教育年報1965年(S40)-193/213page
日に実施した。これと、入学選抜学力検査の結
果(数学・英語)とから入学時における学力を
とらえた。
イ.高等学校1年終了時における学力検査の実施
高等学校入学時における学力は、高校におけ
る学力の習得の可能性についての予測値と見な
すことができるという仮定に立って、高校にお
ける学力の形成要因を追求するため、高校1年
終了時における学力検査を昭和41年2月23日〜
25日までの間に実施した。
ウ.学力検査問題の内容
高等学校1年終了時における学力検査問題は
高等学校の指導要領と教科書の分析研究を行な
い、終了時における学力をとらえ得るように全
領域にわたり、基本的な重要内容を配した。な
お、全国の学力水準との比較において本県の高
校の学力の実態をは握するとともに、入学時の
学力との比較をも考えて教研式全国標準学力検
査問題用紙を併用した。
2) 数学、英語の学習に対する意識調査
ア.入学時における学習に対する意識調査の実施
高等学校における教科に対する学習の構えの
変化の状態および、授業に対する意識、学習の
困難点を明らかにするため、入学時と高校1年
終了時とにおいて学習に対する意識調査をし、
それらを比較検討することにした。実施期日は、
第1回、昭和40年5月13日、第二回、昭和41年
2月23日〜25日であった。
ア.意識調査の内容
調査の項目は次のとおりである。
(ア)基礎資料
・高校卒業後の進路の希望
・教科に対する好嫌、得意、不得意教科
(イ)授業に対する意識
入学時には中学校における数学、英語の授
業のあり方をどう受けとめているか、高校1
年終了時には高校における数学または英語の
授業をどう受けとめているか、を調査する。
・授業の進め方について
・学習方法についての配慮
・学習の関連づけについて
・練習問題のさせ方
・家庭学習への配慮
(ウ)家庭における学習状況
・学習時間
・家庭学習の方法
・家庭学習の障害
(エ)数学または英語に対する意識
・困難性に対する意識
・有用性に対する意識
・学習に対する構え
(オ)高校における数学または英語の学習上の困難
点
3) 授業分析研究
授業を詳細に記録し、生徒の学習への参加の状
況、教材に対する理解の状況をとらえ、授業を教
材に対する理解の面から分析研究し、授業過程の
検討を行なう目的をもって、昭和40年6月22日と
24日両日にわたり、数学、英語についての授業記
録をもとにして授業研究を行なった。
(4)研究の結果
この研究は3ヵ年間継続研究で、本年度はその第
一年次である。したがって、研究の結果を結論づけ
ることができないので調査した内容の一端を記載す
る。
1) 数学に対する生徒の意識調査
数学または、英語について、授業の面から、こ
の教科に対する意識、家庭学習のあり方などにつ
いて質問紙によって調査した。その結果数学にお
ける目立っている事項についての反応状況をあげ
る。
ア.授業に対する意見(数学の授業)
調査内容 項目 反応率 ・授業では、説明のあとで
わからないところを質問さ
せる時間をとることが多かった。ア 73.6% イ 9.2 ウ 16.9 ム 0.3 ・新しく習ったことについて、
問題をなるべくたくさん練習
させる方法がおもだ。ア 60.4 イ 8.1 ウ 31.3 ム 0.2 ・基礎的な公式や法則がわか
るように説明してくるので、むず
かしいと思わなかった。ア 42.7 イ 10.2 ウ 46.6 ム 0.5 ・基礎的な考え方は先生が
教えてくれるが、問題の解き方は、
生徒に考えさせるように進められた。ア 57.7 イ 14.3 ウ 27.9 ム 0.1 ・学習内容(問題)のたいせつ
な点を指示してくれたので、
勉強しやすかった。ア 57.5 イ 8.9 ウ 33.4 ム 0.2 ・法則や公式なと新しいことを学習
するとき、前に習ったこととの関係
がわかるように教えてくれた。ア 61.7 イ 7.0 ウ 31.2 ム 0.1 ・予習や復習のしかたを具体的
に教えてくれた。ア 18.3 イ 40.3 ウ 40.6 ム 0.8 イ.数学に対する意見
調査内容 項目 反応率 ・数学の問題は考え方さえ身につけて
おけは問題は解けるものだ。ア 59.7% イ 12.0 ウ 27.2 ム 1.0 ・理工科関係以外のたいていの職業では、
数学はあまり必要ではい。ア 7.0 イ 65.5 ウ 26.3 ム 1.0 ・むずかしい数学ても、うまく教えさえすれば
たいてい理解てきるようになるものである。ア 64.1 イ 7.1 ウ 27.9 ム 0.9 注 項目の欄のア イ ウ ムは、調査質問に対する
選択肢で次の意味をあらわす記号である。
ア はい イ いいえ
ウ どちらでもない。ム 無答