教育年報1965年(S40)-108/213page
保原高等学校 教諭 田中光雄 須賀川高等学校 〃 宗像善二 東白川農商高等学校〃 小針衛 喜多方商業高等学校〃 菊地義男 平商業高等学校 〃 斎藤晃一 勿来高等学校 〃 鈴木勝彦 白河第二高等学校 〃 大谷忠義 平第二高等学校 〃 中島武彦 〇研修期間 8月2日〜31日 30日間
〇研修派遣先 東京都立商業教育共同実習所
株式会社 黒沢商店(東京都)
〇研修内容
事務管理ならびに事務システム理論
事務機械の実技・演習
事務機械使用事業場見学
第8節 へき地教育
へき地は、自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれ
ていない。その上へき地学校においては、施設設備が
ふじゅうぶんで、教材教具の充実率も低位にある。
また、児童生徒はへき地という環境条件のもとで経
験領域も狭く、その上単級や複式学級において学習し
ているのである。へき地の学校に勤務する教職員の研
修のために、本年度実施した、小規模校研究協議会、
文部省指定へき地研究学校発表会、東日本へき地指導
者講座、山村教育研究会を開催した。これらの行事に
へき地学校勤務の教職員が多数参加され、熱心に研修
され多大の成果をおさめることができた。以下それら
の行事について、概略を述べる。
1 小規模学校研究協議会
(1)期日 6月7日、8日
(2)会場 平市立平第三小学校
(3)趣旨
小規模学校の経営について、とくに学習指導と管
理上の問題の研究協議を行ない、管理者としての資
質を高め教育の改善と向上を図ることを目標におい
た。
(4)研究発表
1) へき地勤務教員の現職教育をどのようにすれば
よいか。
東白川郡鮫川村立西山小学校教頭・江原靖男氏
現職教育を充実させるために、出張研修と時間
不足解決への努力という点で、公用バイクの購入
による出張、家庭訪問等に時間の短縮を生みだし
た。学級事務・学校事務の処理の研修により時間
を生みだし研修にあてている。研修方法として次
のような形態をとっている。
ア.校長、教頭と担任だけの授業の研究会
教頭が授業して、校長・担任が参観、担任の
授業、これによる研究会を実施しているが評判
がよかった。
イ.校長、教頭の計画的教室訪問
たいへんでも月に1つのテーマを示して、毎
週水曜日に教室訪問をし、訪問記録簿により担
任と話し合いをしている。
ウ.共同指導計画立案
単に指導案を提出させてというのでなく、初
任者が多いので、授業案の書き方、授業予想が
立てにくいという点から、教頭、校長と話し合
いながら立案する。個別指導ができることで先
生だちから喜ばれた。
今後の問題として、へき地ほど教職経験年数
の少ない人が多いので、人間関係を重視しなが
ら研修方法について研究をしていきたい。
2) へき地学校において、視聴覚教材(テレビ、ラ
ジオ)をどのように利用すればよいか。
石城郡三和村立差塩小学校教諭 高浜兼一
放送利用による学習効果の結果について次のよう
に発表された。
ア.「おいらの学級にもテレビがあるんだ」とい
うよろこびとほこりをもって学校にくる子ども
が多くなった。
イ.理科 「なんなんなあに」うさぎ、にわとり
という動物の成長に非常に興味を持ち学習に効
率化がはかられた。
ウ.音楽番組が流れると楽しい雰囲気にひたり、
誰とはなしに歌を口ずさみ、リズムをうち、の
びのびと学習でき楽器の取扱いや口の開き方、
声の出し方など自分でくふうするようになった。
エ.ラジオ図書館を聞くようになってから読書欲
がでてきた。教師としても、能率的な指導法が
勉強できるのでプラスになった。さらに前進さ
せるために、親しませ見せることから、キーポ
イントをおさえ見せ方、子どもに定着させる指
導のくふうが大切である。
3) へき地小規模学校における施設設備の改善はど
のようにすればよいか。
大沼郡昭和村立喰丸小学校長 鈴木鶴多
教育の近代化がさけばれている今日、あらゆる
文化から遠ざかっているへき地こそ、どこより
も立派な施設設備の充実がなされなければならな
い。しかし、それは、一朝一夕にできることでは
なく、理想に一歩でも近づけようとする努力と、
その学校の施設設備の実状を、つぶさに検討し進
歩向上がなされるようくふうし改善していくこ
とが、現下のへき地校の急務である。
ア.改善の方針
〇学習の効率化をはかるための最低施設を整え
たい。
〇既有施設設備の不備な点を改善し活用をはか
りたい。
〇校地校舎全体が学習意欲をそそり、学習に役
立つような学校環境を改善したい。
〇自作教具資料を工夫作成しちく積補充したい。