教育年報1967年(S42)-053/194page
外7名は、これを不服として昭和37年7月19日福島地方
裁判所に懲戒処分無効確認の訴を提起したものである。
4) 給与支払請求事件 (最高裁昭和40年行第92号)
昭和33年9月15日を中心とする勤務評定反対のための
一斉休暇闘争(1)福島地裁昭34年(行)第2号参照)に際し
当教育委員会は上司の承認なく勤務時間中に職場を放棄
した教職員に対し、その放棄時間数に応じて給与を減額
したが、元福島農蚕高等学校教諭瀬戸清外238名から減
額事由の発生した月以外の以降の月の給与から減額する
ことは違反であるとして(実際は翌年2月分から減額)
福島県を被告として、昭和34年4月15日福島地方裁判所
に給与減額分の支払いを求めて提訴、福島地裁は、昭和
38年3月25日両当事者とも一部勝訴、一部敗訴の判決を
下したため、両当事者は、いづれも敗訴の部分を不服と
して昭和38年4月22日仙台高等裁判所に控訴、
仙台高等栽判所は昭和40年7月14日一審と同様の判決を下した。
一審被告福島県は敗訴部分についてこれを容認したが、
一審原告らは敗訴の部分を不服として昭和40年7月26日
最高裁判所に上告した事件である。
5) 転任処分取消請求事件 (仙台高裁昭41年行コ第1号)
昭和39年度末教職員人事に際し、
元河沼郡会津坂下町立八幡小学校教諭
白川角美は、昭和40年3月末で58才5
月に達していたため県教委の教職員人事方針ならびに実
施要項に基づき退職勧奨を行なったが、退職勧奨に応じ
られないため、人事計画に支障を来たし、新たな人事計
画に基づいて転任処分を行なったところ、白川教諭は、
退職勧奨に応じないための報得人事であり、違法な処分
であるとして転任処分の取消を求めて、昭和40年4月20
日福島地方裁判所に訴を提起した。昭和41年4月12日
福島地裁は原告白川の請求を棄却するとの判決を言渡した
ため、原告白川はこれを不服として同日付で仙台高裁に
控訴した事件である。
6) 転任処分取消請求事件 (仙台高裁昭41年行コ第2号)
昭和39年度末教職員人事に際し、元大沼郡三島町立宮下小学校教諭
田巻千代作は、昭和40年3月末日で58才8
月に達していたため県教委の教職員人事方針ならびに同
実施要項に基づき退職勧奨を行なったが、退職勧奨に応
じられないため、人事計画に支障を来たし、新たな人事
計画に基づいて転任処分を行なったところ、田巻教諭は
退職勧奨に応じないための報得人事であり、違法な処分
であるとして転任処分の取消を求めて昭和40年4月20日
福島地方裁判所に訴を提起した。昭和41年4月12日
福島地裁は原告田巻の請求を棄却するとの判決を言渡したた
め、原告田巻はこれを不服として同日付で仙台高裁に控
訴した事件である。
(2) 不利益処分審査請求事件
1) 懲戒処分取消請求事件 (加藤林外27名)
行政訴訟事件の1)と同内容のものであって、訴願前置
主義の立前から昭和33年12月28日県人事委員会に対し
不利益処分審査請求をなしたものである。
2) 懲戒処分取消請求事件 (白岩正吉外52名)
行政訴訟事件の2)と同内容のものであって、訴願前置
主義の立前から昭和35年1月26日県人事委員会に対し不
利益処分の審査請求をなしたものである。
3) 懲戒処分取消請求事件 (小川昭二外7名)
行政訴訟事件の3)と同内容のものであって、訴願前置
主義の立前から昭和37年3月2日県人事委員会に対し不
利益処分審査請求をなしたものである。
4) 転任処分取消請求事件 (五十嵐秀男外4名)
元大沼郡会津高田町立高田中学校事務職員五十嵐秀男
外4名に対し昭和36年度末人事に際し転任処分を行なっ
たところ行政訟訴事件の3)の報復人事であり、その意に
反する不利益な処分であるとして昭和37年5月25日県人
事委員会に対し審査請求をなしたものである。
5) 転任処分取消請求事件 (白川角美外1名)
行政訴訟事件の5)6)と同内容のものであって、
訴願前置主義の立場から昭和40年4月19日県人事委員会に対し
不利益処分の審査請求をなしたものである。
6) 懲戒処分取消請求事件 (斉藤峯夫外1,306名)
昭和41年10月21日、日教組の統一行動として、
ベトナム戦争反対、人事院勧告完全実施を目的として、半日一
斉休暇闘争を実施し、これに参加し、職場離脱をした小・
中・高校教職員1,317名に対し県教委は懲戒処分を行な
った。ところが、これを不服として昭和42年2月20日被
処分者1,307名は、県人事委員会に不利益処分審査請求
をしたものである。
(3) 不当労働行為不服申立事件
昭和41年10月21日、日教組の統一行動として、ベトナム戦争反対、
人事院勧告完全実施を目的として、半日一斉休暇闘争
を実施し、これに参加し職場離脱をした高等学校単純労務
者2名に対し県教委は、懲戒処分を行なった。しかるところ
単純労務職員の不服申立てについては、地方公務員法の適用
が除外されているので、労働組合法第7条により、福島県地方労働委員会
に対し昭和42年12月23日に不当労働行為の不服
申立を行なったものである。
2 進行状況等
(1) 行政訴訟事件
1)の懲戒処分取消請求事件については30数回にわたる争
点整理の準備手続を終了し事実認定のための証人調も各論
部分もほぼ終り、わずか総論部分が残すのみとなり、判決
までには1年位要すると考えられる。なおこの事件の争点
は勤務評定反対一斉休暇闘争は争議行為に該当するか否か
の点であるが、勤務評定反対一斉休暇闘争にかかる地方公
務員法違反の事件で、東京、福岡、和歌山、大阪、群馬各
地域は、いづれも「争議行為に該る」と判示している。
2)の懲戒処分取消請求事件は現在まで約20数回の準備手
続を行ない、争点整理もほぼ終了したので昭和43年6月に
第1回の証人調が行なわれる。この事件と類似の公務執行
妨害罪にかかる刑事事件で、山口地裁 (昭38.11.28)
は「研究協議会開催の問題は職員団体との交渉の対象とは
ならない」と判示していることは注目すべきであろう。
3)の事件については約20回にわたる準備手続きを経て事
実認定の証人調の段階にある。類似の事件で、盛岡地裁
(昭41.7.22)は、「学力調査は、教育に対する不当