教育年報1965年(S40)-062/213page

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 勤務評定反対一斉休暇闘争は争議行為に該当するか

 否かの点であるが、勤務評定反対一斉休暇闘争にか

 かる地方公務員法違反事件で、東京、福岡、和歌山、

 大阪各地裁は何れも「争議行為に該る」と判示して

 いることは注目すべきことであり、昭和40年11月16

 日東京高裁は、「教職員組合の指令の趣旨の伝達等の

 行為は、「地方公務員法第61条第4号のあおりに該」

 当する」という判示していることは注目すべきこと

 である。

  2)3)の懲戒処分取消請求事件は現在まで十数回の

 準備手続を行ない、まもなく証人調に入る予定であ

 る。なお、2)と類似の公務執行妨害罪にかかる刑事

 事件で、山口地裁(昭38.11.28)は「研究協議会

 開催の問題は職員団体との交渉の対象とはならない」

 と判示しておることは当然のこととは言いながらや

 はり注目すべき判決といえるであろう。

  4)5)の旅費支払請求事件はこれまた十数回の準備

 手続きを行ない、その間、原告請求の1件ごとの旅

 費請求内訳書が正確か否かを精査するとともに、被

 告福島県としては、すべて原告の請求金額は弁済ず

 みであるので債務は存在せず、また法律生活の安定

 を図る上からいっても信義誠実の原則に違反するも

 のであると主張している。双方証人調に入る予定で

 ある。

  6)の給与支払請求事件は現在最高裁に相手方が上

 告中である。この事件の争点は純然たる法(労働基

 準法第24条)の解釈の問題である。即ち山口忠重ら

 第一審原告は、労基法第24条の賃金全額払の原則は、

 昭和34年2月の給与債権を受働債権として相殺する

 ことを禁止している趣旨と主張し、福島県は内閣法

 制局見解に基づき、労基法第24条は給与の過不足調

 整の相殺まで禁止している趣旨ではないと主張して

 いる。なお同趣事件で東京地裁、前橋地裁はおのお

 の異なる判決を出しており、また学説も相半ばし法

 律論としてむづかしい問題である。なお、高等裁判

 所が判決を下したのは本県が最初であるので注目さ

 れよう。

  7)の分限免職処分無効確認事件は現在最高裁判所

 に上告中である。

  8)9)の転任処分取消請求事件は昭和41年4月12日

 請求棄却の判決があり現在仙台高裁に控訴中である。

(2)不利益処分審査請求事件

  1)2)の事件について現在証人調中、3)4)の事件も

 近日中に証人調に入る予定であり、5)の事件は口頭

 審理中であるが近く証人調に入る予定であることを

 付記するにとどめ、詳細については紙面の関係もあ

 り省略する。

   第6節 学 校 防 火

 学校火災は、公有財産を焼失するばかりでなく、児

童生徒に精神的衝激を与え、学校教育の質的低下を来

し、教育行政を停滞させるなど社会的に及ぼす物心両

面の影響はまことに大きい。

 本委員会は、とくに下記事項を実践し、市町村教育

委員会ならびに学校当局と協力して学校火災の絶滅を

はかるべ努力したが、さいわい関係者の努力の結果、

昭和40年6月16日耶麻郡西会津町立群岡中学校の火災

1件にとどめることができ、少なくとも昭和22年以降

はじめての記録を樹立することができた。

 1 学校防火対策委員会の設置とその対策要綱

 前年度に設置した学校防災対策委員会が実質的に防

火対策を推進するに至らなかったことにかんがみ、40

年5月8日学校防火対策委員会の委員を任命し、つぎ

の対策要綱を策定した。

(1)県教育委員会の実施事項

 1) 県立学校ならびに市町村に対し、文書によって

  計画的に指導する。

 2) 県立学校ならびに市町村立小中学校の宿日直勤

  務規程を検討し、基準案を作成する。

 3)県立学校警備員の設置期間を延長するようにつ

  とめる。

 4) 県立学校に防火診断を実施し(ブロック単位の

  相互共同査察を含む)防火態勢を強化する。

 5) 学校火災事例集、学校防火事例集等を編集し、

  防火意識の高揚をはかる。

 6) 防火管理者有資格教職員(消防法第8条)の養

  成をはかる。

 7) ブロック毎に学校防火研究委員会を開催し、防

  火に対する具体的研究を行なう。

 8) 防火に関する広報活動を強化し、防火思想の高

  揚をはかる。

  〇防火ポスターの作成配布

  〇小中高校児童生徒に対する防火に関するポスタ

   ー、標語の募集

(2)市町村当局に対する指導事項

 1) 小中学校警備員の全校設置を促進する。

 2) 防火診断(管内小中学校の相互共同査察を含む)

  を実施し、その結果を活用して防火体制の強化を

  はかる。

 3) 出張所単位または市町村単位の学校防火対策協

  議会を結成して具体的な防火活動を推進する。

 4) 学校管理の体制を検討し、教職員の宿日直勤務

  の厳止を期する。

 5) 防火に関する施設設備の改善充実をはかり、そ

  の的確な活用につとめる。

 2 学校防火診断の実施

(1)防火診断実施のねらい

  各学校ごとに防火に関する自己診断を行ない、防

 火体制その他について診断評価し、問題点の発見

 につとめるとともに、これが対策を講ずることによ

 って、平常の防火管理を強化し、学校防火の発生を

 未然に防止しようとして県下小、中、高校に対し学

 校防火診断を実施することとした。


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