教育年報1964年(S39)-209/232page
(2) 目 的
激しい外的条件の変ぼうと,その強い影響の中で,児
童が主体的にひとつひとつの事象を正しく判断し行動す
ることは容易なことではない。そこで,児童の家庭にお
ける学習と余暇のすごしかたの実態をとらえ,その問題
点を究明して,主体性形成の一助にしょうとするもので
ある。
すなわち,これらの実態や問題点を明らかにしながら
学習面では「予習的課題」による家庭学習を基礎にして
個別に学習したり,フィードバックしたりすることによ
って,主体的な学習態度を形成しようとするものであ
る。
また,生活面では,児童に自分の余暇生活の内容を反
省させ,その調和を考え,充実させることによって,み
ずからの生活をコントロールし,生活課題を解決できる
主体的な生活態度を形成しようとするものである。
(3) 研究の内容と方法
1) 児童の家庭における学習生活の実態や問題点を明ら
かにするために,つぎの調査をする。
ア 家庭学習に対する興味
イ 家庭学習の時間と内容
ウ 家庭学習の習慣
エ 家庭学習に対する児童や父兄の考え
2) 児童の家庭における余暇生活の実態や問題点を明ら
かにするために,つぎの調査をする。
ア 児童の余暇生活の内容
イ 余暇生活の時間のバランス
ウ 余暇生活の興味の傾向
エ 余暇生活についての児童や父兄の考え
3) 児童の主体的な学習や生活による意識の変革や,発
達の様相を究明する。
ア 学習生活や余暇生活に対する意識
イ 学習生活や余暇生活に見られる主体性
ウ 学習態度や学力,生活態度の変容
(4) 研究の対象
「望ましい学習指指導法の組織化」についての実験学
校を実験群とし,純農村の一校を統制群とする。学年は
4学年以上とする。
(5) 第1年次における研究(昭和39年度)
1) 昭和37年度からの実験研究の中で,共同研究に直接
関係ある資料を整理し,継続研究した。
2) 研究内容と方法のうち,1)〜ア,イ,ウ,エ,2)〜
ア,イ,ウ,エ,について明らかにした。
(1) 学習態度
〇 学習態度の形成に関する基礎的研究
(2) 目 的
児童生徒の理解と態度は,学力をささえている大きな
柱であると考えられる。過去3年間の共同研究で理解過
程についての研究をすすめてきたが,学習態度について
は,教育の現場においても,また学者間においても未開
拓の面が多く,とくにそのは握の方法,評価において
は,あまり手をつけられていないといった現状である。
そこで,共同研究としては,学習態度を理解,技能,
表現における学習者の反応の傾向性であると規定し,そ
の性格として,持続性をもち,考えの方向を規定する力
をもち,形成可能であるとおさえた。この立場より,学
習態度はどんな方法では握できるのか,またとらえられ
た実態に実態に実験操作を加えたうえで―つまり一定
の学習指導を加えてみて―そこに生ずる変化をとら
え,どのようにして学習態度が形成されるのかを明らか
にしていこうとするものである。
(3) 研究の内容と方法
可能な限り客観的方法で,児童生徒の学習をささえて
いる思考の傾向性を調査するとともに,学習態度の形成
過程を究明する。そして,結果を分析検討して,いくつ
かの学習態度の類型とその反応カテゴリーを見いだし,
さらに資料を現場に提供して,学習指導の改善に役立て
評価についての資料を整える。
〇 教科は国語,社会,算数・数学,理科の四教科 (福
島は理科についておこなう。)
1) 学習態度の測定方法ならびに学習態度を類型化し,
さらにその反応カテゴリーを知るとともに学習態度の
実態をは握するためつぎの調査研究をする。
〇 各教科の目標分析
〇 学習態度の測定方法についての事例研究
〇 形成要因の分析
2) 学習態度の実態の追跡的研究をする。
〇 学習態度の実態は握のため調査
〇 学習態度の変容の状態のは握 (指導検討,授業,分
析,態度変容調査)
(4) 理科における研究対象,第一年次における研究
理科においては「合理的にすじ道のとおった考え方
をする態度」について,その形成過程のとらえ方を研
究する。対象としては生物,物理の領域をとりあげ,
小学校4・6年中学校2年について調査する。福島県
では,第1年次として小学校4年,6年について問題
場面を設定し,質問紙法により,児童の思考の傾向性
をとらえるため,調査結果の分析をしてきた。