教育年報1965年(S40)-061/213page
許状が失効したことに伴ない県教育委員会は免許状
の失効は当然教員の身分を失なうとして昭和32年3
月31日付で退職せしめた。………………………(イ)
もと田村郡守山中学校講師小林タケを県教育委員会
は昭和32年4月1日付で石川郡須釜中学校に転任
せしめた。…………………………………………(ロ)
上記(イ)(ロ)を内容とする事件で、神長テル子は臨時
免許状失効による退職処分は違法であるとして、
小林タケは転任処分は退職勤奨に応じない報復人事で
あるとして、昭和32年5月14日県人事委員会に不利
益処分の審査請求をなし、昭和33年11月15日県人事
委員会は臨免失効による退職処分および転任処分を
承認するとの判定を下した。しかるところ昭和33年
12月18日県人事委員会の判定を不服として県教委、
県人事委員会を被告として行政処分の取消を求めて
福島地方裁判所に訴を提起した。昭和36年3月27日
福島地裁は請求棄却の判決を下した。更に仙台高裁
に控訴、昭和38年1月23日控訴棄却の判決があり、
昭和38年2月10日最高裁判所に上告、昭和40年4月
22日最高裁が上告棄却の判決を下し、神長、小林は
何れも敗訴し、判決が確定した。
2) 退職処分無効確認事件(福島地裁昭38年行第8号)
元福島農蚕高等学校講師羽根石ハナ外2名に対し
県教育委員会は相当年令に達したとの退職勤奨基準
に合致するものとし退職勤奨を行ない、本人もこれ
を了として一たん退職したが、しかし生活が容易で
ないとの要望もあり、当教育委員会は新たに期限付
の講師として採用した。しかし期間満了とともに教
育委員会は期間満了は当然教員としての身分を失う
ものであり、相当年令に達しておるので今後採用す
る予定はないと通知したところ、羽根石ハナ外2名
はこれを不服として昭和35年5月24日県人事委員会
に不利益処分審査の請求をなし、審査請求の結果、
県人事委員会は昭和37年6月6日請求棄却の判定を
下した。しかし羽根石ハナ名2名はこの判定を不服
として昭和37年8月21日福島地方裁判所に退職処分
の無効確認の訴の提起をなしたものである。昭和41
年1月17日福島地方裁判所は原告羽根石外2名の請
求を棄却するとの判決を言渡し、原告は控訴しなか
ったので判決が確定した。
3) 転任処分執行停止申請事件(福島地裁40年行ス第
1号)
前記8)の事件について原告白川角美教諭は、県教
委がなした転任処分により赴任すれば経済的、身体
的な回復困難な損害を蒙むることが明らかであり、
これを避ける緊急の必要性があるという理由で昭和
41年4月20日転任処分の執行停止を求めて
福島地方裁判所に申請した。昭和40年4月24日
福島地方裁判所は本訴の判決が確定するまで県教委がなした転任
処分の執行を停止するという決定をなした。県教二委
はこれを不服として昭和40年5月3日福島地裁がな
した転任処分執行停止決定の取消を求めて仙台高等裁判所
に即時抗告の申立てをなした。昭和40年6月
9日仙台高等裁判所は県教委の主張を認め福島地裁
の決定を取消す決定をなした事件である。
4) 転任処分執行停止申請事件
(福島地裁昭40年行ス第2号)
前記9)の事件について原告田巻千代作教諭は、
県教委がなした転任処分により赴任すれば経済的
身体的な回復困難な損害を蒙むることが明らかで
あり、これを避ける緊急の必要性があるという理
由で昭和41年4月20日転任処分の執行停止を求め
て福島地方裁判所に申請した。昭和41年4月24日
福島地方裁判所は本訴の判決が確定するまで県教
委がなした転任処分の執行を停止するという決定
をなした。県教委はこれを不服として昭和40年5
月3日福島地裁がなした転任処分執行停止決定の
取消を求めて仙台高等裁判所に即時抗告の申立て
をなした。昭和40年6月9日仙台高等裁判所は県
教委の主張を認め福島地裁の転任処分執行停止決
定を取消す決定をなした、事件である。
(2)不利益処分審査請求事件
1) 懲戒処分取消請求事件(加藤林外27名)
行政訴訟事件の1)と同内容のものであって、訴
願前置主義の立前から昭和33年12月28日県人事
委員会に対し不利益処分審査請求をなしたもので
ある。
2) 懲戒処分取消請求事件(白岩正吉外52名)
行政訴訟事件の2)と同内容のものであって、訴
願前置主義の立前から昭和35年1月26日県人事委
員会に対し不利益処分の審査請求をなしたもので
ある。
3) 懲戒処分取消請求事件(小川昭二外7名)
行政訴訟事件の3)と同内容のものであって、訴
願前置主義の立前から昭和37年3月2日県人事委
員会に対し不利益処分の審査請求をなしたもので
ある。
4) 転任処分取消請求事件(五十嵐秀男外4名)
元大沼郡会津高田中学校事務職員五十嵐秀男
外4名から昭和36年度末転任処分はその意に反す
る不利益な処分であるとして昭和37年5月25日県
人事委員会に対し審査請求をなしたものである。
5) 転任処分取消請求事件(白川角美外1名)
行政訴訟事件の8)、9)と同内容のものであって
訴願前置主義の立場から昭和40年4月19日県人事
委員会に対し不利益処分の審査請求をなしたもの
である。
2 進行状況等
(1)行政訴訟事件
1) の懲戒処分取消請求事件については30数回にわ
たる争点整理の準備手続を終了し現在事実認定のた
めの証人を申請しており、判決までには、相当の年
月を要すると考えられる。なお、この事件の争点は、