教育年報1965年(S40)-091/213page
中学校に資料を提供し、学力向上を図るための推
進力になっている。
6 研 究 学 校
本県の県立学校を指定の対象とし、新教育課程の実
施に伴う問題点、および当面する学力向上の問題点を
解明するため、各教科学習指導ならびに現職教育の充
実の観点にたった実践的研究を行ない、その研究の成
果を広く県内各学校に普及し、本県の学力向上に資す
る目的をもって研究学校を設置している。
本年度研究学校指定は次の7校である。
福島県立福島盲学校 第2年次継続指定
福島県立福島ろう学校 同 上
福島県立郡山西工業高等学校 40年度新規指定
福島県立須賀川高等学校 同 上
福島県立大沼高等学校 同 上
福島県立四倉高等学校 同 上
福島県立小高農業高等学校 同 上
研究学校では、研究学校設置の目的に沿うとともに、
それぞれ学校の実態に即応して、より具体的な研究主
題を設定して研究を進めた。以下研究指定校の研究成
果の概要を記すこととする。
1 福島県立福島盲学校
(1)研究主題 盲児童生徒の代償行動の実態
調査とその指導について
視覚障害から「弧独」「自己中心的」「閉鎖的」
になりやすい。このような性格的マイナスの面がや
がて盲人の人間性となり、いろいろな場に不適応な
行動を生じ、欲求不満を起し易い。このような不適
応からくる代償作用を調査し、よりよい人格形成の
ための資料を得る目的で研究を行なった。
(2)研 究 成 果
昨年度の研究成果をもととして、次の研究を進めた。
1) 調査・観察結果から望ましい行動、望ましくない
行動をとる者の発育歴を調べた。
2) 代償行動の実態を調べ、一般的傾向をはあくし
た。
調査対象 本校・小学部4年〜専2
福島四小、四中、県立福島農蚕高校
調査内容および方法 家庭、学校、身体、交友、
交通、食事、衣服、職業、余暇、舎寮その他の
10の生活場面における欲求不満を設定し、それ
に応ずる代償行動の例をあげ、答えさせた。
結果 個人票一覧表の作成、学校別、設問別に
代償行動の割合をだし、一般的傾向を検討した。
3) 教育相談 代償行動の発見、その弊害の除去、
学習意欲の向上、学力の向上をはかるために実施
した。
(3)今後の課題 1) 視力差が大きいことと調
査対象の少ないことによる資料収集の困難、2)
個人指導に限界があること。これらの困難をどのよ
うにして打開していくかがこれからの問題である。
2 福島県立福島ろう学校
(1)研究主題 言語指導(読話)
読話発達を阻害する諸要素とその実態を知り、指
導方法の基礎的資料を作成する。
読話指導は、ろう教育の根底をなす言語指導にお
いて中心となるものである。しかし、今日でもこの
面に関する研究には残された問題が多いので、およ
そ次の点を中心として研究を進め、資料を作成する。
1) 読話の要素的指導、2) 読話の基礎力の養成、
3) 文字指導の時期、方法
(2)研 究 成 果
1) 性格と読話 小学部には内向性を示すものが
多く、感情変易性も高い。これが中学部ではかな
り後退し、高等部には両者の中間にあるものが多
い。読話との関係でいうと内向的なものは読話成
績もよいという傾向がある。
2) 知能と読話 小学部と中学部の児童生徒では、
順相関を示すが、高等部の生徒では相関度は低い
ようである。知能指数が中以上だが、読話力が低
い児童生徒、また、知能指数が非常に低い児童生
徒の読話力をどうのばしていくかが問題である。
3) 学力と読話 読話力の高いものは学業成績も
よい。小学部では学業成績が各教科に開きなく向
上するが中学部、高校部に進むにしたがい教科間
の開きが大きくなる。
4) 環境と読話 送話者と読話者の距離と向き合
う角度により、読話明瞭度には大きな違いが生ず
る。両者の距離1m、角度0゚の場合に明瞭度は
約22%に達する。
5) 読話テスト 児童生徒の実態はあくのため小
4〜高3までの119名に同一問題でテストを実施
した。結果を各部別にみると、前回の結果と違っ
て中小高の順となった。
打消や伝聞の形の誤りが多く見られたが、これ
は概していえば会話回数の少ないもの、音の渉り
と前後の語句のかかりの理解があいまいであるこ
とに原因があるようである。
3 福島県立郡山西工業高等学校
(1)課程、学科 全日制機械科、電気科、化学
工業科
(2)研究主題 工業実習の指導はどのように
したらよいか。
(3)研究計画および成果
1) 本校生徒の学力の実態と学習意欲を調べる。
2) 指導計画、指導案を改善充実する。
3) 生徒の学力に応じた学習指導法を検討する。
工業高校としての教育目標と各教科の具体目標を
検討し、学習指導の基盤を確立した。また、授業に
密接した研究として、「工業実習の指導」を取り上
げ、施設、設備の不足している状況のもとで関連科
目との融合をはかりながら効果的に実習を進める研