教育年報1967年(S42)-054/194page

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 な行政の干渉ないし侵害ということはできず、手続的にも

 実質的にも、それを無効とする違法がないものというべき

 である」と判示している。なお学力調査を適法とする判決

 としては上記盛岡地裁のほかに仙台高裁秋田支部、

 福岡高裁の判決があり、学力調査を違法とする判決としては

 大阪地裁、旭川地裁の判決がある。

  4)の給与支払請求事件は、現在最高裁に相手方が上告中

 である。この事件の争点は純然たる法(労働基準法第24条)

 の解釈の問題である。即ち瀬戸清ら第一審原告は、労基法

 第24条の賃金全額払の原則は、第一審被告が行なった昭和

 34年2月の給与債権を受働債権として相殺することを禁止

 しているものであると主張し、福島県は内閣法制局見解に

 基づき、労基法第24条の給与の過不足調整の相殺まで労基

 法24条は禁止している趣旨でないと主張している。なお同

 趣事件で福島県、東京都、群馬県の事件が争われているが、

 各県の事件については、仙台高等裁判所、東京高等裁判所

 において、判決が下され、いづれも高等裁判所は「労基法

 第24条は、給与減額事由の発生した月又は、接着した月で

 調整相殺されることは、許されるが、かけ離れた月に調整

 相殺されることは許されない」という判断を示したことに

 より、給与減額に関する裁判所の判断はほぼ確定したもの

 と考えられるが学説も相半ばし法律論としては、むづかし

 い問題である。

  5)6)の転任処分取消請求事件は、昭和41年4月12日請求

 棄却の判決が福島地裁で下され、現在仙台高裁に控訴中で

 あり、証人調が行なわれており今年中には判決が出される

 予定である。

(2) 不利益処分審査請求事件

  1)2)の事件については、現在証人調の段階であり、3)4)

 5)の事件については近日中に証人調に入る予定である。6)

 の事件については審理方法について協議中である。詳細に

 ついては省略する。

(3) 不当労働行為不服申立事件

  この事件については、県労働委員会において事実調査の

 段階である。

 3 昭和42年度中に終結した事件

(1) 分限免職無効確認上告事件

  元南会津高等学校教諭酒井軍次を昭和37年3月末日をも

 って勤務実績不良等を事由に分限免職に付した。

  しかるところ酒井軍次は分限免職の無効確認を求めて争

 って来た事件であるが、昭和43年2月16日最高裁判所は上

 告棄却の判決を下した。全面的に県教育委員会の主張が認

 められた。

(2) 旅費支払請求事件 (2件)

  昭和37年以来争って来た県立学校教職員を主とした旅費

 支払請求事件は、福島地裁裁判長のあっせんもあり和解に

 ついて双方同意、昭和43年3月21日和解成立し、事件が解

 決した。

   第6節 学校防火

 学校火災は、公共財産を焼失するばかりでなく、児童生徒

に精神的打撃を与え、学校教育の質的低下をきたし、教育行

政を停滞させるなど、社会的に及ぼす影響はまことに大きい。

 したがって、県教育委員会としては、市町村教育委員会な

らびに学校当局と協力して学校火災の絶無をはかるべく種々

努力したが、昭和42年4月6日、いわさ市立平第二中学校ほか

3校で火災が発生したことは、まことに遣憾なことであった。

 本年とくに行なった学校防火対策は下記の通りである。

 1 学校防火対策委員会の設置とその対策

  要項の策定

 前年度と同様に学校防火対策委員を任命し、つぎの対策要項

を策定した。

(1) 県教育委員会の実施事項

 1) 県立学校ならびに市町村立小中学校の火気使用施設の

  点検、および巡回要領案を作成し、それに基づいて指導

  する。

 2) 県立学校の防火診断の結果を検討し、早急に対策を樹

  立して防火体制を強化する。

 3) ブロックごとに学校防火研究協議会を開催し、防火に

  関する具体的研究を行なう。

 4) 県立学校の電気配線を整備し、定期検査を実施するよ

  うにつとめる。

 5) 防火に関する広報活動を強化し、防火思想の高揚をは

  かる。

  〇 学校防火優秀校の表彰

  〇 防火ポスターの作成配布

(2) 市町村教育委員会に対する指導事項

 1) 小中学校警備員の配置を促進する。

 2) 防火診断を計画的、科学的に実施し、その結果、改善

  を要する事項については、早急に措置し、防火体制を強

  化する。

 3) 学校防火対策協議会の結成を促進して、具体的な防火

  活動を推進する。

 4) 学校管理の体制を検討し、教職員ならびに宿直代行員

  の宿日直勤務の厳正を期する。

 5) 防火に関する施設設備の改善充実をはかり、その的確

  な活用につとめる。

(3) 火気使用施設等の検査要領の作成

  作成した検査要領の様式はつぎのとおりである。

  1 検査上の着眼点

   1.  煙道と煙突

    (1) 破損か所はないか。 (特に平常目につかない所

     に注意する。)

      以下 略

   2.  ストーブ (石炭、まき等を使用するもの。)

     着眼点を略す 以下同じ

   3.  かまど

   4.  ガス施設

   5.  火鉢、こんろ

     これらの火気使用施設の検査上の着眼点を、各施

    設ごとに9ないし12項目にわたって、具体的に示し

    た。

  2 検査の実施方法


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