教育年報1966年(S41)-057/194page

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 2) 懲戒処分取消請求事件(白岩正吉外52名)

   行政訴訟事件の2)と同内容のものであって、訴願前置

  主義の立前から昭和35年1月26日県人事委員会に対し不

  利益処分の審査請求をなしたものである。

 3) 懲戒処分取消請求事件(小川昭二外27名)

   行政訴訟事件の3)と同内容のものであって、訴願前置

  主義の立前から昭和37年3月2日県人事委員会に対し不

  利益処分審査請求をなしたものである。

 4) 転任処分取消請求事件(五十嵐秀男外4名)

   元大沼郡会津高田町立高田中学校事務職員五十嵐秀男

  外4名に対し昭和36年度末人事に際し転任処分に付した

  ところ行政訴訟事件の3)の報復人事であり、その意に反

  する不利益な処分であるとして昭和37年5月25日県人事

  委員会に対し審査請求をなしたものである。

 5) 転任処分取消請求事件(白川角美外1名)

   行政訴訟事件の8)、9)と同内容のものであって、訴願

  前置主義の立場から昭和40年4月19日県人事委員会に対

  し不利益処分の審査請求をなしたものである。

 6) 懲戒処分取消請求事件(斎藤峰夫外1,308名)

   昭和41年10月21日、日教組の統一行動として、ベトナ

  ム戦争反対、人事院勧告完全実施を目的として半日一斉

  休暇闘争に参加し、職場離脱をした小・中・高校教職員

  1,317名に対し県教委は懲戒処分を行なったところ、こ

  れを不服として昭和42年2月20日被処分者1,309名は県

  人事委員会に不利益処分審査請求をしたものである。

  近く審理が行なわれる予定である。

 2 進行状況等

(1) 行政訴訟事件

  1)の懲戒処分取消請求事件については30数回にわたる争

 点整理の手続を終了し事実認定のための証人調の段階であ

 り、判決までには{相当の年月を要すると考えられる。な

 お、この事件の争点は勤務評定反対一斉休暇闘争は争議行

 為に該当するか否かの点であるが、勤務評定反対一斉休

 暇闘争にかかる地方公務員法違反の事件で、東京、福岡、

 和歌山、大阪各地裁はいずれも「争議行為に該る」と判示

 しており、昭和40年11月16日東京高裁は「教職員組合の指

 令の趣旨の伝達等の行為は、地方公務員法第61条第4号の

 あおりに該当する」と判示していることは注目すべきこと

 である。

  2)3)の懲戒処分取消請求事件は現在まで約20回の準備手

 続を行ない、2)の事件については、近く事実を立証するた

 めの証人調に入る予定であり、3)の事件については、事実認定の

 証人調の段階にある。2)と類似の公務執行妨害罪にかかる

 刑事事件で、山口地裁(昭38.11.28)は「研究協議会開

 催の問題は職員団体との交渉の対象とはならない。」と判示

 していることは当然のこととは言いながらやはり注目すべ

 き判決ともいえるであろう。3)と類似の事件で、盛岡地裁

 (昭41.7.22)は、「学力調査は、教育に対する不当な

 行政の干渉ないし侵害ということはできず、手続的にも実

 質的にも、これを無効とする違法がないものというべきで

 ある」と判示し学力調査の適法の判断を示している。なお

 学力調査を違法とする判決としては、大阪地裁、旭川地裁

 の判決がある。

  4)5)の旅費支払請求事件はこれまた十数回の準備手続を

 行ない、その間、原告請求の1伴ごとの旅費請求内訳書が

 正確か否かを精査するとともに、被告福島県としては、

 すべて原告の請求金額は弁済ずみであるので債務は存在せ

 ず、また法律生活の安定をはかる上からいっても信義誠実

 の原則に違反するものであると主張している。双方証拠申

 請も終り、近く証人調に入る予定である。

  6)の給与支払請求事件は、現在最高裁に相手方が上告中

 である。この事件の争点は純然たる法(労働基準法第24条)

 の解釈の問題である。即ち瀬戸清ら第一審原告は、労基

 法第24条の賃金全額払の原則は、昭和34年2月の給与債権

 を労働債権として相殺することを禁止している趣旨と主

 張し、福島県は内閣法制局見解に基づき、労基法第24条の

 給与の過不足調整の相殺まで禁止している趣旨でないと主

 張している。なお同趣事件で福島県、東京都、郡馬県の事

 件係属中であるが、各県の事件については、仙台高等裁判

 所、東京高等裁判所において、判決が下され、いづれも高

 等裁判所は「労基法24条は、給与減額事由の発生した月

 又は接着した月で調整相殺されることは、許されるが、か

 け離れた月に調整相殺されることは許されない」という判

 断を示したことにより、給与減額に関する裁判所の判断は

 ほぼ確定したものと考えられるが学説も相半ばし法律論と

 しては、むづかしい問題である。

  7)分限免職処分無効確認事件は、現在最高裁判所に上告

 中である。

  8)9)転任処分取消請求事件は、昭和41年4月12日請求棄

 却の判決があり、現在仙台高栽に控訴中であり、証人調の

 段階である。

(2) 不利益処分審査請求事件

  1)2)の事件については、現在証人調中であり、3)4)の事

 件も近日中に証人調に入る予定である。詳細については紙

 面の関係もあり省略する。

   第6節 学 校 防 火

 学校火災は、公共財産を焼失するばかりでなく、児童生徒

に精神的打撃を与え、学校教育の質的低下をきたし、教育行

政を停滞させるなど社会的に及ぼす物心両面の影響はまこと

に大きい。

 本委員会は、とくに下記事項の防火対策を樹立し、市町村

教育委員会ならびに学校当局と協力して学校火災の絶無をは

かるべく種々努力したが、昭和41年4月17日耶麻郡猪苗代町

立吾妻第二小学校外6校で火災が発生したことはまことに遺

憾なことであった。

  1 学校防火対策委員会の設置とその対策

   要綱

  前年度と同様に学校防火対策委員を任命し、つぎの対策

 要項を策定した。

(1) 県教育委員会の実施事項

 1) 県立学校ならびに市町村立小中学校の宿日直勤務規程

  を検討し基準案に基づいて指導する。


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