教育年報1965年(S40)-200/213page
第2節 整理事務
図書館資料の整理ということは、購入、寄贈等によ
って受入れられたあらゆる資料を、保管、管理のため
に遺憾のないように手続を完了し、必要に応じてそれ
らの資料をいつでも自由に利用し得る状態にしておく
ことである。そのためには、受入業務、目録作業、分
類作業、資料の装備・配架、各種目録の編成、整本等
の業務があり、これらの業務を「整理」という言葉で
表現している。そして、この言葉のもつあいまいさの
ゆえに、対外的には非常に理解されにくい業務でもあ
る。より的確に表現するには「資料」という言葉を使
用した方が明瞭になる。このような観点から全国的に
「整理―整理係」から「資料―資料係」に統一されつ
つある。今日では全国都道府県立図書館の中で「整理
―整理係」を呼称している館は数県にすぎない状態と
なった。したがって当館においても改称すべく検討さ
れたが、これには諸規則の改正ともからむ問題であっ
て課題としてその解決は次年度以降に持ち越さざるを
得なかった。
なお、本年度は第4項でもふれたことであるが、昭
和30年以来の継続事業であった蔵書目録公刊事業の最
終篇である「文学篇2」を刊行した。この「文学篇2」
は既刊の目録に比して、量において最大のものとなっ
たためにその編集と校正に年度の大半を費し整理係全
体としてまことにあわただしい年であったといえる。
以下主要な事項について概説する。
1 資料の収集
図書館資料の収集にあたっては、県立図書館の持つ
資料センターとしての機能と教養、娯楽面で文化生活
の場となる機能の二つの機能面で特に前者を重視し、
そのために、利用者の調査研究にたえるような文献、
参考図書などの基本図書の整備を企図し、これらの資
料を重点的に収集することに努めた。
一方、昭和40年度の資料購入費は、館内用図書185
万円、館外用図書150万円の計335万円である。このう
ち館内用図書購入費で購入した図書は1,549冊で平均
単価は1,200円であった。前年度の実績をみると購入
図書1,942冊でこの平均単価は850円であったから、購
入冊数の面では、図書購入費が前年度比40万円の増に
もかかわらずかなり下まわり、平均単価では逆に40%
一の上昇率である。このような差違は前述したように、
資料センターとしての機能を重視し、そうした面での
充分な図書館活動を意図して収集計画をたてた結果で
もある。しかし、また諸物価の高騰は出版物も例外で
はなくそうした面も大きな原因の一つとしてあげるこ
とができる。最近の出版物は一時流行した軽装版から
紙質、装偵のよい本へ、小型化から大型化へ、家庭購
買力の上昇によって家庭向の豪華保存本へと移行しつ
つみり、値上りは必然的なことであるように思える。
したがって図書購入費が大幅に増えない限り、購入冊
数の低下はまぬがれないし、収集にあたっては更に一
層の厳しい選択が要求される。
表1 昭和40年度年間増加冊数(分類別)
購入 寄贈 編入 計 (館内奉仕用) 総記 205 239 187 631 哲学 66 31 13 110 歴史 266 417 32 715 社会科学 244 373 215 832 自然科学 47 49 38 134 工学・工業 69 66 54 189 産業 54 226 82 362 芸術 73 321 75 469 語学 25 9 15 49 文学 424 80 45 549 児童 76 1 3 80 小計 1,549 1,812 759 4,120 (館外奉仕用) 3,949 251 4,200 総計 5,498 2,063 759 8,320 表2 図書購入単価の推移
(過去5ヵ年における)
図書費決算額 購入冊数 購入単価 購 入 単 価 出版年鑑資料 館 内 館 外 35 1,978,517円 4,729冊 418円37銭 595円31銭 263円16銭 352円12銭 36 2,245,678 5,817 416・13 607・64 296・30 398・95 37 2,927,670 6,456 453・48 676・28 350・62 490・22 38 2,847,600 6,053 470・44 701・20 398・94 512・51 39 2,950,000 5,396 546・66 849・64 376・37 614・66 40 3,350,000 5,498 609・13 1.194・31 379・84 624・55 2 寄 贈 図 書
中央官庁や各種団体からの報告、統計書、民間会社
からの社史、研究、宣伝、紹介物、大学、研究所等か
らの研究紀要など寄贈される図書類は年々増加し、本
年度は図書1,744冊、新聞77種、雑誌214種に達した。
図書の中には福島県財政課より近世日本国民史全100
巻や福島市居住の大島長十郎氏よりの194冊などが含
まれている。特に大島氏からの寄贈図書の中には1冊
時価数万円のものが数十冊含まれている。
3 整 本
整本の仕事は、新聞、雑誌などの合本製本と、利用
のはげしい巡回文庫等の図書、館内閲覧用の一般図書
の修理などであるが、本年度処理したのは一般図書
1,226冊、新聞合本244冊、雑誌合本1,080冊その他
785件であった。
4 蔵 書 目 録
本年度は第9集として「文学篇2」を刊行した。更