教育年報1966年(S41)-174/194page

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 追跡調査し、入学後の学力形成過程を明らかにするとと

 もに、高等学校における学習指導の実態をは握し、学習指

 導改善のための資料を提供する。

(2) 研究の方法

  高等学校入学選抜学力検査結果から、本県における学力

 の中位にあると考えられる普通高校および実業高校から7

 校抽出し、その学校に昭和40年度第1学年に入学した生徒

 を対象として、3ヵ年間継続研究を行なう。本年度はその

 研究の第二年次である。

(3) 研究の経過

 1) 数学、英語に対する意識調査の結果の考察

   高等学校における教科に対する学習の構えの変化の状

  態および、授業に対する意識、学習の困難点を明らかに

  するため、高校入学時と1年修了時に行なった意識調査

  の結果について比較考察を行なう。

 2) 学力検査

   高等学校における数学、英語の学力の実態をとらえる

  とともに、入学時、1年修了時、2年修了時の学力の推

  移から高校における学力形成上の問題点をとらえるため

  昭和42年2月22日から3月4日までの間に、2年生に対

  して数学、英語の学力検査を実施した。

   学力検査問題の内容は高等学校第2学年履修程度で、

  教研式全国標準学力検査問題用紙C形式を用いた。

(4) 意識調査の結果

  高等学校における学習指導の実態を生徒の授業に対して

 の受けとり方からとらえようとして意識調査を実施した。

 しかも、中学校と高等学校の比較において明かにしようと

 したので、高校入学時に中学における授業について、高校

 1年修了時に高校の授業についての受けとり方を調査した。

 その指導の実態をとらえる視点として次の8項目を考えた。

  ア. 目標の点から(生徒に学習の見通しをもたせる)

  イ. 学習のレディネスを高めるくふう。

  ウ. 学習形態(教材に即した学習形態が適切にとらえて

   いる)

  エ. 学習方法(教科の学習方法を身につけるような配慮)

  オ. 個人差に応ずる配慮(生徒の能力に応じた配慮をし

   ている。

  カ. 思考洗練(生徒の思考をたいせつにし、じっくり考

   えさせる配慮)

  キ. 強化(たしかめや練習を多くし、理解を深め定着を

   はかる。

  ク. 体系化(既習教材との関連)

  これらの視点から数学科の学習指導の実態をとらえた結

 果の二、三の項目については次のとおりである。

 1) 学習方法
調査内容 項目 入学時 1年終了時
1)問題の解き方について考え方が   % %
じゅうぶんのみこめるように説明 54.6 25.8
してくれるので問題の解き方の観 9.0 21.6
点がわかるようになった 36.4 52.6
2)問題のたいせつな点を指示して 57.5 37.9
くれたので勉強しやすかった。 8.9 16.7
  33.6 45.4

 注:項目の欄のア.イ.ウは、調査質問に対する選択肢で次の

   意味をあらわす記号である。  ア……あてはまる

   イ……あてはまらない  ウ……どちらともいえない

 2) 個人差
調査内容 項目 入学時 1年終了時
    % %
1)先生の説明のあとで、わからな 73.6 34.6
いところを質問させる時間をとっ 9.2 23.7
てくれることがかった。 17.2 47.7
2)基礎的な公式や法則がわかるよ 42.7 20.9
うに説明してくれるのてむずかし 10.2 22.7
いとは思わなかった。 47.1 56.4

 3) 思考洗練
調査内容 項目 入学時 1年終了時
    % %
1)数学の法則や考え方を見つける 37.5 28.3
ように、生徒に考えさせることが 29.6 27.8
ときどき行なわれた。 32.9 43.9
2)ひとつの問題について、いろい 43.6 19.8
ろの解き方を教えてくれることが 16.1 30.3
多かったので、問題をいろいろの 40.3 49.9
考えで解くようになった。      

 6 診断的性格を帯びた福島県標準学力検査

   問題

(1) 趣   旨

  児童・生徒の学力の実態を正しくとらえ、これに対応す

 る治療的な指導を講ずることは、学力の向上をはかる上に

 欠くことのできないたいせつなことである。

  本検査問題はこの趣旨によって作成され、これによって

 生徒の学力を正しく診断し、現場の学習指導に役立てよう

 とするものである。

(2) 問題作成の経過

 1) 当研究所が本問題の作成にとりかかってから10年にな

  る。いま、この仕事の足跡をふりかえってみると、次表

  のとおりである。
学校 小     学     校 中  学  校
学年
年度 1 2 3 4 5 6 1 2 3
32         国,算 国,算 国,算    
33     国,算 国,算       国,数  
34 国,算 国,算             国,数
35       国,算 国,算 国,算      
36     国,算       国,数 国,数  
37 国,算 国,算             国,数
38       社,理 社,理 社,理      
39             社,理 社、理 英
40           社,理
41        

 2) 問題作成の手順

  本年度実施の小1・2算数、小3・4の国語をモ

 デルとして示すと、次のとおりである。
問題作成の手順


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