教育年報1965年(S40)-116/213page
導助言のあり方、集団の中での個人の指導、指導結果
の評価などに努力している。
これらの点については、小・中・高等学校とも、今
年度の教育課程研究集会において熱心に研究協議され
た。
第11節 学校図書館
1 概 況
文部省では、例年どおり、研究協議会を開催すると
ともに、学校図書館教職員に関する調査を、全国的規
模で実施した。学校図書館の学校教育における位置を
明確化し、特に、学校図書館に勤務する教職員の地位
を、安定したものにしたい意向のようである。
教育課程の再改定の気運にあるとき、「組織化され
た教材センター」としての学校図書館のあり方につい
て、積極的な提案が期待される。特に、読書指導の重
要性が指摘されている今日、学校図書館の機能がじゅ
うぶんに発揮されるような措置が、切望されるのであ
る。
しかし、学校図書館の施設・設備の充実度、各種資
料の収集・整理・活用等の組織化の度合には、相当な
地域差が見られる現状である。
いわゆる「学校司書」の公費化への要望は、本年も
学校司書部会からの陳情書提出の形で、活発に展開さ
れている。今年度より、司書手当の一部補助の名目で
予算化されたが、その身分を保障し、生活の安定をは
かるうえから、公費採用の職員とする施策が、いよい
よ必要となってきたようである。
2 学校図書館教職員に関する調査
学校図書館に関する事務上の参考資料として、文部
省は、標記の調査を関係機関に依頼した。本県におけ
る調査結果の大要を示すと、次のとおりである。
なお、調査年月日は昭和40年7月1日現在であり、
調査対象は、小・中・高・盲・ろう・養護の1,083校
である。
(1)司書教諭資格所有者数 56人
(2)事務職員を置いている学校数 209校
(3)学校図書館関係事務職員総数 212人
1) 上記職員の採用種別
ア.公費採用 71人
イ.私費採用 141人
2) 上記職員の有する資格について
ア.司書教諭資格所有者 4人
イ.司書資格所有者 3人
ウ.司書補資格所有者 13人
エ.無資格者 192人
3 司書の公費採用を要望する陳情書
県立高校の司書研修会(副会長 池下泰弘)および
県学校図書館協議会の司書部会(部長 草野美紗子)
より、代表を通じて、次のようを趣旨の陳情書が、県
教育委員会その他関係機関に提出された。
陳情書の要旨
本年度から県内3校に司書手当の一部として補助金
を配布くださいましたことは、司書の必要性と浮草の
ような身分の不安定さをご理解くださいました結果と、
わたくしども感謝と喜びでいっぱいでございます。
司書は高度の専門技術を必要とし、生徒の読書相談
に応ずるだけの教養を身につけねばならず、しかも、
他の職員より長時間の勤務を要求されております。に
もかかわらず、司書は身分が不安定であり、経済的に
も恵まれないため、転職する者が続出している現状で
ございます。
以上の実情をおくみとりのうえ、一日も早く県費を
もってご採用くださいますよう、今後ともいっそうの
ご配慮を、心よりお願い申しあげます。
4 文部省主催の学校図書館研究協議会
昭和40年12月9日〜10日の2日間、文部省と国立教
育会館とを会場として開かれた標記協議会への、本県
よりの参加者名は次のとおりである。
(1)小学校部会
原町市立高平小学校教頭 田原口保貞
(2)中学校部会
岩瀬村立岩瀬中学校教諭 武藤清
県教育委員会 指導主事 長谷川磐雄
(3)高等学校部会
県立福島高等学校教諭 金木敏夫
5 第16回福島県学校図書館研究会野田大会
(1)研究主題
「よい本をたくさん読ませ、その読書経験を学習活
動あるいは人格形成に役だたせるためには、学校図書
館はどのようにあるべきか。」
(2)主 催
福島県学校図書館協議会 吾妻町教育委員会
信夫学校図書館研究会 県北学校図書館研究会
(3)後 援
福島県教育委員会 信夫地方各教育委員会
県北小中学校長会 県北高校長連絡協議会
(4)期 日 昭和40年10月1日〜2日
(5)会 場 吾妻町立野田小学校、同中学校
(6)講 師 東京学芸大学助教授 深川恒喜
演題 「読書指導の新展開」
県教育委員会指導主事 長谷川磐雄
6 そ の 他
司書部会と司書研修会が、その実務能力を高めるた
め、7月下旬、12月上旬に、それぞれ研修会を開いた
ことは、研修意欲の盛んなことを示しており、注目に
価する。