保健体育
第1節 概 要
オリンピック以後、急に国民の間に体力についての認識が
高まり、各種の体力つくり運動が展開されてきた。昭和41年
度は体力つくりを積極的に実践に移す年であった。
保健体育課は「スポーツの振興と体位・体力の向上」を努
力目標として、それぞれ、保健、体育、給食の分野で密接な
連けいをとりながら総合的に施策をすすめ、二百万県民の体
位・体力の向上に、この一年間努力を重ねて、大きな成果を
収め得た。その概要は次のとおり。
1 学校体育の振興について
本県の児童・生徒の体位・体力は全国平均を下回っている
ので保健・体育・給食の総合的施策をすすめたが、学校体育
指導者の資質向上のため、各種実技の講習会、体育研究校の
指定、研究発表会等を開催して指導の充実をはかった。
2 競技力の向上について
国体の成積は26位に終ったが、各選手の記録・内容は大い
に向上している。アジア大会において唯一の世界新記録を出
した重量挙の大内仁選手、メキシコオリンピック候補となっ
た馬術の佐藤伝一選手、札幌オリンピック候補に選らばれた
猪苗代高校の渡部絹夫君外6名の中学選手等目ざましいもの
がある。
又、本年度県体において146のタイ記録、新記録の誕生を
みたことは、本県の各競技の躍進向上を物語るものである。
3 社会体育の振興について
スポーツ少年団活動の促進、スポーツ教室開設の促進等に
つとめた。又、ユースホステル会員の増員、サイクリング協
会の発足等野外活動の普及につとめ、一般青少年を対象とし
た、社会体育の振興をはかった。
又、本年より国民の祝日となった体育の日には県下51市町村
6万名の参加をもって各種の行事が催され、体育の日制定の
趣旨が生かされた。
4 県営体育館付属合宿所の新設について
昭和39年度に完成した県営体育館は、本県スポーツの殿堂
として、スポーツの振興に貢献しているが、更にその効果的
活用をはかるため、体育館北隣に鉄筋3階100名収容の合宿
所を3月末完成した。内部施設を整備のうえ6月より開所す
るので、本県の競技力向上に大きな期待がかけられている。
5 水泳プールの建設について
41年度国庫補助による水泳プールは小学校17、中学校7、
市町村民用3、の新設をみた。その他市独自の新設3、を加
えて県下のプールの総数は171となったがその充実度はいま
だ不充分であるので、さらに充実するよう努力したい。
6 学校給食実施計画の策定
本県の学校給食の概況は、小学校・中学校ともにミルク給
食は殆んと実施しているが、完全給食は小学校が80%、中学
校が20%台である。今後の学校給食普及上の課題として、昨
年度に引続き、へき地給食の促進と中学校給食の育成が大き
な課題である。
このため本県の長期総合教育計画においても、国の計画方
針を考慮し、本県の実態に即して、
(1) 小学校においてはへき地、平地とも45年度まで完全給食
を。
(2) 中学校は、へき地は45年度まで、平地は50年度まで、そ
れぞれ完全給食を。
全校に実施できるよう、強力に推進していく計画が樹立され
た。
7 学校給食衛生管理の強化
41年度は、全国的にも、学校給食による赤痢・食中毒等、
事故の多発をみたが、本県においても田村郡三春町立沢石小
学校外数件の給食に起因すると思われる事故が発生している
ので、県厚生部とも連絡を密にし、適切な指示により指導を
行なったため事故を最少限度にくいとめることができたこと
は幸いであった。
8 学校環境衛生の維持改善
法により学校薬剤師が設置されたが、その職務執行の基準
がなかった。40年度に国から「学校環境衛生の解説」がださ
れたのでその趣旨徹底をはかるとともに、学校環境衛生の維
持改善をはかる基本的なことである環境衛生検査を各学校で
実施するために、学校薬剤師の実務講習会を開催し、その強
化をはかった。
9 へき地学校保健の強化
本県学校保健の隘路の一つは、へき地地区の学校保健の振
興にあり、この打解策を講ずることは重要な意義をもつもの
である。それでへき地区の学校へ専門医を送り込み健康診断
と簡単な診療を実施し、へき地地区の児童・生徒の健康状態
の把握とへき地学校の学校保健のあり方を研究した。へき地
教育の振興をはかるには、へき地地区の学校保健の解決が学
習展開以前の重要な問題の一つである。
10 学校病対策の強化
本県児童・生徒が罹患している疾病異状は、数多くあるが
そのうちで、特にむし歯・近視が一般的に問題となるもので
あるが、一部の地区ではまだ寄生虫やトラホームが問題とし
なければならない。これらの学校病対策として県内16ヵ所で
学校病予防講習会を開催し、関係者の理解を深めて、その予
防対策の強化をはかった。