教育年報1966年(S41)-102/194page

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   て全国の調査をもとにして、教育内容全般にわたる研

   究を進めてきた。

  イ. 障害となる原因(施設と学校との関係)

    重複障害、特別学級、寮母との関係など指導管理面

   の日々の問題点など教頭の任務と研究について討議が

   展開された。

  ウ. 職業指導の問題については国の厚生関係、福祉面か

   らの問題など文部省への要望を中心に進めた。本県と

   しても、どうしても厚生部関係の協力を得て、職業訓

   練所、職業訓練所へいく前の指導所のような施設がい

   くつかなければ、特殊教育の進展がみられないという

   意見が多くあった。

  エ. 今後の問題点としては次の三つがあげられた。

   〇指導要領の検討とテーマの研究

   〇児童生徒の実態のはあく

   〇年間計画と授業の体質改善

(3) 昭和41年度心身障害児判別講習会

 1) 県内四ヵ所(福島、郡山、いわき、若松)において適

  正な判別による特殊学校、学級への入級等について、学

  校長、市町村教育委員会関係職員、、次年度設置を予定

  している関係者などを中心として講習会を実施した。

  〇各障害の分類とその判別と内容について、郡山市安積

   保養園理事長佐久間有寿氏の講演を中心に判別の手順、

   事務上の手続き、指導上の留意点などについて講習会

   を開いたが、判別委員会構成については今後大いに力

   を入れていかなければならないと思われた。

(4) 東白川管内特殊教育研究会

 1) 東白川郡特殊教育研究会のテーマ

  〇東白川郡における特殊教育の振興策について

  〇特殊教育の指導上の諸問題について

  〇授業を進めるうえに中心となるものは何か。

 2) 現職教育の一環として、一時間特殊学級担任を開設し

  て啓蒙と理解を深めた。そのねらいは、

  〇学級を解放して職員の相互研修を図る

  〇普通学級担任との交換授業を行ない、より多くの効果

   的な指導法をくふうする。

  〇特に精神薄弱の心理的特性について、研究発表を中心

   に研究協議をする。

 3) 研究発表の主なる項目

  ア. 学習不振について

    学習不振の問題をもつ子どもがすべて精神薄弱児か

   というと必ずしもそうではないこと。

  イ. 学習不振という問題を内容的に、原因的に区別して

   みると、

   〇知能がじゅうぶんある IQ100〜120

     基礎学力の貧困、病弱、欠席がち、職業の関係、

    家庭環境

   〇知能はじゅうぶんあるが学習意欲がない。

    多くの場合は情緒的な障害である。

    仮性精薄または疑性精薄で、知能以外の他の面の障

    害のために精神薄弱児であるごとき低い学習成績を

    示す子どもなどである。これらは特殊教育よりも別

    な面で解決していくべきである。

   〇その他、精神薄弱児教育の問題点、教師の問題、教

    課程の問題などについて発表があった。

(5) 特殊教育研究会いわき大会

 1) 主    催

   福島県特殊教育研究会、いわき市教育委員会

 2) 後    援

   福島県教育委員会、福島県小・中学校長会

 3) 講    師

 職業元東京教育大学教授 榊原清先生

 4) 分科会のテーマ

  〇第1分科会 就学率の向上と入学時の鑑別法

  〇第2分科会 特殊教育教員と父兄のありかた

  〇第3分科会 施設教材教具め整備活用について

  〇第4分科会 管理運営

 5) 各分野にわたる特殊教育の研究協議

  〇県立養護学校平分校授業公開

  〇いわき市立平第五小、平第三中学校授業公開

 6) 問題になった点

  〇特殊教育の一環性…小、中・高等部、職業教育への計

   画的な設置と運営

  〇長期研修の推進

    このことについては、41年度は6ヵ月研修4人を派

   遣し専門的な研修をおさめ有意義であったが、さらに、

   言語障害の教育の長期研修を計画しており、43年度の

   学級設置の準備をしている。

  〇1学級2人制への促進

  〇人事交流の適正化など。

 7) 第一分科会の発表内容の一部(須賀川第三小学校)

  ア. 地域性の問題

   ・特殊学級の分布が地域的にかたよっている。

   ・大規模都市の充足率69%、小規模都市27%(文部省、

    昭和40年度文部省資料)

   ・地域が広く交通不便→通学困難(遠距離、交通費負

    担困難)…通学費の市負担、バス路線の拡張などが

    望まれている。)

  イ. 出現率と就学率

   ・出現率に対する就学率を文部省で出しているが、

    4.25%はどうしても多すぎる。このことは文部省

    では全国に再調査をしてもっと信頼度の高い数を出

    していく考えである。

   ・出現率のたしかめと共に学校1学級から2学級設

    置に進めていきたい。

  ウ. 安定度の高い特殊学級にしていくために

   ・境界線児の入級判別の問題

   ・仮性精薄児の判別の困難さ

   ・低 児の入級希望をどうするか。

   ・二重障害児の入級希望をどうするか。

  エ. 判別の組織化、判定の適正化

   ・学校単位でなく地教委としてやるべきこと。

   ・権威ある判定委員会、科学性合理性のある正確な判

    別で、のぞましい特殊学級を設置するよう、県の指

    導を生かしていくようにしてほしい。

   ・諸検査の技術向上を図るための研修の場がほしい。


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