教育年報1964年(S39)-204/232page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

  三点から研究を進めた。

  (ア) 教材内容―音声,文字および符号,語および

   連語,文,文法事項

  (イ) 教材の領域―聞くこと,話すこと,読むこと

   および書くこと。

  (ウ) 教材の系統と配列―学年ごとの目標,学年を

   とおしての教材の系統

 イ 指導法の組織化

   聞き,話し,読み,書くの各領域ごとに,それぞ

  れに最も適した指導の方法を考え,1時間の授業の

  中で,それらを組織的に関連づける。それぞれの領

  域についての考え方は次のとおりである。

  (ア) 聞くこと,話すこと―言語習得に必要な最初

   の段階であり,まず正しく聞くことを訓練する。

   じゅうぶん練習したあとでそれを口に出して言わ

   せる。ここではあくまでも音声による耳と口の訓

   練が中心になる。

  (イ) 読むこと―文字を目から受けいれて理解する

   過程である。内容を理解させる方法は,できるだ

   け具体的なものを媒介とし,抽象的な説明はなる

   べくさける。読むことの目標は,文字を媒介とし

   た思考作用を訓練することである。指導の手順と

   して,音読からはいることはもちろんである。

  (ウ) 書くこと―聞くこと,話すこと,読むことに

   続いて行なう。これは読みを整理する重要な手段

   であるから,読むことができるようになったらす

   ぐに始める。書くことは書写するという比較的単

   純な作業から,文を作るという高度な思考作用ま

   でを含む総合的な訓練である。

 ウ 生徒の学習の組織化

   ひとりひとりの生徒が,学習のしかたがわかっ

  て,積極的に学習にとりくみ,どの生徒も授業に参

  加できるようにする一つの方法として,生徒の家庭

  における学習と,学校における学習との関連を考え

  る。

  (ア) 家庭における学習

    家庭における学習は,学校で習ったことがわか

   ること,次時の学習の内容について,自分の力で

   わかるところとわからないところをはっきりさせ

   ることである。ねらいは,生徒各自勉強のしかた

   がわかり,自主的に,継続的に勉強する習慣を養

   うことである。

  (イ) 学校における学習

    学校における学習は,前時に習ったことが確実

   に身についていること,新しく習うことの内容を

   じゅうぶん理解することが目標である。学校にお

   ける学習は,家庭学習で得たレディネスの上に展

   開されることになる。

4) 研究のまとめ

  上の内容について,実験研究した結果を,それぞれ

 の項目についてまとめた。教材の組織化については,

 教科書分析によって研究した結果を,基本文型集録そ

 の他として冊子にまとめ,それを授業で活用した。指

 導法の組織化については,望ましい学習指導過程のあ

 り方を定型化し,それに伴う指導法を授業の中に組織

 づけた。また,生徒の学習の組織化については,生徒

 の実態をはあくする調査をある期間をおいて行ない,

 生徒が家庭において自主的に学習するようになる過程

 をとらえた。総合的な検証として,昭和38年度と39年

 度の全国学力調査の結果を比較した。これによって研

 究の成果があがっていることが証明された。くわしい

 報告書は追って発表するつもりである。

5 複式学級におけるプログラム学習

   ―プログラムを用いた学習指導法の研究―

 (1) 目 的

1) 学習指導の効果を高めるため,社会・理科のプログ

 ラミングを研究し,あわせて,これを実証的に検証し

 て現場における学習指導の参考資料とする。

2) 複式学級における個別指導,間接指導の難点をプロ

 グラム学習を加味した授業によって克服し,学習効果

 を高めようとする。

 (2) 研究内容

1) プログラム学習の適用教材の研究

2) 複式学級のプログラム学習の指導,およびプログラ

 ム学習を用いた学習形態の研究

3) プログラム作成と,プログラミング上における問題

 点の解明

4) プログラム学習を実践し,学習分野の有効性を検定

 する。

 (3) 研究過程

4月〜7月

 ・ プログラム学習の文献研究。

 ・ プログラム適用教材の可能性の研究と年間計画の作

  成

 ・ TOY方式によるプログラム学習の実践

 ・ 複式学級においてプログラム学習をとりいれた学習

  形態の研究

9月〜12月

 ・ 一単元全体のプログラム学習の実践と,プログラム

  学習上における問題点の究明

 ・ テーチングマシンによる学習

1月〜2月

 ・ 比較群法による,プログラム学習効果の測定と検証


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。