教育年報1965年(S40)-196/213page

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  習時間も「多い→少ない」になっている。

   上位群には、「週平均」にも「授業日」にも、

  さすがに20分以下はみられないが、日曜日にな

  ると、20分以下の数が増えてくる。このことは、

  成績上位の児童でさえも、遊びと作業にかたよ

  ってしまって、生活のバランスをくずすおそれ

  のあることを示している。

   ごく少数ではあるが、成績上位グループの6年生

  に、一日平均5時間30分という児童がいる。ことの

  良し悪しは別として、驚嘆に価することである。

   農家、非農家別にみると、農家の4、5年生

  には、授業日平均141分以上はみられないが、

  6年生になると少数ではあるが長時間学習する

  児童がみうけられる。

   授業日には非農家の児童が、日曜日には農家

  の児童が、学習時間を多くとっている傾向がみ

  られた。このことは、調査の時期(11月中旬、

  農閑期)に関係があるものと思われる。

2) 家庭学習の内容

  設定された予習的課題については、ほとんど子ど

 もがやってくるが、予習的課題以外にやってくる家庭

 学習のおもな内容は、次のようなものである。

 ア.ドリル的なもの(漢字の練習、計算練習など)

 イ.製作活動(授業の延長、発展としての)

 ウ.読書(教師にすすめられたもの、文学全集など)

 エ.その他(笛の練習、ノートの整理など)

   一時的な現象としては、予習的課題にとらわ

  れすぎ、これだけやれば家庭学習はすんだもの

  とする傾向がみられる。しかしながら、児童の

  生活にも波があり、徐々に「課題以外にもやる」

  層の増加がめだってきた。

   少数ではあるが、「なんにもしない」児童が学年

  の後半に出てくることに注意しなければならない。

3) 家庭学習に対する興味

  「楽しくておもしろい」 「楽しくておもしろい

 ときもある」 「あまりおもしろくない」 「いやで

 たまらない」「なんとも思っていない」に分けて、

 6月と12月に調査した結果それぞれ有意差が認め

 られ、全般的には望ましい傾向にすすみつつある

 ものと思われる。

  家庭学習に対する興味、関心は、各自の能力に

 応じた家庭学習の方法を身につけさせ、予習的課

 題を設定して学習をすすめる授業によって深める

 ことができると思われる。

  なお、興味の内容については、今後の問題とし

 て残されている。

4) 家庭学習の習慣

  「いつでもかならずやる」「だいたい毎日する」

 「課題があったときだけする」「課題があってもとき

 どきしないことがある」「すこしもしない」に分けて

 興味調査と同時期に実施した結果それぞれ有意差が認

 められ、起伏をくりかえしながらも望ましい方向

 にすすんでいる。40年4月の調査では、「いつで

 もかならず」(30.9%)「だいたい毎日」(31.3

 %)「課題があったとき」 (28.4%)「課題があ

 っても」 (7.9%)となっている。

5) 児童の余暇生活の内容と生活のバランス

  家庭における児童の生活は、学習、遊び、作業、

 身体維持の4領域から成り立っているが、ここで

 は、学習、遊び、作業を中心にした余暇生活の内

 容を調べ、それらが教師や父母の指導によってど

 のように変りつつあるか、生活のバランスの面か

 ら、みつめることにした。

  なお、テレビ視聴時間の調整をぬきにしては、児童

 の家庭における生活の調整は考えられないので、「テ

 レビ視聴」については次の項でふれることにする。

  調査項目は、「学習」「けいこ」「読書」「作業」

 「遊び」「テレビ」「その他」の7項目とした。その

 結果、細部については問題点が残されているが、

 傾向としては実験群の方が生活のかたよりが少な

 く、調和のとれた生活に近づきつつあると思われ

 る。特にテレビ視聴については、時間・内容ともに

 調整しながら家庭生活にとりくませるという実験

 群の父兄の意気ごみが感じられた。

6) テレビの視聴時間と内容

 ア.父兄の番組制限

   テレビのみかたについては、「好きなまま見聞き

  させている」「番組をきめているが、なかなかうま

  くいかない」「番組をきめて、それだけ見聞きさせ

  ている」の3項目について調査した。

   番組の決めかたでは、「みんなで決める」が

  さすがにいちばん多く、しかも高学年になるに

  つれて多くなる傾向がみられた。「親が一方的

  にきめる」は9%前後で少ない。

 イ.児童の視聴の実態

   テレビを見始める時刻は、曜日・内容によって若

  干の差はあるが、ほぼ6時15分前後である。

   テレビを見終る時刻は、8時50分前後が多い。た

  だごく少数の3%前後の児童が、10時30分頃まで視

  聴していることに注意しなければならない。

   視聴の傾向としては、漫画(空想、科学)・

  時代ドラマ(チャンバラものが多い)・現代ドラマ

  (現代の世想を表わしたもの、笑いを主とした

  もの)・外国もの(漫画、ドラマ)の中から、おも

  しろそうなものを手当りしだいに見る傾向がある。

7) 家庭学習や余暇生活に対する父兄の考え方と問

  題点

 ア.学校から帰ってからの時間をどのように過さ

  せたらよいか。このことについて、「宿題」

  「宿題以外の学習」「遊び」「作業」「読書」

  「テレビ」の6項目について調査した。その結

  果、「宿題」については、大部分の父兄が30分

  〜60分前後の時間をかけるよう望んでいること

  がわかった。

   「宿題以外」の学習については、6年の父兄

  には宿題以外の学習にも時間をさいてほしいと

  いう希望が多く、それに対して4・5年の父兄

  は宿題以外の学習に熱意を示していない。

   「遊び」については、他の項目とくらべて分

  散度が大きく、希望時間がまちまちである。こ

  のことは、遊びに対する父兄の考え方に大きな

  差があることを示している。


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