教育年報1965年(S40)-107/213page
習得や地域に立脚した経営能力を実習体験させな
ければならない。
これがため、各学校においては、精選された指
導内容を計画的にとりあげて重点的、かつ一貫性
のある指導ができるよう、地域の実態をは握して施
設・設備の整備充実をはかった。しかし、近代化
され、省力化される施設・設備が充実され生産さ
れる過程において1ヵ所でも不備な点の生ずるこ
とのないように確立することがたいせつである。
これらの施設・設備の活用を多くの角度から研究
し、実習するところに経営能力・技術の習得がは
かられ、企業農業としての生産に対する総合され
た能力を養うことができる。
また、各学校それぞれ整備充実された段階にお
ける新しい指導法ならびに農場の運営と実習・実
験との関連性、教室授業と農場学習とのあり方等
についても多くの問題点が包蔵されており、進展
する農業の姿に対処して応用する能力を養うよう
努めなければならない。同時に教育に関係するも
のとして単に施設・設備のために機械的に動かさ
れて教育本来の姿に徹しきれないとの声を聞くが、
限られた期間(単位実習時間)のなかで実践し、
体験し、理解させるためには指導内容を組織化、
体系化して指導しようとする研究意欲を盛り上げ
てゆくことこそ農業教育者に課せられた課題である。
2) 実施状況
ア.文部省高等学校農業教育近代化促進費補助事
業対象校
(ア)岩瀬農業高等学校(第3年次)
畜産科 家畜の優良種の導入による改良、省
力機械化関係の充実強化
(イ)会津農林高等学校(第3年次)
園芸科 寒冷地園芸の充実強化をはかる。
(ウ)磐城農業高等学校
園芸科 都市近郊園芸振興のため、施設(温
室・ハウス)、近代設備の設置をはかる。
(エ)小高農業高等学校(第2年次)
畜産科 豚舎の拡充・種豚の導入等施設を整
備し、舎内設備の近代化をはかった。
(オ)東白川農商高等学校(第2年次)
園芸科 県南の立地的条件から園芸関係施設
・設備の充実をはかり、近代化をはかった。
イ.教職員の研修
畜産・園芸科教員5名を派遣して、現職教育
の強化をはかり資質の向上をはかった。
(ア)研修期間 30日間
(イ)研修派遣先 農林省園芸試験場 4名
酪農学園大学 1名
(2)商業高校の体質改善
1) 概 要
昨今、科学技術教育の必要性がおおいに叫ばれ
ているが、科学技術の進歩が、市場の拡大と多様
化をまねき、商業の役割りがますます幅広く、し
かも深くなってきた。「商業」の概念はともする
と、狭義の売買という事象にとらわれがちである
が、現代の経済社会制度を理解するとき、商業は
第三次産業活動の全領域にわたるものであるとい
えるのである。
これらのすう勢に対応するために、商業界にお
いては、最近、商品流通機構の整備、商店経営の
合理化、ならびに事務改善等に関心が持たれるよ
うになった。
国においても、かかる新時代の要求に応じた商
業教育を行なうために、職業に関する学科の教育
課程を、昭和38年度に、大幅に改訂して、実験実
習を重視し、理論と実際が遊離しないように取り
扱うことにした。
産業教育振興法にもとづく一般設備費による国
庫補助事業では全部の学校に、急速にその条件を
みたすことができないので、本県においては、県
単独事業として基礎的設備と近代的設備とを勘案
した3ヵ年充実計画をもってその底あげと近代化
を合わせてはかろうとするものが、商業高校の体
質改善事業である。
本年はその第一年次にあたっており、電動計算
機、電動加算機、かなタイプライタを購入し、そ
れらを次表のように配分した。
2) 実施状況
ア.備品配分 9,550千円
昭和40年度商業高校体質改善配分状況
品目学校名 電動計算機 電動加算機 かなタイプライタ 福島商業 1 7 福島西女子 1 2 保原 2 3 本宮 1 2 郡山商業 4 1 須賀川 2 1 白河 1 4 東白川農商 5 若松商業 2 4 喜多方商業 7 西会津 1 3 平商業 2 4 小名浜 6 勿来 1 1 1 双葉 1 3 浪江 5 相馬 1 原町 3 安積第二 1 1 須賀川第二 1 1 福島第二 1 1 白河第二 5 平第二 5 計 6 21 71 イ.教職員長期研修 450千円
下記商業科教員10名を派遣して、事務機械操
作技術の習得をはかり、資質の向上をはかった。
〇教員名 若松商業高等学校教諭 西村林
福島商業高等学校〃 板垣一郎