教育年報1966年(S41)-095/194page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

域も狭く、学習指導にいろいろな困難な因子をもっている。

へき地の学校に勤務する教職員の研修のために、本年及実施

した、小規模校研究協議会、山村教育研究会を開催した。こ

れらの行事にへき地学校勤務の教職員が多数参加され、熱心

に研修され多大の成果をおさめることができた。以下それら

の行事について、概略を述べる。

 1 小規模学校研究協議会

(1) 期    日

  5月26日、27日

(2) 会    場

  会津若松市立謹教小学校

(3) 趣    旨

  小規模学校の経営について、とくに学習指導と管理上の

 問題の研究協議を行ない、管理者としての資質を高め教育

 の改善と向上を図ることを目標においた。

(4) 研究発表

  「小規模学校における施設、設備の改善はどのように進

 めたらよいか。」

      東白川郡古殿町立大久田小学校長 室光夫

 1) 小規模学校における環境の教育的意義

   小規模学校においては、児童、生徒の経験を広め、刺

  激を与え、問題意識を高めるとともに清潔で合理的な環

  境構成に重点をおかなくてはならない。

 2) 学習活動としての環境

   環境を学習活動の場として児童、生徒の心身発達段階

  に即し、しかも教育的から、正しく無理なく学習の位置

  づけをしなければならない。特に小規模校においては、

  経験を広め、刺激を与え、問題意識を高め、学習活動が

  効果的に展開されるように環境づくりがなされなければ

  ならない。

 3) 清潔で合理的な環境

   小規模校が、予算規模の違う大規模校のまねをするの

  はおろかなことである。大きな石を運んだり、りっぱな

  池を作ったり大げさなことより、昇降口前を1坪か2坪

  をコンクリートにするとか、はきものの土おとし、手洗

  場の増設、排水施設の充実をはかるとか、教室内の壁面、

  空間を創造的に活用するといったように、清潔で合理的

  な構成がだいじである。

   学校教育の高度化、能率化にともない、施設、設備の

  改善でだいじなことは、より多くの予算を確保すること

  である。そしてそのためには教師自身が教育の本質をよ

  く理解して説得力を身につけることである。

(5) 研究協議

 1) 研究主題

   「小規模校における教職員に対する助言指導のあり方

  について」

   学校経営には、ビジョンがなければならないとともに、

  よりよい人間関係が必要である反面きびしい訓練が必要

  で、ひとりひとりの子どもに適した授業をしなければ女

  らない。また経営にあたってはアイデアを出しあうよう

  にすべきである。

 2) 研究主題

   「教頭の役割りと現職教育について」

   小規模校では、担任が多忙すぎるのでつい教頭が手を

  だしてしまう傾向が見られるが、一般の先生方に仕事の

  分担を明確にして分掌させ、その中で指導助言すべきで

  ある。研修を進めるには、校長、教頭の指導にまつとこ

  ろが多いので、具体的な研究主題を設定して毎日の授業

  をとおして実践的な研究の累積がたいせつである。

 3) 研究主題

   「学校教育と家庭学習」

   学校(分校)として家庭学習や宿題についての目あて

  を適確にもち、家庭生活の中に学習時間を位置づける必

  要がある。それとともに学習の必要性を父兄に理解させ

  ること、方法としては学校参観日、部落懇談会、1日奉

  仕作業等のさい家庭学習についての学校の方針を話すな

  どの手だてを考え、教師と父兄の間に家庭学習の正しい

  あり方について共通した考え方が確立されることになる。

  〇家庭学習に何を学習させるか明確にする。

    このことを明らかにしてかからないとなが続きのし

   ないその場限りの宿題を与えることになる。

  〇学校の学習を復習する。

    復習を母体として学習の方法を体得させる。

  〇予習をする。

    教科に即した学習の方法を指導する。資料や参考図

   書の利用、ノートの作り方等についてのきめこまかな

   指導をする。

  〇練習をする。

    学校での学習の結果を定着させる。

    家庭学習の結果が日々の学習で生かされ、家庭学習

   をすることの効果がひとりひとりが確認できるまでに

   もっていくことが望ましい。

(5) 講    演

       文部省初等中等教育局初等教育課

            課長補佐 迫田哲郎先生

 演題 「小規模学校の教育の改善と充実のために」

  小規模学校をいじょうしているいろいろな問題点を解決

 するため、小規模学校における教育計画が、多角的な立場

 からたえず検討され、じゅうぶんな計画として遂行されな

 ければならない。県全体の7割が山間部を占め、多くのへ

 き地指定校をもつ本県においては、一般の学校の先生方も

 小規模学校における教育に対する関心を高めるとともに、

 協力体制を強化することが、へき地教育においていつも問

 題とされている。教師の確保ということのためにも特にた

 いせつである。

  新鮮な空気、美しい緑のなかに進められる福島県の小規

 模学校の教育こそ、教育の場としては最もふさわしいもの

 であり、教育の真の効果もあげられるのではないかと思う。

 2 山村教育研究会

(1) 中通り地方

 1) 期    日

   11月15日(火)

 2) 会    場

   西白河郡大信村立大屋小学校、大屋中学校


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。