教育年報1965年(S40)-165/213page
保健体育
第1節 概 要
昭和40年度は、昨年のオリンピック東京大会開催の
あとをうけて、東京大会の反省が国民の間に真剣にと
りあげられた年であった。その中で最も顕著なものは
国民の体位、体力の向上の施策をたてることであった。
これがため、国においては、栄養の改善や妊産婦、乳
幼児の保健の向上、スポーツの振興などによって、根
本的に日本人のからだつくりをやりなおそうという考
えから、昭和39年12月、「国民の健康、体力増強対策」
を閣議で決め、40年3月には、全国関係諸団体の参加
を得て、「体力つくり国民会議」を設けた。これに呼
応して、本県においては、「体力つくり福島県民会議」
が40年10月に結成され、全県的な行事がいくつか実践
されてきた。
保健体育課の施策も、保健、給食、体育の各分野に
おいて広く県民の体位、体力の向上のため各般にわた
る活動を行なった。概要は次の通りである。
1 各出張所保健体育担当者会議
保健体育課の施策の基本方針および各実施事項の要
領等の打合せ、ならびに実施の反省と今後の改善策に
ついて2回の会議を開催した。
(1)昭和40年4月30日、5月1日 於 県庁
(2)昭和41年1月 7日、8日 於 飯坂
2 学校体育の振興
体育の研究指定校を中心として、地域全体の学校体
育の向上をはかった。また、文部省主催の各種講習会
への派遣や出張所単位の体育実技、水泳管理講習会
スキー講習会等により、指導者の資質向上につとめた。
スポーツテストの実施については本年度は第2回目と
して、小・中・高校、一般勤労青少年を対象として行
ない、その実態はあくにつとめた。
3 一般青少年スポーツの振興
各市町村の体育指導委員の活動の活発化をはかり、
スポーツ人口の拡大につとめた。また、スポーツ教室
の開設を促進し、住民のスポーツの普及につとめた。
特にスポーツ少年団の活動内容の充実をはかるとと
もに第1回県スポーツ少年団大会を開催した。
4 競技力の向上
国体、全国高校体育大会の成績向上を努力目標とし
て、各競技種目とも選手の競技力向上につとめた。岐
阜国体においては、天皇杯第16位、皇后杯第37位を占
めた。また、高体連、中体連においても大いに競技力
の向上にあたり、特に中学校生徒の成績は著るしいも
があった。
5 水泳プール建設国庫補助事業
国庫補助による水泳プールは、昨年の15から19の設
置をみた。プールの総数は小・中・高、市町村民用等
を合わせて141となった。
6 スポーツ振興審議会
本年度は3回の審議会を開催した。審議の中心をな
すものは、本県スポーツ人口の拡大と、選手の競技力
向上対策、体育施策の拡充整備、指導者の育成と適正
配置、体育組織の拡充、体育科コースの設置等であっ
たが、特に、本県のスポーツを飛躍的に発展向上させ
るためには長期にわたる将来の目標をもつことであり、
このためには国体を誘致することである、とされ、活
発な意見が各開催どとに叫ばれた。このことは本県に
とって極めて重要なことであり、また大へんな事業で
ある。
7 学校病対策の強化
トラホーム、寄生虫、むし歯、近視について、学校
関係者の理解を深めるため講習会を開催した。また、
要・準要保護児童生徒の学校病の治療に係る事務講習
会を開催し、その事務の円滑な運営をはかった。
8 学校安全の徹底
学校安全会の給付結果からみると、事故災害が多発
している現状にかんがみ、水死事故防止、交通事故防
止など学校における安全管理と安全教育の強化をはか
った。また、東北・北海道学校安全研究大会を開催し
多大の効果をあげるとともに安全に対する理解とその
実践強化をはかった。
9 教職員の健康管理の強化
結核についての健康管理については、県内全教職員
の間接撮影を実施し、有所見者に対しては直接撮影を
し、さらに精密検査を要するものに対しては直接面接
指導をするなどその管理と指導の強化をはかった。
10 学校環境衛生の維持改善
本年度文部省から学校環境衛生の解説がだされたの
で学校管理者である各市町村教育長・校長・保健主事
に対してその越旨の徹底をはかった。今後は学校薬剤
の指導の強化がのぞまれる。
11 へき地巡回診療の実施
山間へき地校は医療機関から遠く、学校保健がおく
れがちであるので、へき地校に専門医を派遣して、へ
き地の学校保健の管理や教育の強化につとめた。
12 学校給食関係者の資質向上