは,いくぶん望ましい方向に変容

 しつつあることを,うかがいしることができる。教師

 自身,教材のポイントを的確にとらえることの必要性

 を痛感したり,発問などの質もたかまったり,たしか

 めや個別化の手だてが,キメこまかになったりしてき

 ている。児童たちも家庭学習に対する興味,関心が高

 まり,学習意欲もさかんで,積極的に学習にとりくん

 でいる。

  この教育研究は,あくまで,アクション・リサーチ

 の立場をとるものなので,今後とも,実験学校におけ

 る各種層の変容についての資料を整理し,仮説の検証

 をたしかなものにし,学級経営等の調和的なバランス

 をとりながら,研究を深めなければならない。

 (2) 西根中学校を実験学校とする研究

1) 研究のねらい

  全国学力調査の結果の分析から,英語の学習指導に

 おいて,特に問題としなければならない点を明らかに

 し,英語教育のあり方を,言語活動の本質と学習指導

 の理論の二面からとらえて,学習指導法を改善するの

 がねらいである。

  これは,福島県教育調査研究所が,油井小学校など

 で実験研究を進めている,「望ましい学習指導法の組

 織化」とねらいにおいては同じであるが,中学校が対

 象であることと英語という教科の特殊性から,進め方

 の内容は異なっている。

2) 研究の経過

  前年度に続いて,福島市立西根中学校を実験学校に

 委嘱し,英語科教師の協力を得て研究を進めた。

  今年度は,第一年次の実践研究を継続し,ねらいに

 即した学習指導の方法を組織化するとともに,その指

 導技術を洗練することに重点をおいた。

 ア 教科書分析による教材研究の結果を,資料として

  まとめる。

 イ 望ましい学習指導過程のあり方の範例を,学年ご

  とに作成する。

 ウ 学習指導過程に即した指導法を,授業の中に組織

  づける。

 エ 家庭学習と授業を関連させることによって,生徒

  の学習方法を訓練する。

  以上の具法的な目標にしたがって,訪問日をきめ,

 学年ごとに,望ましい学習指導過程に基づいて授業研

 究を行ない,研究のねらいにせまった。

  昭和40年1月29日,西根中学校を会場として,信夫

 ・伊達地区の中学校英語担任教師を対象に研究会を開

 いた。

3) 研究の内容

  英語の望ましい学習指導のあり方を,教材の構造,

 学習指導の論理,生徒の学習のしかたの訓練の三つの

 面からとらえ,それらを授業の中に組織づける研究を

 進めた。

 ア 教材の組織化

   英語の学習指導においては,英語そのものが教材

  である。しかし,それが実際の学習活動において教

  材となるためには,その内容範囲がきめられ,系統

  的に配列されなければならない。教材の構造を明ら

  かにし,それを授業の中に組織づけるために,次の


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