教育年報1965年(S40)-209/213page
福島県理科教育センター
第1節 概 要
福島県理科教育センターは、近代の科学技術の進歩
にともない、本県の科学教育の振興をはかる目的をも
って昭和39年度の当初県会においてその設立が承認さ
れ、同40年4月1日県立図書館内の一隅に職員14名の
構成をもってここの声をあげた。更に同年8月には
福島市瀬ノ上町の一角に鉄筋3階建の近代的な新庁舎が
完成し、ここに実質的に理科教育センターとしての使
命を担って出発した。勿論ここにいたったのは関係の
方々の並々ならぬご努力と県民各位のご援助の結果で
あり、あつく感謝申しあげるしだいである。
1 施設の概要
本センターは研修機関としての機能がじゅうぶんに
発揮できるような室の配置、各実験室の設計がされて
おり、物理、化学、生物、地学、技術の各領域にはそ
れぞれ実験室、準備室、研究室等が配置されている。
各実験室の規模は24人が定員であるが、補助施設を使
えば30人まで研修ができるようになっている。更に研
究室は継続実験、実験セットの保存等が可能になって
おり、本センターの特徴の一つでもある。更に各科を
中心として具体的に特徴をあげれば、つぎのとおりで
ある。
(1)一 階
他県には少ないが、教材の製作修理、また技術家庭科
の技術領域の研修ができるように技術室(木工、金工)
が設けられている。さらに生物関係の各室が配置
されているが、屋外には解剖材料、観察材料等が飼育
栽培できるように温室、飼育槽が設けられている。
(2)二 階
化学関係の各室が配置されている。実験室、準備
室、研究室のほか、天秤室、薬品庫、さらに近代分
析化学の進歩に対処できるよう機器分析室が設けら
れている。
(3)三 階
物理、地学関係の各室がある。物理関係では実験室、
準備室のほか電気研究室、波動研究室等の特別研究
室があり、それぞれの領域での研究が進められるよ
うになっている。また機械の活用による教育分野の
研究を進めるため教育工学室が設置されている。東
側には100〜120人程度までの集会、講義等ができ
るよう講義室兼地学実験室があり、研修事業のほか
その利用度は高い。
(4)四 階
宇宙科学の開発による天文、気象方面の急速な発
展を考え、天体観測室、プラネタリウム室、気象観
測室の3室が設置されており、本センターの大きな
特徴となっている。特に天体観測室には水晶発振微
動装置付の6インチ天体望遠鏡が備えてあり、土星、
金星、太陽等の観測に大いにその成果を収めている。
(5)屋外環境
広大な屋外環境の整備は今後の努力点の一つであ
るが、県内の代表的植物、岩石鉱物等を集めて配置
した一大教材園をつくり、自然観察の場として活用
していくようにしたい。
2 設備の現況
昭和40年度においては、実験台、戸棚等も含め約
1,400万円の機械器具が設備され、各種研修事業に大
いに活用されている。各科の機械器具の中で主なもの
はつぎの通りである。
主な設備内容
品名 数量 品名 数量 品名 数量 大型オッシロスコープ 1 電動遠心機 2 百葉箱 1 ストロボ装置 1 電気炉 1 記録気圧計 1 テカトロン計数器 1 導電率滴定装置 1 岩石切断器 1 サーミスター温度計 1 ポーラログラフ 1 6インチ天体望遠鏡 1 トランジスターチェッカー 1 電気冷蔵庫 1 3インチ〃 1 ミニブリッヂ 1 顕徴鏡 18 2.5インチ〃 1 水銀拡散ポンプ 1 顕徴鏡投影装置 1 プラネタリウム 1 周波数計 1 顕徴鏡写真装置 1 丸のこ盤 1 ソフテックス 1 恒温槽 2 自動かんな盤 1 二現象増巾器 1 定温器 2 手押かんな盤 1 真空管電圧計 1 カイモグラフ 3 角のみ盤 1 直示てんびん 1 ミオグラフィオン 1 糸のこ盤 1 直示上ざらてんびん 1 鉱物顕微鏡 1 空気圧縮盤 1 純水製造装置 1 紫外線装置 3 卓上ボール盤 1 PH計 1 地球儀 1 小型旋盤 1 光電比色計 1 天体儀 1 リコピー 1 電気定温乾燥器 3 三球儀 1 和文タイプ 1 赤外線乾燥器 1 水銀気圧計 1 3 総 務 係
予算の執行並びに決算、職員の服務、公印の保管、
理科教育諸団体等との連絡、要らん、各種出版物の印
刷発行、物品の出納、保管、文書の収受発送、財産の
管理等に関すること。その他の係に属さない事務に関
すること。
4 研 修 係
(1)研修講座
各種講座の企画運営、長期研修の企画運営、講座
テキストの編集等に関すること。
(2)調 査 研 究
理科教育の諸調査、教育内容、指導法の研究、学
校の設備の研究、視聴覚教具の研究、各研究室主題
の研究、その他教育諸問題に関すること。
(3)教 育 相 談
小学校、中学校、高等学校の理科教育に関するこ
と。
中学校技術教育に関すること。
(4)広 報
所報、研究集録等の編集、並びに研究成果の普及