教育年報1964年(S39)-207/232page
力に関係があると考えられる。教員数がすくないた
め,1人で2教科以上担当しなければならない。その
ための,教材研究,指導法の研究が必要となり,これ
を可能にするのはある程度の経験年数である。この現
実がまた,次の免許状と学力,ひとり当たりの担当教
科数と学力との問題に関連している。
つぎに,授業担当教科の免許と学力,ひとり当たり
担当教科数と学力とは関係がある。すなわち,主免に
よる担当教科の授業時間数の割合の大きい学校の学力
は高く,ひとり当たり担当教科数の多い教員の割合の
多い学校の学力は低い。
学歴および経験年数別構成
下位群 上位群 M校 O校 S校 W校 職員数 9人 9人 11人 9人 学歴 大学卒 7 6 5 1 短大卒 2 1 2 1 師範卒 1 1 5 旧中・新高 1 3 2 その他 経験年数 1年未満 1 1〜2 3 1 1 3〜5 4 6〜10 1 1 2 11〜15 5 6 3 16〜20 1 1 4 21〜25 1 1 29〜 1 1
1週間の総時数に対する免許科目の時間数の割合
下位群 上位群 M校 O校 S校 W校 総時間数 197時間 193時間 223時間 194時間 主免 49.2% 39.4% 62.8% 72.2% 副免 16.2 23.9 1.4 8.2 臨免 34.6 33.7 35.9 15.6
一人当たりの担当教科数
下位群 上位群 M校 O校 S校 W校 教員数 9人 9人 10人 9人 1教科 2 1 2 3 2教科 3 2 6 3 3教科以上 4 6 2 3
2) 生徒の学習に対する態度
生徒の学習に対する構えについて,質問紙によりと
らえ,上位群と下位群の学校における差異をX2検定
によって検討し,学力との関係を明らかにした。その
結果について,純農村地域の学校で,危険率5%ない
し1%で有意と認められた項目は次のとおりである。
3 あなたは,授業中,意見などの発表を,よくし
ますか。
M校 S校 すすんで発表する 21.7% 34.3% 先生からきかれたとき 37.7 51.6 はずかしいので,あまりしない 36.7 10.1 発表しない 2.9 4.0
12 あなたが家でやる勉強には,どんなものが多い
ですか。
M校 S校 あしたの予習が多い 21.7% 48.5% 復習や練習が多い 18.8 16.2 学校から宿題が多い 23.2 10.1 好きな,不得意な 29.1 24.2 読書をする 4.3 1.0 特に勉強しない 2.9
・ 授業中における意見の発表 ・授業中における問題
解決 ・家庭における学習の動機 ・家庭における学
習の内容 ・宿題の解決態度
このことから,まず,授業中の学習に対する積極的
なとり組み方が学力に影響をあたえる要因であるとい
える。すなわち,上位群には,意見があるとき,すす
んで発表するに反応した者が多く,まちがうとはずか
しいからあまり発表しないという消極的な態度が下位
群に見られ,さらに問題解決にあたっては,参考書や
ノートを見て自分で解決しようとする構えが上位群に
見られる。
つぎに,家庭における学習に対する自主的な取りく
みが学力を高める要因であると考えられる。学習に対
する動機づけ,内容などから推察することができる。
7 診断的性格を帯びた福島県標準学力検査問題
(1) 目 的
昨年度からの継続事業として,本年度は,中学校1年
2年の社会・理科,中学校3年の英語の問題作成をとり
あげた。
この問題を,学年末に実施することによって年度にお
ける指導の反省,個々の生徒・学級・学校の全県的な位
置づけができる。また,年度はじめに実施すれば,レデ
ネステストとして,個々の生徒の学力や,学級・学校の
傾向を診断して,年度の指導計画作成の基礎資料とする
ことができる。
(2) 問題作成の経過