教育年報1965年(S40)-192/213page

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   学習ノートによる学習は、直接指導の機会に

  行なわれるため、それだけ時間をとることが必

  要となる。プログラム学習を間接指導にとりい

  れると直接指導とむすびつき、学習の発展と学

  習の構造化をはかることができる。学習ノート

  による学習はたしかめの時間だけのびやすい。

 ウ.間接指導にプログラム学習をとりいれた学習

  指導は、児童は学習に専念し、直接指導で教師

  は指導力を集中できる。

   学習ノートによる学習指導では、フィード、

  バックの機能をとりいれないかぎり、児童は、

  反応にたいする報酬(強化)が与えられないた

  め学習の結果に不安が生じそれだけ、教師は間

  接指導に対しても個別指導の機会をじゅう分考

  慮しなければならない。こうしたことが授業記

  録からも察知でき、プログラム学習をとりいれ

  た学習指導がすぐれているといえる。

 エ.学習ノートによる指導も相当に効果が期待で

  きる。

   アッサイメント方式とプログラム学習の原理

  をとりいれ、問題の提示の系列、学習資料、学

  習方法を具体的に指示し、個人の学習の進度を

  明らかにするような学習ノートをつくること。

  さらに集団相互、個別、教師による評価が具体

  的に計画されれば学習ノートによる学習もじゅう

  分期待できる。特にこの方法は普通学級の学習

  指導では教師が個別指導の機会をじゅう分考慮

  できるので、その効果は期待できると思われる。

 ま  と  め

  プログラム学習を間接指導にとりいれることに

 よって間接指導の内容と直接指導の内容、さらに

 児童の認識過程にかかわる学習の個別化、集団化

 が組織だてられることによって、学習の効果が期

 待できるとの見通しにたったのがこの研究であっ

 た。

  複式学級の学習指導では、間接指導方法上の困

 難性が指導内容を児童にじゅう分獲得させること

 の困難となってあらわれているといえる。児童の

 発達段階や個人差に応ずる指導も間接指導をどう

 生かすかにかかわることが大きい。これらの観点

 からすれば、プログラム学習を指導方法としてと

 りいれることは、その効果を相当程度期待できる

 ことがこの研究の結果からいえる。

  プログラム学習の複式学級における学習指導へ

 の導入は、いわゆる学年別の指導を可能にするこ

 とができるということである。特に指導目標や指

 導内容が学年の心理的発達の側面にささえられて

 いることの比重の大きい教科、あるいは単元や題

 材では、特に複式学級の学習指導を改善する方法

 として考慮されてよいだろう。

  しかし、プログラム学習を導入することはプロ

 グラミングという教師の負担がある。この問題に

 応ずるため市販されている学習プログラムを使用

 した実験例によれば、教科や単元を考慮すること

 により(比較的に国語、算数ではよいものがある。)

 効果は期待できる。

  さらに、複式学級にプログラム学習をとりいれた

 学年別の指導を計画するにあたっても、同単元指導

 特に両学年が同じ素材をもとにして、同じふん囲気

 で学習にとりくむ長所はじゅう分生かしたい。逆に

 いうならば、同単元指導のいわゆる一本案の間接指

 導に生かすならば、同単元指導を改善する一方案

 ともなるであろう。

 4 高等学校における学力形成過程の

   追跡研究

(1)研究の目的

  高等学校入学時における学力と入学後の成績との

 関係を追跡調査し、入学後の学力形成過程を明らか

 にするとともに、高等学校における学習指導の実態

 を把握し、学習指導改善のための資料を提供する。

(2)研究の方法

  高等学校入学選抜学力検査結果から、本県におけ

 る学力の中位にあると考えられる普通高校および

 実業高校から標本校を抽出し、その学校に昭和40年

 度第一学年に入学した生徒を対象として、3ヵ年間

 継続研究を行なう。

 1) 研究計画

  ア.第1年次

    入学時における学力と入学後1年終了時にお

   ける学力との関係の究明と、高等学校における

   学力の実態の把握。

  イ.第2年次

    第1年次の資料により、学力の形成要因の仮

   説の樹立と検証。

  ウ.第3年次

    第1年次、第2年次の研究に基づいて、高等

   学校における望ましい学習指導のあり方を明ら

   かにする。また、入学時の学力と高等学校にお

   ける学力との関係を明らかにする。

 2) 研究対象学年および教科

   研究の目的に従って、普通課程高校がら6校、

  工業課程高校から1校を標本校として選定し、そ

  の標本校の昭和40年度第1学年入学生全員を調査

  対象とする。研究対象教科を数学、英語とし、そ

  の調査対象生徒数は次のとおりである。

    数学 1,285人  英語 1,260人

 3) 調 査 方 法

   高校入学時、第一学年終了時、第二学年、第三

  学年終了時における学力検査および教科に対する

  学習の構えの意識調査などを行ない、各学年間の

  関係を究明する。

   このとき、全数的な立場からの追求と、入学時

  における学力段階を上、中、下の3段階に区分し、

  それぞれの段階の生徒の3年間の変容の状態の追

  跡的な追求による方法をとることにした。

(3)研究の経過

 1) 学 力 検 査

  ア.入学時における学力検査の実施

    高等学校入学時における学力をとらえるため

   に福島県診断・標準学力検査問題中学校3年用

   数学、英語を用いて学力テストを5月12日・13


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