教育年報1965年(S40)-190/213page

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   "すすんで質問したり、発表したりする"積極

  的な構えや、"やってみないとわからない"から

  "とにかくとりくんでみたい"とする積極的な構

  えがよくみられる。

 3) 教師にみられる変容

   実験研究をすすめる中で、教師の指導の構えに

  も、はっきりした変容がみられる。そのおもなる

  ものをひろいあげてみると、つぎのようになる。

  ア.研究の意欲がさかんであり、まじめである。

  イ.相互の協力体制が深まってきている。

  ウ.教材研究の構えも深まり、質も高まっている。

  エ.子どもの認識や思考のすじみちに配慮した発

   問や助言のしかたが深まってきている。

  オ.板書のしかたにもいろいろのくふうがみられ、

   子どものノートつくりに対する指導にも、細か

   な配慮がみられる。

  カ.たしかめながら学習をすすめる手だてや、あ

   いまいなところをはっきりさせる指導の手だて

   が、たいへん深まってきている。

  一時間一時間の授業を充実したものにするため、

  学年ごとの研究協議や教科ごとの研究を積極的に

  重ねながら、主体的にとりくんでいる姿がよくみ

  られる。 4) 家庭の協力体制

   実験研究にとりくんだ当初は、いろいろの設備

  をしなければならないのではないかとか、親たち

  でも教えられるのだろうかなどの疑問や不安が

  みられた。しかし研究実践をすすめる中に、しだ

  いに協力体制がでてきた。

   たとえば、次の資料などから、そのことをうか

  がいしることができよう。
〈勉強の場所〉 38年6月 40年6月
ア.きまっている 59.5% 83.4%
イ.きまっていない 40.5 16.4
総人数(人) 348 349
〈ラジオやテレビの聴取〉 38年6月 40年6月
ア.なるべく聞かない 44.0% 53.6%
イ.音を低く.してきく 38.5 39.8
ウ.ふつうと同じ 17.5 6.6
総人数(人) 348 349

   子どもの勉強机や勉強の場所も、必ずしも独立

  した部屋ではなくとも、固定されたところで、お

  ちついてやれるようにしてやったり、子どもの勉

  強中は、できるだけ音を低くするなどの配慮をし

  たりする。構えがみられるようになってきている。

  また、近隣の子どもや親たちとの話し合いにより

  "ただ今勉強中"という木札を戸口に掲げて、

  お互いの勉強の邪魔にならないようにしていると

  の報告もうけている。

   子どもたちが、おちついて学習にとりくめるよ

  うなふん囲気をつくるとか、環境を整えるとかの

  構えが、はっきり認められるようになってきてい

  る。

   以上、子どもや教師、家庭の協力などについて、

  ごく一部の変容の資料を掲げてきたが研究実践に

  とりくんだ当初よりは、その趣旨や方法もわかり、

  技術の習練もなされて、着々と望ましい方向にか

  わりつつある姿をよみとることができる。

(4)今後の問題点のみとおし

  以上、4ヵ年継続してとりくんできたこの研究の

 概要についてのべてきた。これをまとめてみると、

 つぎのようないくつかの問題点が、今後に残されて

 いることがわかる。

 1) この研究の理論については必ずしも正しい理解

  を得ていないのではないだろうか。

 この研究は、あくまでアクションリサーチによる研

 究であるので、実験学校の成果をこのままただちに

 適用はできない。また、予習的課題だけが実験対象

 でもない。

  子どもの生活のリズムの層の中で、学習指導の充

 実をはかっていかなければならない。

 2) 指導のバランスがくずれてはならない。

 この研究は、4教科の指導にまたがって、じゅうぶ

 んやれるものと考える。しかし、子どもの過度の負

 担をきたさないよう心がけることがたいせつである。

 3) 学校における教育課程の4領域にわたって実践

  されるものと考える。

 それぞれの領域の性格をよくぎんみしながら、全体

 としての調和を考えて実践しなければならない。

 4) 中学校や高等学校にも適用されるものと考える。

 しかし、このことは、ただちに"学習の手びき"を

 つくって与えればすむものではない。しかも、予習的

 課題は、年度当初などに事前につくり、与えるとい

 つたものではないことを再確認しなければならない。

 5) 地域社会全体に対する実験研究が、急務なので

  はないだろうか。

 一つの実験学校による研究には、それなりにいくつ

 かの制約をうける。望ましい人間形成をめざす学習

 指導の充実のためには、地域における小、中学校の

 共通の研究体制が必要であると考えられる。それだ

 けに、地域教育の振興をめざした実験地区の体制を

 つくることが急務ではないだろうかと考えるのであ

 る。

 くわしくは、昭和41年3月にだす予定の研究紀要第

52号を参照されたい。そして、ひとりでも多くの方々

から、実践をとおしてご批判、ご意見をよせられるこ

とを期待する。

 3 複式学級の学習指導法の研究

   ―プログラム学習をとりいれた学習指導―

(1)研究の目的

  本県の複式学級は年々減少しているとはいえ、小

 学校で348学級(全学級数の4.7%)児童数5,916

 名(以上昭和39年5月現在)をかかえている。特に

 へき地では、学級総数の約40%が複式学級であり、

 学習指導上大きな困難点となっている。

  複式学級の学習指導上の問題点や困難点の多くは

 文献や調査の結果からうかがうことができる。特に

 間接指導の在り方は、複式学級の学習指導充実のた

 め大きな問題点となっている。


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