教育年報1966年(S41)-176/194page

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 とづいて述べられているとは限らない。むしろ、戦前のお

 となが、子どもにいだいていたイメージから現代の子ども

 をみて、論じているものも少なくない。

  共同研究をすすめるに当たって、第一に確認し合ったこ

 とは、なんらの前提条件なしに「現代の子ども」を実証的

 に捉えようということであった。しかしながら、少年期か

 ら青年前期にかけての、成長段階にある子どもたちは、実

 に複雑多岐であるので、次の5グループに分け、それぞれ、

 研究の側面、視点を定めて、調査研究に着手したわけであ

 る。

  福島県教育研究所は、下記「子どもをめぐる人間関係」

 の研究グループに所属したわけであるが、その立場、分担

 を明らかにするために、共同研究の全体構想の概要をかか

 げてみた。

              ※印 本研究所分担事項

 1) 研究主題

   「現代の子どもの理解とその指導に関する研究」

    Aグループ 子どもの労働実態と労働観

    Bグループ 子どもの生活とモラル

  ※Cグループ 家庭における人間関係

            子どもの友人関係

    Dグループ 子どもの学校観と文化的環境

    Eグループ 反社会的な子どもの生活意識

 2) 調査対象学年

   各グループとも、小学校6年生、中学校3年生、高等

  学校2年生を対象とする。

 3) 調査地域類型

   小中学校については、各調査とも、原則として次のよ

  うな共通の地域類型を選定する。

   農山漁村 ※地方都市  都市住宅地域

   都市工・鉱業地域

   高等学校は、全日制を対象とし、地域類型に関係なく

  課程別(農業、工業、水産、※商業、普通等)に選定す

  る。全教連との関係は、上述のとおりであるが、本研究

  所としては、※印の分担事項を担当するだけでなく、本

  県における、児童・生徒をとりまく人間関係を浮かびあ

  がらせるために、共同研究と関連を保ちつつ、本県独自

  の計画のもとに調査研究をすすめた次第である。しかし

  ながら、子どもの人間関係の全てを調査対象にして網ら

  したという意味ではない。子どもの人間関係の中には、

  近隣との関係もあろう。おじ、おばなどから大きな影響

  を受ける場合もあろう。それらの全てを取り上げるには

  時間的にも、経費の上からみても無理があるし、だいい

  ち、共同調査用紙を使用するというところに、本調査研

  究の限界があった。したがって、4の内容の項で述べて

  あるように、子どもの人間関係の重要な部分はおさえて

  あるが、全てではないことをお断わりしておく。

   このような調査研究は、幾多の生々しい具体的な問題

  をかかえている多くの学校からみれば、はなはだう遠の

  ようであるが、「もとを正す」ことがもっとたいせつで

  あり、結局は早道であると考えられる。生徒指導は、生

  徒理解から始まると言われるが、じゅうぶんな生徒理解

  の上に立たない生徒指導は、労多くして効少ないばかり

  でなく、ときにはマイナスの面すら出てくるものと思わ

  れる。

   以上のことから、本研究は、福島県における小学校、

  中学校、高等学校教育、とくに生徒指導の分野に基礎資

  料を提供しようとするものである。

(2) 計    画

 1) 対象標本数

   標本数は表1、表2のとおりである。

   地域類型は、文部省の学力調査の分類によった。ただ

  し、都市は、市街地域に属しているものを都市とみなし

  た。なお、調査は3部からなっており、表1の標本数は

  C1の実施人数を示している。調査は、原則としてC1、C2

  C3を別々の日に実施したので、欠席、早退等の理由のため、

  総計で3〜4名の増減がみられたが、ほとんど影響ない

  ので、C2、C3、の標本数は省略する。

表1
  合計
小学校(6年生) 男子 169 172 170 511
女子 159 167 159 485
小計 328 339 329 996
中学校(3年生) 男子 170 161 160 491
女子 171 159 169 499
小計 341 320 329 990

(注)

都…都市

農…農山村

純…純農村

表2
  合計
高等学校(2年生) 男子 313 217 107 637
女子 264 102 55 421
小計 577 319 107 55 1,058

(注)

普…普通科

商…商業科

農…農業科

家…家庭科

 2) 標本校

   小学校については、都市8校、農山村12校、純農村10

  校を、中学校については、都市8校、農山村10校、純農

  村9校を抽出した。高等学校は、普通科を3校より、商業

  科を2校より、農業科を1校より、家庭科を1校より、

  それぞれ抽出した。以上の標本校の設計は、小学校、中

  学校の場合は、教育事務所管轄ごとに、ほぼ層化無作為

  抽出によることができた。したがって、小・中学校は、

  標本校からいっても、福島県の縮図に近いものとみるこ

  とができ、調査結果も妥当性の高いものと言えよう。し

  かしながら、高等学校の場合は、県北、県中、会津、浜

  の四方部からそれぞれ1校を抽出したので、標本校はま

  ずまずとしても、学区制、校数からみて、小・中学校に

  比べ、標本的な妥当性はやや低いものと思われる。

 3) 方   法

   調査方法は、一部作文調査を含む質問紙による大量調

  査法で、昭和41年6月下句〜7月中旬の間に、標本校の

  都合のよい日を選び適宜実施した。

 4) 内  容

   調査問題は3部からなり、1部(C1)は家庭内におけ

  る人間関係、とくに親子関係を中心にしており、家庭の

  ふんい気、家族間のコミニュケーション、家族での主

  導権、父母への信頼感、不安感、不満、「家」に対する


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