教育年報1966年(S41)-061/194page

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   昭和42年度は17名を派遣し、前年度とあわせて30名と

  なった。

   なお、昭和40年度の派遣教員は、勤務成績が良好であ

  ったので、へき地または平地の学校の教頭として転出し

  た。

   また、この制度によって派遣された優秀な中堅教員を中

  核とする教育研究活動は活発となり、その成果も高く評

  価されつつある。

 3) 昇任の場合の資格要件

   校長に昇任させる場合に、へき地学校2年、または農

  山村5年以上の経験を有することが必須の資格条件とさ

  れ、教頭の場合も、へき地学校または農山村の経験を有

  する者から選考されるために、へき地学校へ優秀な教員

  の配置がなされ、その効果があがりつつある。

(2) へき地学校教職員の経済的優遇策

  へき地学校勤務教職員の研修旅費として、1年間3,000

 円が配当されているほか、教員住宅の建築あっせん、医療

 の問題、へき地教員子弟の寄宿舎設置の問題、福利厚生

 等の問題もある。

  また、へき地度の高い学校に赴任する教員に対し、赴任

 旅費を支給することとし、4・5級地の学校に赴任する教

 員に赴任旅費が支給された。

  このほか、つぎのような経済的優遇策がとられている。

 1) へき地手当の支給

   へき地勤務の困難さ、勤務環境の特殊さ等にかんがみ、

  給料と扶養手当の月額との合計額に、1級は8%、2級

  は12%、3級は16%、4級は20%、5級は25%を乗じて

  得た額が、へき地手当として毎月支給されている。

 2) へき地教職員の特別昇給制度の実施

   人事委員会指定のへき地1級地から5級地の学校に勤

  務した教職員に対し、1年勤務について、5級地・4級

  地は6ヵ月短縮昇給(2年間で1号給昇給)、3級地・

  2級地は3年間勤務で1号給昇給、1級地は4年間で1

  号給昇給の割合で短縮される。

(3) へき地学校教職員の定数配置

  へき地教育振興法第4条2項に「都道府県は、へき地学校

 に勤務する教員、および職員の決定について、特別の考慮

 を払わなければならない。」とある。

  これによって、本県は本年度の教員の配当について、分

 校および分室をそれぞれ1校と見なして次の点に留意した。

 〇小規模校に対する補正教員(分校補正)を配置する。

 〇分校4校以上有する学校に教員1人を増員する。

 〇本校3学級以下で、分校を有する学校に教員1人を増

  負する。

 3 今後の問題点

(1) 学校学級規模の適正化をはかること。

  本県のへき地学校には、小規模学校や分校が多く、また

 児童生徒が少ないため、単級や複式学級が多いので、学習

 指導に困難をきたしている。

  したがって、可能なかぎり学校の統廃合をはかり、教育

 条件の改善をはかるための諸施策を講ずることがたいせつ

 である。

  すなわち

 〇小規模校の統合をはかるとともに、季節分校の廃止につ

  とめること。

 〇小中学校における単式、複式学級の解消につとめること。

  なお、以上のことによって生ずる児童生徒の通学問題に

 ついては、スクールバスの購入、児童生徒の寄宿舎の建築

 等によって解決するようにする。

(2) へき地教職員の充実をはかること。

  へき地には、経験の浅い若年層の教員が多く、中堅層の

 教員か少ない。したがって、へき地派遣制度の充実、へき

 地優先の八事行政の推進と相まって、経済的優遇策を講じ

 て、教員の受人体制を整備する。

(3) C地区学校指定の検討すること。

  C地区学校数の県全体の学校数に対する割合が大きい

 ため、現在のへき地交流方式では、円滑なへき地交流人事

 はきわめて困難であった。したがって、早急に長期の見と

 おしの上に立ったへき地交流方式を設定する必要がある。

  なお、昭和41年度末においては、かかる観点にたち、へ

 き地学校勤務年数改訂(人事委員会指定校2年、へき地教

 育振興会・教育事務所指定校4年)ならびに教育事務所指

 定校を10%までに削減した。

(4) 施設設備、教材教具等の充実と学習指導法の高度化を促

  進ずる。

  学級編成や地域性等からくる学習指導の困難性を打解す

 るためには、教材教具を豊かにすることが急務であり、そ

 れには、へき地の地域ごとにへき地教育教材センターのよ

 うな施設を設置することがのぞましい。

  また、学習指導の個別化や主体的学習を推進するために

 は、ティーチングマシーンの活用、プログラム学習等の導

 入をはかって、学習の高度化を促進し、教育水準を向上さ

 せる必要がある。

(5) 学校給食の完全実施をはかること。

  へき地は、地理的条件ならびに諸般の要因から、住民の

 食生活水準が一般的に低く、児童生徒の体位の他地域に比

 して低い状態にある。

  したがって学校給食の充実は焦眉の急務である。

(6) 本県へき地教育振興会の事業の検討

  本県へき地教育振興会は、昭和25年に、県民の友愛精神

 から発足し、へき地教育振興会法成立の推進母体としての

 若菜をすすめ、また、これが成立後も引き続いてへき地教

 育振興のために活動してきた全国でもまれな団体である。

  しかし、市町村よりの負担金が、法令外負担令規制によ

 って削減されたため、振興会の財政は貧困となり、その事

 業は必然的に検討すべき段階にきている。

  なお、県、市町村ならびにへき地教育振興会は、それぞ

 れの立場において、いかにへき地教育振興の施策を速める

 べきかを検討すべき時期にきている。


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